虫食い特許法
(昭和三十四年四月十三日法律第百二十一号を翻案したもの)
Last update:2011/10/10
最終改正:平成二十年四月十八日法律第十六号
第一章 総則(第一条―第二十八条)
第二章 特許及び特許出願(第二十九条―第四十六条の二)
第三章 審査(第四十七条―第六十三条)
第三章の二 出願公開(第六十四条―第六十五条)
第四章 特許権
第一節 特許権(第六十六条―第九十九条)
第二節 権利侵害(第百条―第百六条)
第三節 特許料(第百七条―第百十二条の三)
第五章 削除
第六章 審判(第百二十一条―第百七十条)
第七章 再審(第百七十一条―第百七十七条)
第八章 訴訟(第百七十八条―第百八十四条の二)
第九章 特許協力条約に基づく国際出願に係る特例(第百八十四条の三―第百八十四条の二十)
第十章 雑則(第百八十五条―第百九十五条の四)
第十一章 罰則(第百九十六条―第二百四条)
第一章 総則
第一条
この法律は、発明の保護及び利用を図ることにより、発明を奨励し、もつて産業の発達に寄与することを目的とする。
第二条
この法律で「発明」とは、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいう。
2
この法律で「特許発明」とは、特許を受けている発明をいう。
3
この法律で発明について「実施」とは、次に掲げる行為をいう。
一
物(プログラム等を含む。以下同じ。)の発明にあつては、その物の生産、使用、譲渡等(譲渡及び貸渡しをいい、その物がプログラム等である場合には、電気通信回線を通じた提供を含む。以下同じ。)、輸出若しくは輸入又は譲渡等の申出(譲渡等のための展示を含む。以下同じ。)をする行為
二
方法の発明にあつては、その方法の使用をする行為
三
物を生産する方法の発明にあつては、前号に掲げるもののほか、その方法により生産した物の使用、譲渡等、輸出若しくは輸入又は譲渡等の申出をする行為
4
この法律で「プログラム等」とは、プログラム(電子計算機に対する指令であつて、一の結果を得ることができるように組み合わされたものをいう。以下この項において同じ。)その他電子計算機による処理の用に供する情報であつてプログラムに準ずるものをいう。
第三条
この法律又はこの法律に基く命令の規定による期間の計算は、次の規定による。
一
期間の初日は、算入しない。ただし、その期間が
午前零時から始まるときは、この限りでない。
二
期間を定めるのに月又は年をもつてしたときは、暦に従う。月又は年の始から期間を起算しないときは、その期間は、最後の月又は年においてその起算日に応当する日の前日に満了する。ただし、最後の月に応当する日がないときは、その月の
末日に満了する。
2
特許出願、請求その他特許に関する手続(以下単に「手続」という。)についての期間の末日が行政機関の休日に関する法律(昭和六十三年法律第九十一号)第一条第一項各号に掲げる日に当たるときは、その日の翌日をもつてその期間の末日とする。
第五条
特許庁長官、審判長又は審査官は、この法律の規定により手続をすべき期間を指定したときは、請求により又は職権で、その期間を延長することができる。
2
審判長は、この
法律の
規定により
期日を
指定したときは、
請求により又は
職権で、その
期日を
変更することができる。
第六条
法人でない社団又は財団であつて、代表者又は管理人の定めがあるものは、その名において次に掲げる手続をすることができる。
二
特許無効審判又は
延長登録無効審判を請求すること。
三
第百七十一条第一項の規定により
特許無効審判又は
延長登録無効審判の
確定審決に対する
再審を請求すること。
2
法人でない社団又は財団であつて、代表者又は管理人の定めがあるものは、その名において特許無効審判又は延長登録無効審判の確定審決に対する再審を請求されることができる。
第七条
未成年者及び成年被後見人は、法定代理人によらなければ、手続をすることができない。ただし、未成年者が独立して
法律行為をすることができるときは、この限りでない。
2
被保佐人が手続をするには、
保佐人の同意を得なければならない。
3
法定代理人が手続をするには、
後見監督人があるときは、その同意を得なