虫食い意匠法
(昭和三十四年四月十三日法律第百二十五号を翻案したもの)
Last update: 2011/10/10
最終改正:平成二十年四月十八日法律第十六五号
第一章 総則(第一条・第二条)
第二章 意匠登録及び意匠登録出願(第三条―第十五条)
第三章 審査(第十六条―第十九条)
第四章 意匠権
第一節 意匠権(第二十条―第三十六条)
第二節 権利侵害(第三十七条―第四十一条)
第三節 登録料(第四十二条―第四十五条)
第五章 審判(第四十六条―第五十二条)
第六章 再審及び訴訟(第五十三条―第六十条の二)
第七章 雑則(第六十条の三―第六十八条)
第八章 罰則(第六十九条―第七十七条)
第一章 総則
第一条
この法律は、意匠の
保護及び
利用を図ることにより、意匠の
創作を
奨励し、もつて
産業の
発達に
寄与することを目的とする。
第二条
この法律で「意匠」とは、物品(物品の部分を含む。第八条を除き、以下同じ。)の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合であつて、視覚を通じて美感を起こさせるものをいう。
2
前項において、物品の部分の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合には、物品の操作(当該物品がその機能を発揮できる状態にするために行われるものに限る。)の用に供される画像であつて、当該物品又はこれと一体として用いられる物品に表示されるものが含まれるものとする。
3
この法律で意匠について「実施」とは、意匠に係る物品を製造し、使用し、譲渡し、貸し渡し、輸出し、若しくは輸入し、又はその譲渡若しくは貸渡しの申出(譲渡又は貸渡しのための展示を含む。以下同じ。)をする行為をいう。
4
この法律で「登録意匠」とは、意匠登録を受けている意匠をいう。
第二章 意匠登録及び意匠登録出願
第三条
工業上利用することができる意匠の創作をした者は、次に掲げる意匠を除き、その意匠について意匠登録を受けることができる。
一
意匠登録出願前に
日本国内又は
外国において
公然知られた意匠
二
意匠登録出願前に
日本国内又は
外国において、
頒布された
刊行物に
記載された意匠又は
電気通信回線を通じて
公衆に
利用可能となつた意匠
2
意匠登録出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたときは、その意匠(前項各号に掲げるものを除く。)については、前項の規定にかかわらず、意匠登録を受けることができない。
第三条の二
意匠登録出願に係る意匠が、当該意匠登録出願の日前の他の意匠登録出願であつて当該意匠登録出願後に第二十条第三項又は第六十六条第三項の規定により意匠公報に掲載されたもの(以下この条において「先の意匠登録出願」という。)の願書の記載及び願書に添付した図面、写真、ひな形又は見本に現された意匠の一部と同一又は類似であるときは、その意匠については、前条第一項の規定にかかわらず、意匠登録を受けることができない。ただし、当該意匠登録出願の出願人と先の意匠登録出願の出願人とが同一の者であつて、第二十条第三項の規定により先の意匠登録出願が掲載された意匠公報( 同条第四項の規定により同条第三項第四号に掲げる事項が掲載されたものを除く。)の発行の日前に当該意匠登録出願があつたときは、この限りでない。
第四条
意匠登録を受ける権利を有する者の意に反して第三条第一項第一号又は第二号に該当するに至つた意匠は、その該当するに至つた日から六月以内にその者がした意匠登録出願に係る意匠についての同条第一項及び第二項の規定の適用については、同条第一項第一号又は第二号に該当するに至らなかつたものとみなす。
2
意匠登録を受ける権利を有する者の行為に起因して第三条第一項第一号又は第二号に該当するに至つた意匠も、その該当するに至つた日から六月以内にその者がした意匠登録出願に係る意匠についての同条第一項及び第二項の規定の適用については、前項と同様とする。
3
前項の規定の適用を受けようとする者は、その旨を記載した書面を意匠登録出願と同時に特許庁長官に提出し、かつ、第三条第一項第一号又は第二号に該当するに至つた意匠が前項の規定の適用を受けることができる意匠であることを証明する書面を意匠登録出願の日から三十日以内に特許庁長官に提出しなければならない。
第五条
次に掲げる意匠については、第三条の規定にかかわらず、意匠登録を受けることができない。
一
公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある意匠
二
他人の業務に係る物品と混同を生ずるおそれがある意匠
三
物品の機能を確保するために不可欠な形状のみからなる意匠
第六条
意匠登録を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した願書に意匠登録を受けようとする意匠を記載した図面を添付して特許庁長官に提出しなければならない。
2
経済産業省令で定める場合は、前項の図面に代えて、意匠登録を受けようとする意匠を現わした写真、ひな形又は見本を提出することができる。この場合は、写真、ひな形又は見本の別を願書に記載しなければならない。
3
第一項第三号の意匠に係る物品の記載又は願書に添付した図面、写真若しくはひな形によつてはその意匠の属する分野における通常の知識を有する者がその意匠に係る物品の材質又は大きさを理解することができないためその意匠を認識することができないときは、その意匠に係る物品の材質又は大きさを願書に記載しなければならない。
4
意匠に係る物品の形状、模様又は色彩がその物品の有する機能に基づいて変化する場合において、その変化の前後にわたるその物品の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合について意匠登録を受けようとするときは、その旨及びその物品の当該機能の説明を願書に記載しなければならない。
5
第一項又は第二項の規定により提出する図面、写真又はひな形にその意匠の色彩を付するときは、白色又は黒色のうち一色については、彩色を省略することができる。
6
前項の規定により彩色を省略するときは、その旨を願書に記載しなければならない。
7
第一項の規定により提出する図面に意匠を記載し、又は第二項の規定により提出する写真若しくはひな形に意匠を現す場合において、その意匠に係る物品の全部又は一部が透明であるときは、その旨を願書に記載しなければならない。
第七条
意匠登録出願は、経済産業省令で定める物品の区分により意匠ごとにしなければならない。
第八条
同時に使用される二以上の物品であつて経済産業省令で定めるもの(以下「組物」という。)を構成する物品に係る意匠は、組物全体として統一があるときは、一意匠として出願をし、意匠登録を受けることができる。
第九条
同一又は類似の意匠について異なつた日に二以上の意匠登録出願があつたときは、最先の意匠登録出願人のみがその意匠について意匠登録を受けることができる。
2
同一又は類似の意匠について同日に二以上の意匠登録出願があつたときは、意匠登録出願人の協議により定めた一の意匠登録出願人のみがその意匠について意匠登録を受けることができる。協議が成立せず、又は協議をすることができないときは、いずれも、その意匠について意匠登録を受けることができない。
3
意匠登録出願が放棄され、取り下げられ、若しくは却下されたとき、又は意匠登録出願について拒絶をすべき旨の査定若しくは審決が確定したときは、その意匠登録出願は、前二項の規定の適用については、初めからなかつたものとみなす。ただし、その意匠登録出願について前項後段の規定に該当することにより拒絶をすべき旨の査定又は審決が確定したときは、この限りでない。
4
意匠の創作をした者でない者であつて意匠登録を受ける権利を承継しないものがした意匠登録出願は、第一項又は第二項の規定の適用については、意匠登録出願でないものとみなす。
5
特許庁長官は、第二項の場合は、相当の期間を指定して、同項の
協議をしてその結果を届け出るべき旨を意匠登録出願人に命じなければならない。
6
特許庁長官は、前項の規定により指定した期間内に同項の規定による届出がないときは、第二項の協議が成立しなかつたものとみなすことができる。
第九条の二
願書の記載(第六条第一項第一号及び第二号に掲げる事項並びに同条第二項の規定により記載した事項を除く。第十七条の二第一項及び第二十四条第一項において同じ。)又は願書に添付した図面、写真、ひな形若しくは見本についてした補正がこれらの要旨を変更するものと意匠権の設定の登録があつた後に認められたときは、その意匠登録出願は、その補正について手続補正書を提出した時にしたものとみなす。
第十条
意匠登録出願人は、自己の意匠登録出願に係る意匠又は自己の登録意匠のうちから選択した一の意匠(以下「本意匠」という。)に類似する意匠(以下「関連意匠」という。)については、当該関連意匠の意匠登録出願の日(第十五条において準用する特許法(昭和三十四年法律第百二十一号)第四十三条第一項又は第四十三条の二第一項若しくは第二項の規定による優先権の主張を伴う意匠登録出願にあつては、最初の出願若しくは千九百年十二月十四日にブラッセルで、千九百十一年六月二日にワシントンで、千九百二十五年十一月六日にヘーグで、千九百三十四年六月二日にロンドンで、千九百五十八年十月三十一日にリスボンで及び千九百六十七年七月十四日にストックホルムで改正された工業所有権の保護に関する千八百八十三年三月二十日のパリ条約第四条C(4)の規定により最初の出願とみなされた出願又は同条A(2)の規定により最初の出願と認められた出願の日。以下この項において同じ。)がその本意匠の意匠登録出願の日以後であつて、第二十条第三項の規定によりその本意匠の意匠登録出願が掲載された意匠公報(同条第四項の規定により同条第三項第四号に掲げる事項が掲載されたものを除く。)の発行日前である場合に限り、第九条第一項又は第二項の規定にかかわらず、意匠登録を受けることができる。
2
本意匠の意匠権について専用実施権が設定されているときは、その本意匠に係る関連意匠については、前項の規定にかかわらず、意匠登録を受けることができない。
3
第一項の規定により意匠登録を受ける関連意匠にのみ類似する意匠については、意匠登録を受けることができない。
4
本意匠に係る二以上の関連意匠の意匠登録出願があつたときは、これらの関連意匠については、
第九条第一項又は第二項の規定は、適用しない。
第十条の二
意匠登録出願人は、意匠登録出願が審査、審判又は再審に係属している場合に限り、二以上の意匠を包含する意匠登録出願の一部を一又は二以上の新たな意匠登録出願とすることができる。
3
第一項に規定する新たな意匠登録出願をする場合には、もとの意匠登録出願について提出された書面又は書類であつて、新たな意匠登録出願について第四条第三項又は第十五条第一項において準用する特許法第四十三条第一項及び第二項(第十五条第一項において準用する同法第四十三条の二第三項において準用する場合を含む。)の規定により提出しなければならないものは、当該新たな意匠登録出願と同時に特許庁長官に提出されたものとみなす。
第十三条
特許出願人は、その特許出願を意匠登録出願に変更することができる。ただし、その特許出願について拒絶をすべき旨の最初の査定の謄本の送達(工業所有権に関する手続等の特例に関する法律(平成二年法律第三十号)の規定により当該謄本の送達とみなされるものを含む。)があつた日から三十日三月を経過した後は、この限りでない。
2
実用新案登録出願人は、その実用新案登録出願を意匠登録出願に変更することができる。
4
第一項又は第二項の規定による出願の変更があつたときは、もとの出願は、取り下げたものとみなす。
5
特許出願人は、その特許出願について仮専用実施権又は登録した仮通常実施権を有する者があるときは、これらの者の承諾を得た場合に限り、第一項の規定による出願の変更をすることができる。
第十四条
意匠登録出願人は、意匠権の設定の登録の日から三年以内の期間を指定して、その期間その意匠を秘密にすることを請求することができる。
2
前項の規定による請求をしようとする者は、次に掲げる事項を記載した書面を意匠登録出願と同時に、又は第四十二条第一項の規定による第一年分の登録料の納付と同時に特許庁長官に提出しなければならない。
3
意匠登録出願人又は意匠権者は、第一項の規定により秘密にすることを請求した期間を延長し又は短縮することを請求することができる。
4
特許庁長官は、次の各号の一に該当するときは、第一項の規定により秘密にすることを請求した意匠を意匠権者以外の者に示
さなければならない。
二
その意匠又はその意匠と同一若しくは類似の意匠に関する審査、審判、再審又は訴訟の当事者又は参加人から請求があつたとき。H21-4, H16-40, H12-6(請求があったことを意匠権者に通知する必要はない)
四
利害関係人が意匠権者の氏名又は名称及び登録番号を記載した書面その他経済産業省令で定める書面を
特許庁長官に提出して請求したとき。
第十五条
特許法第三十八条(共同出願)、第四十三条第一項から第四項まで(パリ条約による優先権主張の手続)及び第四十三条の二(パリ条約の例による優先権主張)の規定は、意匠登録出願に準用する。
この場合において、同法第四十三条第二項中「次の各号に掲げる日のうち最先の日から一年四月」とあるのは、「意匠登録出願の日から三月」と読み替えるものとする。
3
特許法第三十五条(仮専用実施権に係る部分を除く。)(職務発明)の規定は、従業者、法人の役員又は国家公務員若しくは地方公務員がした意匠の創作に準用する。
第三章 審査
第十六条
特許庁長官は、
審査官に意匠登録出願を審査させなければならない。
第十七条
審査官は、意匠登録出願が次の各号の一に該当するときは、その意匠登録出願について拒絶をすべき旨の査定をしなければならない。
二
その意匠登録出願に係る意匠が条約の規定により意匠登録をすることができないものであるとき。
三
その意匠登録出願が第七条に規定する要件を満たしていないとき。
四
その意匠登録出願人が意匠の創作をした者でない場合において、その意匠について意匠登録を受ける権利を承継していないとき。
第十七条の二
願書の記載又は願書に添付した図面、写真、ひな形若しくは見本についてした補正がこれらの要旨を変更するものであるときは、審査官は、決定をもつてその補正を却下しなければならない。
2
前項の規定による
却下の
決定は、
文書をもつて行い、かつ、
理由を付さなければならない。
3
第一項の規定による却下の決定があつたときは、決定の謄本の送達があつた日から三十日三月を経過するまでは、当該意匠登録出願について査定をしてはならない。
4
審査官は、意匠登録出願人が第一項の規定による
却下の
決定に対し
補正却下決定不服審判を請求したときは、その審判の審決が確定するまでその意匠登録出願の審査を
中止しなければならない。
第十七条の三
意匠登録出願人が前条第一項の規定による
却下の
決定の
謄本の
送達があつた日から
三十日三月以内にその補正後の意匠について
新たな意匠登録出願をしたときは、その意匠登録出願は、その補正について
手続補正書を
提出した時にしたものとみなす。
2
前項に規定する
新たな意匠登録出願があつたときは、もとの意匠登録出願は、
取り下げたものとみなす。
3
前二項の規定は、意匠登録出願人が第一項に規定する
新たな意匠登録出願について同項の規定の適用を受けたい旨を記載した書面をその意匠登録出願と
同時に
特許庁長官に提出した場合に限り、適用があるものとする。
第十七条の四
特許庁長官は、
遠隔又は
交通不便の地にある者のため、
請求により又は
職権で、前条第一項に規定する期間を延長することができる。
2
審判長は、
遠隔又は
交通不便の地にある者のため、
請求により又は
職権で、
第五十条第一項(
第五十七条第一項において準用する場合を含む。)において準用する前条第一項に規定する期間を延長することができる。
第十八条
審査官は、意匠登録出願について拒絶の理由を発見しないときは、意匠登録をすべき旨の査定をしなければならない。
第四章 意匠権
第一節 意匠権
3
前項の登録があつたときは、次に掲げる事項を意匠公報に掲載しなければならない。
四
願書及び願書に添付した図面、写真、ひな形又は見本の内容
4
第十四条第一項の規定により秘密にすることを請求した意匠に関する前項第四号に掲げる事項は、同項の規定にかかわらず、第十四条第一項の規定により指定した期間の経過後遅滞なく掲載するものとする。
第二十一条
意匠権(関連意匠の意匠権を除く。)の存続期間は、設定の登録の日から
二十年をもつて終了する。
2
関連意匠の意匠権の存続期間は、その本意匠の意匠権の設定の登録の日から二十年をもつて終了する。
第二十二条
本意匠及びその関連意匠の意匠権は、分離して移転することができない。
2
本意匠の意匠権が第四十四条第四項の規定により消滅したとき、無効にすべき旨の審決が確定したとき、又は放棄されたときは、当該本意匠に係る関連意匠の意匠権は、分離して移転することができない。
第二十三条
意匠権者は、業として登録意匠及びこれに類似する意匠の実施をする権利を専有する。ただし、その意匠権について専用実施権を設定したときは、専用実施権者がその登録意匠及びこれに類似する意匠の実施をする権利を専有する範囲については、この限りでない。
第二十四条
登録意匠の範囲は、願書の記載及び願書に添附した図面に記載され又は願書に添附した写真、ひな形若しくは見本により現わされた意匠に基いて定めなければならない。
2
登録意匠とそれ以外の意匠が類似であるか否かの判断は、需要者の視覚を通じて起こさせる美感に基づいて行うものとする。
第二十五条
登録意匠及びこれに類似する意匠の範囲については、特許庁に対し、判定を求めることができる。
2
特許庁長官は、前項の規定による求があつたときは、三名の
審判官を指定して、その
判定をさせなければならない。
第二十五条の二
特許庁長官は、裁判所から登録意匠及びこれに類似する意匠の範囲について
鑑定の
嘱託があつたときは、三名の
審判官を指定して、その鑑定をさせなければならない。
第二十六条
意匠権者、専用実施権者又は通常実施権者は、その登録意匠がその意匠登録出願の日前の出願に係る他人の登録意匠若しくはこれに類似する意匠、特許発明若しくは登録実用新案を利用するものであるとき、又はその意匠権のうち登録意匠に係る部分がその意匠登録出願の日前の出願に係る他人の特許権、実用新案権若しくは商標権若しくはその意匠登録出願の日前に生じた他人の著作権と抵触するときは、業としてその登録意匠の実施をすることができない。
2
意匠権者、専用実施権者又は通常実施権者は、その登録意匠に類似する意匠がその意匠登録出願の日前の出願に係る他人の登録意匠若しくはこれに類似する意匠、特許発明若しくは登録実用新案を利用するものであるとき、又はその意匠権のうち登録意匠に類似する意匠に係る部分がその意匠登録出願の日前の出願に係る他人の意匠権、特許権、実用新案権若しくは商標権若しくはその意匠登録出願の日前に生じた他人の著作権と抵触するときは、業としてその登録意匠に類似する意匠の実施をすることができない。
第二十七条
意匠権者は、その意匠権について専用実施権を設定することができる。ただし、本意匠又は関連意匠の意匠権についての専用実施権は、本意匠及びすべての関連意匠の意匠権について、同一の者に対して同時に設定する場合に限り、設定することができる。
2
専用実施権者は、設定行為で定めた範囲内において、業としてその
登録意匠又はこれに
類似する意匠の実施をする権利を
専有する。
3
本意匠の意匠権が
第四十四条第四項の規定により消滅したとき、無効にすべき旨の審決が確定したとき、又は放棄されたときは、当該本意匠に係る関連意匠の意匠権についての専用実施権は、
すべての関連意匠の意匠権について
同一の者に対して
同時に設定する場合に限り、設定することができる。
第二十八条
意匠権者は、その意匠権について他人に通常実施権を許諾することができる。H16-20(本意匠と関連意匠とがあるときに、専用実施権のような制限はない)
2
通常実施権者は、この法律の規定により又は設定行為で定めた範囲内において、業としてその登録意匠又はこれに類似する意匠の実施をする権利を
有する。
第二十九条
意匠登録出願に係る意匠を知らないで自らその意匠若しくはこれに類似する意匠の創作をし、又は意匠登録出願に係る意匠を知らないでその意匠若しくはこれに類似する意匠の創作をした者から知得して、意匠登録出願の際(第九条の二の規定により、又は第十七条の三第一項(第五十条第一項(第五十七条第一項において準用する場合を含む。)において準用する場合を含む。)の規定により、その意匠登録出願が手続補正書を提出した時にしたものとみなされたときは、もとの意匠登録出願の際又は手続補正書を提出した際)現に日本国内においてその意匠又はこれに類似する意匠の実施である事業をしている者又はその事業の準備をしている者は、その実施又は準備をしている意匠及び事業の目的の範囲内において、その意匠登録出願に係る意匠権について通常実施権を有する。
第二十九条の二
意匠登録出願に係る意匠を知らないで自らその意匠若しくはこれに類似する意匠の創作をし、又は意匠登録出願に係る意匠を知らないでその意匠若しくはこれに類似する意匠の創作をした者から知得して、意匠権の設定の登録の際現に日本国内においてその意匠又はこれに類似する意匠の実施である事業をしている者又はその事業の準備をしている者(前条に該当する者を除く。)は、次の各号のいずれにも該当する場合に限り、その実施又は準備をしている意匠及び事業の目的の範囲内において、その意匠登録出願に係る意匠権について通常実施権を有する。
一
その
意匠登録出願の
日前に、自らその意匠又はこれに類似する意匠について
意匠登録出願をし、
当該意匠登録出願に係る意匠の実施である事業をしている者又はその事業の準備をしている者であること。
二
前号の自らした
意匠登録出願について、
その意匠登録出願に係る意匠が第三条第一項各号の一に該当し、拒絶をすべき旨の
査定又は
審決が確定した者であること。
第三十条
次の各号のいずれかに該当する者であつて、意匠登録無効審判の請求の登録前に、意匠登録が第四十八条第一項各号のいずれかに該当することを知らないで、日本国内において当該意匠又はこれに類似する意匠の実施である事業をしているもの又はその事業の準備をしているものは、その実施又は準備をしている意匠及び事業の目的の範囲内において、当該意匠権又はその意匠登録を無効にした際現に存する専用実施権について通常実施権を有する。
一
同一又は類似の意匠についての二以上の意匠登録のうち、その一を
無効にした場合における
原意匠権者
二
意匠登録を無効にして同一又は類似の意匠について
正当権利者に意匠登録をした場合における
原意匠権者
三
前二号に掲げる場合において、
意匠登録無効審判の
請求の
登録の際現にその無効にした意匠登録に係る意匠権についての
専用実施権又はその意匠権若しくは専用実施権についての
第二十八条第三項において準用する
特許法第九十九条第一項の効力を有する
通常実施権を有する者
2
当該意匠権者又は専用実施権者は、前項の規定により通常実施権を有する者から
相当の
対価を受ける権利を有する。
第三十一条
意匠登録出願の日前又はこれと同日の意匠登録出願に係る意匠権のうち登録意匠に類似する意匠に係る部分がその意匠登録出願に係る意匠権と抵触する場合において、その意匠権の存続期間が満了したときは、その原意匠権者は、原意匠権の範囲内において、当該意匠権又はその意匠権の存続期間の満了の際現に存する専用実施権について通常実施権を有する。
2
前項の規定は、意匠登録出願の日前又はこれと同日の出願に係る特許権又は実用新案権がその意匠登録出願に係る意匠権と抵触する場合において、その特許権又は実用新案権の存続期間が満了したときに準用する。
第三十二条
意匠登録出願の日前又はこれと同日の意匠登録出願に係る意匠権のうち登録意匠に類似する意匠に係る部分がその意匠登録出願に係る意匠権と抵触する場合において、その意匠権の存続期間が満了したときは、その満了の際現にその存続期間が満了した意匠権についての専用実施権又はその意匠権若しくは専用実施権についての第二十八条第三項において準用する特許法第九十九条第一項の効力を有する通常実施権を有する者は、原権利の範囲内において、当該意匠権又はその意匠権の存続期間の満了の際現に存する専用実施権について通常実施権を有する。
2
前項の規定は、意匠登録出願の日前又はこれと同日の出願に係る特許権又は実用新案権がその意匠登録出願に係る意匠権と抵触する場合において、その特許権又は実用新案権の存続期間が満了したときに準用する。
3
当該意匠権者又は専用実施権者は、前二項の規定により通常実施権を有する者から
相当の
対価を受ける権利を有する。
第三十三条
意匠権者又は専用実施権者は、その登録意匠又はこれに類似する意匠が
第二十六条に規定する場合に該当するときは、同条の他人に対しその登録意匠又はこれに類似する意匠の実施をするための通常実施権又は特許権若しくは実用新案権についての通常実施権の
許諾について
協議を求めることができる。
2
前項の
協議を求められた
第二十六条の他人は、その協議を求めた意匠権者又は専用実施権者に対し、これらの者がその
協議により通常実施権又は特許権若しくは実用新案権についての通常実施権の
許諾を受けて実施をしようとする登録意匠又はこれに類似する意匠の範囲内において、通常実施権の
許諾について
協議を求めることができる。
3
第一項の
協議が成立せず、又は
協議をすることができないときは、意匠権者又は専用実施権者は、
特許庁長官の
裁定を請求することができる。
4
第二項の協議が成立せず、又は協議をすることができない場合において、前項の裁定の請求があつたときは、第二十六条の他人は、第七項において準用する特許法第八十四条の規定によりその者が答弁書を提出すべき期間として特許庁長官が指定した期間内に限り、特許庁長官の裁定を請求することができる。
5
特許庁長官は、第三項又は前項の場合において、当該通常実施権を設定することが第二十六条の他人又は意匠権者若しくは専用実施権者の
利益を
不当に
害することとなるときは、当該通常実施権を設定すべき旨の
裁定をすることが
できない。
6
特許庁長官は、前項に規定する場合のほか、第四項の場合において、第三項の裁定の請求について通常実施権を設定すべき旨の
裁定をしないときは、当該通常実施権を設定すべき旨の
裁定をすることが
できない。
第三十四条
通常実施権は、前条第三項若しくは第四項、特許法第九十二条第三項又は実用新案法第二十二条第三項の裁定による通常実施権を除き、実施の事業とともにする場合、意匠権者(専用実施権についての通常実施権にあつては、意匠権者及び専用実施権者)の承諾を得た場合及び相続その他の一般承継の場合に限り、移転することができる。
2
通常実施権者は、前条第三項若しくは第四項、
特許法第九十二条第三項又は
実用新案法第二十二条第三項の裁定による通常実施権を除き、意匠権者(専用実施権についての通常実施権にあつては、意匠権者及び専用実施権者)の承諾を得た場合に限り、その通常実施権について質権を設定することができる。
3
前条第三項、
特許法第九十二条第三項又は
実用新案法第二十二条第三項の裁定による通常実施権は、その通常実施権者の当該意匠権、特許権又は実用新案権が実施の事業とともに移転したときはこれらに従つて移転し、その意匠権、特許権又は実用新案権が実施の事業と分離して移転したとき、又は消滅したときは消滅する。
4
前条第四項の裁定による通常実施権は、その通常実施権者の当該意匠権、特許権又は実用新案権に従つて移転し、その意匠権、特許権又は実用新案権が消滅したときは消滅する。
第三十五条
意匠権、専用実施権又は通常実施権を目的として質権を設定したときは、質権者は、
契約で
別段の
定をした場合を除き、当該登録意匠又はこれに類似する意匠の実施をすることができない。
2
特許法第九十六条(物上代位)の規定は、意匠権、専用実施権又は通常実施権を目的とする質権に準用する。
第二節 権利侵害
第三十七条
意匠権者又は専用実施権者は、自己の意匠権又は専用実施権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。
2
意匠権者又は専用実施権者は、
前項の規定による請求をするに際し、侵害の行為を組成した物(プログラム等(
特許法第二条第四項に規定するプログラム等をいう。次条において同じ。)を含む。以下同じ。)の廃棄、侵害の行為に供した設備の除却その他の侵害の予防に必要な行為を請求することができる。
3
第十四条第一項の規定により秘密にすることを請求した意匠に係る意匠権者又は専用実施権者は、その意匠に関し第二十条第三項各号に掲げる事項を記載した書面であつて特許庁長官の証明を受けたものを提示して警告した後でなければ、第一項の規定による請求をすることができない。H9-04(損害賠償請求は、警告をしなくても、故意又は過失を立証できれば請求可能)
第三十八条
次に掲げる行為は、当該意匠権又は専用実施権を侵害するものとみなす。
一
業として、登録意匠又はこれに類似する意匠に係る物品の製造にのみ用いる物の生産、譲渡等(譲渡及び貸渡しをいい、その物がプログラム等である場合には、電気通信回線を通じた提供を含む。以下同じ。)若しくは輸入又は譲渡等の申出(譲渡等のための展示を含む。以下同じ。)をする行為H21-54(製造にのみ用いる物を所持する行為は侵害とはみなされない)
二
登録意匠又はこれに類似する意匠に係る物品を業としての譲渡、貸渡し又は輸出のために所持する行為
第三十九条
意匠権者又は専用実施権者が故意又は過失により自己の意匠権又は専用実施権を侵害した者に対しその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において、その者がその侵害の行為を組成した物品を譲渡したときは、その譲渡した物品の数量(以下この項において「譲渡数量」という。)に、意匠権者又は専用実施権者がその侵害の行為がなければ販売することができた物品の単位数量当たりの利益の額を乗じて得た額を、意匠権者又は専用実施権者の実施の能力に応じた額を超えない限度において、意匠権者又は専用実施権者が受けた損害の額とすることができる。
ただし、譲渡数量の全部又は一部に相当する数量を意匠権者又は専用実施権者が販売することができないとする事情があるときは、当該事情に相当する数量に応じた額を控除するものとする。
2
意匠権者又は専用実施権者が故意又は過失により自己の意匠権又は専用実施権を侵害した者に対しその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において、その者がその侵害の行為により利益を受けているときは、その利益の額は、意匠権者又は専用実施権者が受けた損害の額と推定する。
3
意匠権者又は専用実施権者は、故意又は過失により自己の意匠権又は専用実施権を侵害した者に対し、その登録意匠又はこれに類似する意匠の実施に対し受けるべき金銭の額に相当する額の金銭を、自己が受けた損害の額としてその賠償を請求することができる。
4
前項の規定は、同項に規定する金額を超える損害の賠償の請求を妨げない。この場合において、意匠権又は専用実施権を侵害した者に故意又は重大な過失がなかつたときは、裁判所は、損害の賠償の額を定めるについて、これを参酌することができる。
第四十条
他人の意匠権又は専用実施権を侵害した者は、その侵害の行為について過失があつたものと推定する。ただし、第十四条第一項の規定により秘密にすることを請求した意匠に係る意匠権又は専用実施権の侵害については、この限りでない。
第四十一条
特許法第百四条の二から第百五条の六まで(具体的態様の明示義務、特許権者等の権利行使の制限、書類の提出等、
損害計算のための鑑定、相当な損害額の認定、秘密保持命令、秘密保持命令の取消し及び訴訟記録の閲覧等の請求の通知等)及び
第百六条(信用回復の措置)の規定は、意匠権又は専用実施権の侵害に準用する。
H21-54(特許法105条の7(当事者尋問等の公開停止)は準用されていない), H17-03, H14-43
第三節 登録料
第四十二条
意匠権の設定の登録を受ける者又は意匠権者は、登録料として、第二十一条に規定する存続期間の満了までの各年について、一件ごとに、次に掲げる金額を納付しなければならない。
2
前項の規定は、国に属する意匠権には、適用しない。
3
第一項の登録料は、意匠権が国と国以外の者との共有に係る場合であつて持分の定めがあるときは、第一項の規定にかかわらず、同項に規定する登録料の金額に国以外の者の持分の割合を乗じて得た額とし、国以外の者がその額を納付しなければならない。
4
前項の規定により算定した登録料の金額に十円未満の端数があるときは、その端数は、切り捨てる。
5
第一項の登録料の納付は、経済産業省令で定めるところにより、特許印紙をもつてしなければならない。ただし、経済産業省令で定める場合には、経済産業省令で定めるところにより、現金をもつて納めることができる。
第四十三条
前条第一項第一号の規定による第一年分の登録料は、意匠登録をすべき旨の査定又は審決の謄本の送達があつた日から三十日以内に納付しなければならない。
2
前条第一項の規定による第二年以後の各年分の登録料は、前年以前に納付しなければならない。
3
特許庁長官は、登録料を納付すべき者の請求により、三十日以内を限り、第一項に規定する期間を延長することができる。
第四十四条
意匠権者は、前条第二項に規定する期間内に登録料を納付することができないときは、その期間が経過した後であつても、その期間の経過後六月以内にその登録料を追納することができる。
2
前項の規定により登録料を追納する意匠権者は、第四十二条第一項の規定により納付すべき登録料のほか、その登録料と同額の割増登録料を納付しなければならない。
3
前項の割増登録料の納付は、経済産業省令で定めるところにより、特許印紙をもつてしなければならない。ただし、経済産業省令で定める場合には、経済産業省令で定めるところにより、現金をもつて納めることができる。
4
意匠権者が第一項の規定により登録料を追納することができる期間内にその登録料及び第二項の割増登録料を納付しないときは、その意匠権は、前条第二項に規定する期間の経過の時にさかのぼつて消滅したものとみなす。
第四十四条の二
前条第四項の規定により消滅したものとみなされた意匠権の原意匠権者は、その責めに帰することができない理由により同条第一項の規定により登録料を追納することができる期間内に同条第四項に規定する登録料及び割増登録料を納付することができなかつたときは、その理由がなくなつた日から十四日(在外者にあつては、二月)以内でその期間の経過後六月以内に限り、その登録料及び割増登録料を追納することができる。
2
前項の規定による登録料及び割増登録料の追納があつたときは、その意匠権は、第四十三条第二項に規定する期間の経過の時にさかのぼつて存続していたものとみなす。
第四十四条の三
前条第二項の規定により意匠権が回復したときは、その意匠権の効力は、第四十四条第一項の規定により登録料を追納することができる期間の経過後意匠権の回復の登録前に輸入し、又は日本国内において製造し、若しくは取得した当該登録意匠又はこれに類似する意匠に係る物品には、及ばない。
2
前条第二項の規定により回復した意匠権の効力は、第四十四条第一項の規定により登録料を追納することができる期間の経過後意匠権の回復の登録前における次に掲げる行為には、及ばない。
二
当該登録意匠又はこれに類似する意匠に係る物品の製造にのみ用いる物の生産、譲渡等若しくは輸入又は譲渡等の申出をした行為
三
当該登録意匠又はこれに類似する意匠に係る物品を譲渡、貸渡し又は輸出のために所持した行為
第五章 審判
第四十六条
拒絶をすべき旨の査定を受けた者は、その査定に不服があるときは、その査定の謄本の送達があつた日から
三十日三月以内に拒絶査定不服審判を請求することができる。
2
拒絶査定不服審判を請求する者がその責めに帰することができない理由により前項に規定する期間内にその請求をすることができないときは、同項の規定にかかわらず、その理由がなくなつた日から
十四日(在外者にあつては、
二月)以内でその期間の経過後
六月以内にその請求をすることができる。
第四十七条
第十七条の二第一項の規定による却下の決定を受けた者は、その決定に不服があるときは、その決定の謄本の送達があつた日から三十日三月以内に補正却下決定不服審判を請求することができる。ただし、第十七条の三第一項に規定する新たな意匠登録出願をしたときは、この限りでない。
2
前条第二項の規定は、補正却下決定不服審判の請求に準用する。
第四十八条
意匠登録が次の各号のいずれかに該当するときは、その意匠登録を無効にすることについて意匠登録無効審判を請求することができる。
三
その意匠登録が意匠の創作をした者でない者であつてその意匠について意匠登録を受ける権利を承継しないものの意匠登録出願に対してされたとき。
四
意匠登録がされた後において、その意匠権者が第六十八条第三項において準用する特許法第二十五条の規定により意匠権を享有することができない者になつたとき、又はその意匠登録が条約に違反することとなつたとき。
2
意匠登録無効審判は、何人も請求することができる。ただし、意匠登録が前項第一号に該当すること(その意匠登録が第十五条第一項において準用する特許法第三十八条の規定に違反してされたときに限る。)又は前項第三号に該当することを理由とするものは、利害関係人に限り請求することができる。
3
意匠登録無効審判は、意匠権の消滅後においても、請求することができる。
4
審判長は、意匠登録無効審判の請求があつたときは、その旨を当該意匠権についての専用実施権者その他その意匠登録に関し登録した権利を有する者に通知しなければならない。
第四十九条
意匠登録を無効にすべき旨の審決が確定したときは、意匠権は、初めから存在しなかつたものとみなす。ただし、意匠登録が前条第一項第四号に該当する場合において、その意匠登録を無効にすべき旨の審決が確定したときは、意匠権は、その意匠登録が同号に該当するに至つた時から存在しなかつたものとみなす。
第五十条
第十七条の二及び
第十七条の三の規定は、拒絶査定不服審判に準用する。この場合において
、第十七条の二第三項及び第十七条の三第一項中「三月」とあるのは「三十日」と、
第十七条の二第四項中「補正却下決定不服審判を請求したとき」とあるのは
、「
第五十九条第一項の訴えを提起したとき」と読み替えるものとする。
3
特許法第五十条(拒絶理由の通知)の規定は、拒絶査定不服審判において査定の理由と異なる拒絶の理由を発見した場合に準用する。
第五十一条
補正却下決定不服審判において決定を取り消すべき旨の審決があつた場合における判断は、その事件について
審査官を拘束する。
第五十二条
特許法第百三十一条第一項及び第二項、第百三十一条の二(第二項第一号を除く。)から第百三十四条まで、
第百三十五条から第百五十四条まで、
第百五十五条第一項及び第二項、第百五十六条から第百五十八条まで、第百六十条第一項及び第二項、第百六十一条並びに第百六十七条から第百七十条まで(審判の請求、審判官、審判の手続、訴訟との関係及び審判における費用)の規定は、審判に準用する。この場合において、
同法第百六十一条中「拒絶査定不服審判」とあり、及び
同法第百六十九条第三項中「拒絶査定不服審判及び訂正審判」とあるのは、「拒絶査定不服審判及び補正却下決定不服審判」と読み替えるものとする。
第六章 再審及び訴訟
第五十三条
確定審決に対しては、当事者又は参加人は、再審を請求することができる。
第五十四条
審判の請求人及び被請求人が共謀して第三者の権利又は利益を害する目的をもつて審決をさせたときは、その第三者は、その確定審決に対し再審を請求することができる。
2
前項の再審は、その請求人及び被請求人を共同被請求人として請求しなければならない。
第五十五条
無効にした意匠登録に係る意匠権が再審により回復したときは、意匠権の効力は、当該審決が確定した後再審の請求の登録前に善意に輸入し又は日本国内において製造し若しくは取得した当該登録意匠又はこれに類似する意匠に係る物品には、及ばない。
2
無効にした意匠登録に係る意匠権が再審により回復したときは、意匠権の効力は、当該審決が確定した後再審の請求の登録前における次に掲げる行為には、及ばない。
二
善意に、当該登録意匠又はこれに類似する意匠に係る物品の製造にのみ用いる物の生産、譲渡等若しくは輸入又は譲渡等の申出をした行為
三
善意に、当該登録意匠又はこれに類似する意匠に係る物品を譲渡、貸渡し又は輸出のために所持した行為
第五十六条
無効にした意匠登録に係る意匠権が再審により回復したとき、又は拒絶をすべき旨の審決があつた意匠登録出願について再審により意匠権の設定の登録があつたときは、当該審決が確定した後再審の請求の登録前に善意に日本国内において当該意匠又はこれに類似する意匠の実施である事業をしている者又はその事業の準備をしている者は、その実施又は準備をしている意匠及び事業の目的の範囲内において、その意匠権について通常実施権を有する。
第五十七条
第五十条第一項及び第三項の規定は、拒絶査定不服審判の確定審決に対する再審に準用する。
2
第五十一条の規定は、補正却下決定不服審判の確定審決に対する再審に準用する。
2
特許法第百三十一条第一項
、第百三十一条の二第一項本文、第百三十二条第三項及び第四項、第百三十三条、第百三十三条の二、第百三十四条第四項、第百三十五条から第百四十七条まで、第百五十条から第百五十二条まで、第百五十五条第一項、第百五十六条から第百五十八条まで、第百六十条、第百六十八条、第百六十九条第三項から第六項まで並びに第百七十条の規定は、拒絶査定不服審判の確定審決に対する再審に準用する。この場合において、
同法第百六十九条第三項
中「拒絶査定不服審判及び訂正審判」とあるのは、「拒絶査定不服審判」と読み替えるものとする。
3
特許法第百三十一条第一項
、第百三十一条の二第一項本文、第百三十二条第三項及び第四項、第百三十三条、第百三十三条の二、第百三十四条第四項、第百三十五条から第百四十七条まで、第百五十条から第百五十二条まで、第百五十五条第一項、第百五十六条、第百五十七条、第百六十八条、第百六十九条第三項から第六項まで並びに第百七十条の規定は、補正却下決定不服審判の確定審決に対する再審に準用する。この場合において、
同法第百六十九条第三項
中「拒絶査定不服審判及び訂正審判」とあるのは、「補正却下決定不服審判」と読み替えるものとする。
第五十九条
審決に対する訴え、第五十条第一項(第五十七条第一項において準用する場合を含む。)において準用する第十七条の二第一項の規定による却下の決定に対する訴え及び審判又は再審の請求書の却下の決定に対する訴えは、東京高等裁判所の専属管轄とする。
2
特許法第百七十八条第二項から
第六項まで(出訴期間等)、第百七十九条から第百八十条の二まで(被告適格、出訴の通知及び審決取消訴訟における特許庁長官の意見)、第百八十一条第一項及び第五項(審決又は決定の取消し)並びに第百八十二条(裁判の正本の送付)の規定は、前項の訴えに準用する。
第六十条
第三十三条第三項又は第四項の裁定を受けた者は、その裁定で定める対価の額について不服があるときは、訴えを提起してその額の増減を求めることができる。
第六十条の二
特許法第百八十四条の二(不服申立てと訴訟との関係)の規定は、この法律又はこの法律に基づく命令の規定による処分(
第六十八条第七項に規定する処分を除く。)の取消しの訴えに準用する。
第七章 雑則
第六十条の三
意匠登録出願、請求その他意匠登録に関する手続をした者は、事件が審査、審判又は再審に係属している場合に限り、その補正をすることができる。
第六十一条
次に掲げる事項は、特許庁に備える意匠原簿に登録する。
一
意匠権の設定、移転
、信託による変更、消滅、回復又は処分の制限
二
専用実施権又は通常実施権の設定、保存、移転、変更、消滅又は処分の制限
三
意匠権、専用実施権又は通常実施権を目的とする質権の設定、移転、変更、消滅又は処分の制限
2
意匠原簿は、その全部又は一部を磁気テープ(これに準ずる方法により一定の事項を確実に記録して置くことができる物を含む。以下同じ。)をもつて調製することができる。
3
この法律に規定するもののほか、登録に関して必要な事項は、政令で定める。
第六十二条
特許庁長官は、意匠権の設定の登録があつたときは、意匠権者に対し、意匠登録証を交付する。
2
意匠登録証の再交付については、経済産業省令で定める。
第六十三条
何人も、
特許庁長官に対し、意匠登録に関し、証明、書類の謄本若しくは抄本の交付、書類、ひな形若しくは見本の閲覧若しくは謄写又は意匠原簿のうち磁気テープをもつて調製した部分に記録されている事項を記載した書類の交付を請求することができる。ただし、次に掲げる書類、ひな形又は見本については、
特許庁長官が
秘密を
保持する必要があると認めるときは、この限りでない。
一
願書、願書に添付した図面、写真、ひな形若しくは見本又は意匠登録出願の審査に係る書類であつて、意匠登録がされていないもの
二
第十四条第一項の規定により秘密にすることを請求した意匠に関する書類、ひな形又は見本
三
拒絶査定不服審判又は補正却下決定不服審判に係る書類であつて、当該事件に係る意匠登録出願について意匠登録がされていないもの
四
意匠登録無効審判又はその審判の確定審決に対する再審に係る書類であつて、当事者又は参加人から当該当事者又は参加人の保有する営業秘密(
不正競争防止法(平成五年法律第四十七号)
第二条第六項に規定する営業秘密をいう。)が記載された旨の申出があつたもの
五
個人の名誉又は生活の平穏を害するおそれがあるもの
六
公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあるもの
2
特許庁長官は、前項第一号から第五号までに掲げる書類、ひな形又は見本について、同項本文の請求を認めるときは、当該書類、ひな形又は見本を提出した者に対し、その旨及びその理由を通知しなければならない。
第六十四条
意匠権者、専用実施権者又は通常実施権者は、経済産業省令で定めるところにより、登録意匠若しくはこれに類似する意匠に係る物品又はその物品の包装にその物品が登録意匠又はこれに類似する意匠に係る旨の表示(以下「意匠登録表示」という。)を附するように
努めなければならない。
第六十五条
何人も、次に掲げる行為をしてはならない。
一
登録意匠若しくはこれに類似する意匠に係る物品以外の物品又はその物品の包装に意匠登録表示又はこれと紛らわしい表示を附する行為
二
登録意匠又はこれに類似する意匠に係る物品以外の物品であつて、その物品又はその物品の包装に意匠登録表示又はこれと紛らわしい表示を附したものを譲渡し、貸し渡し、又は譲渡若しくは貸渡のために展示する行為
三
登録意匠又はこれに類似する意匠に係る物品以外の物品を製造させ若しくは使用させるため、又は譲渡し若しくは貸し渡すため、広告にその物品が登録意匠若しくはこれに類似する意匠に係る旨を表示し、又はこれと紛らわしい表示をする行為
2
意匠公報には、この法律に規定するもののほか、次に掲げる事項を掲載しなければならない。
二
審判若しくは再審の請求若しくはその取下げ又は審判若しくは再審の確定審決(意匠権の設定の登録がされたものに限る。)
3
前項に規定するもののほか、第九条第二項後段の規定に該当することにより意匠登録出願について拒絶をすべき旨の査定又は審決が確定したときは、その意匠登録出願について、次に掲げる事項を意匠公報に掲載しなければならない。この場合において、その意匠登録出願の中に第十四条第一項の規定により秘密にすることを請求した意匠登録出願があるときは、すべての意匠登録出願に関する第三号に掲げる事項は、拒絶をすべき旨の査定又は審決が確定した日から同項の規定により指定した期間(秘密にすることを請求した意匠登録出題が二以上ある場合には、そのうち最も長い期間)の経過後遅滞なく掲載するものとする。
三
願書及び願書に添付した図面、写真、ひな形又は見本の内容
第六十七条
次に掲げる者は、実費を勘案して政令で定める額の手数料を納付しなければならない。
八
第六十三条第一項の規定により意匠原簿のうち磁気テープをもつて調製した部分に記録されている事項を記載した書類の交付を請求する者
2
別表の中欄に掲げる者は、それぞれ同表の下欄に掲げる金額の範囲内において政令で定める額の手数料を納付しなければならない。
3
前二項の規定は、これらの規定により手数料を納付すべき者が国であるときは、適用しない。
4
意匠権又は意匠登録を受ける権利が国と国以外の者との共有に係る場合であつて持分の定めがあるときは、国と国以外の者が自己の意匠権又は意匠登録を受ける権利について第一項又は第二項の規定により納付すべき手数料(政令で定めるものに限る。)は、これらの規定にかかわらず、これらに規定する手数料の金額に国以外の者の持分の割合を乗じて得た額とし、国以外の者がその額を納付しなければならない。
5
前項の規定により算定した手数料の金額に十円未満の端数があるときは、その端数は、切り捨てる。
6
第一項又は第二項の手数料の納付は、経済産業省令で定めるところにより、特許印紙をもつてしなければならない。ただし、経済産業省令で定める場合には、経済産業省令で定めるところにより、現金をもつて納めることができる。
7
過誤納の手数料は、納付した者の請求により返還する。
8
前項の規定による手数料の返還は、納付した日から一年を経過した後は、請求することができない。
3
特許法第二十五条(外国人の権利の享有)の規定は、意匠権その他意匠登録に関する権利に準用する。
7
特許法第百九十五条の四(
行政不服審査法による不服申立ての制限)の規定は、この法律の規定による補正の却下の決定、査定、審決及び審判又は再審の請求書の却下の決定並びにこの法律の規定により不服を申し立てることができないこととされている処分に準用する。
第八章 罰則
第六十九条
意匠権又は専用実施権を侵害した者(第三十八条の規定により意匠権又は専用実施権を侵害する行為とみなされる行為を行つた者を除く。)は、三年十年以下の懲役又は若しくは三百万円千万円以下の罰金に処する処し、又はこれを併科する。
第六十九条の二
第三十八条の規定により意匠権又は専用実施権を侵害する行為とみなされる行為を行つた者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
第七十条
詐欺の行為により意匠登録又は審決を受けた者は、
一年以下の懲役又は
百万円以下の罰金に処する。
第七十一条
第六十五条の規定に違反した者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
第七十二条
この法律の規定により宣誓した証人、鑑定人又は通訳人が特許庁又はその嘱託を受けた裁判所に対し虚偽の陳述、鑑定又は通訳をしたときは、
三月以上
十年以下の懲役に処する。
2
前項の罪を犯した者が事件の判定の謄本が送達され、又は査定若しくは審決が確定する前に
自白したときは、その刑を減軽し、又は免除することができる。
第七十三条
特許庁の職員又はその職にあつた者がその職務に関して知得した意匠登録出願中の意匠に関する秘密を漏らし、又は盗用したときは、
一年以下の懲役又は
五十万円以下の罰金に処する。
2
前項の罪は、
告訴がなければ公訴を提起することができない。
3
第一項の罪は、
日本国外において同項の罪を犯した者にも適用する。
第七十四条
法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、次の各号に掲げる規定の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人に対して当該各号で定める罰金刑を、その人に対して各本条の罰金刑を科する。
二
第六十九条 一億円以下の罰金刑
2
前項の場合において、当該行為者に対してした前条第二項の告訴は、その法人又は人に対しても効力を生じ、その法人又は人に対してした告訴は、当該行為者に対しても効力を生ずるものとする。
3
第一項の規定により第六十九条、第六十九条の二又は前条第一項の違反行為につき法人又は人に罰金刑を科する場合における時効の期間は、これらの規定の罪についての時効の期間による。
第七十六条
この法律の規定により特許庁又はその嘱託を受けた裁判所から呼出しを受けた者が、正当な理由がないのに出頭せず、又は宣誓、陳述、証言、鑑定若しくは通訳を拒んだときは、
十万円以下の過料に処する。
第七十七条
証拠調又は証拠保全に関し、この法律の規定により特許庁又はその嘱託を受けた裁判所から書類その他の物件の提出又は提示を命じられた者が正当な理由がないのにその命令に従わなかつたときは、
十万円以下の過料に処する。
別表 (第六十七条関係)
|
納付しなければならない者 |
金額 |
一 |
意匠登録出願をする者 |
一件につき一万六千円 |
二 |
第十四条第一項の規定により意匠を秘密にすることを請求する者 |
一件につき五千百円 |
三 |
第二十五条第一項の規定により判定を求める者 |
一件につき四万円 |
四 |
裁定を請求する者 |
一件につき五万五千円 |
五 |
裁定の取消しを請求する者 |
一件につき二万七千五百円 |
六 |
審判又は再審を請求する者 |
一件につき五万五千円 |
七 |
審判又は再審への参加を申請する者 |
一件につき五万五千円 |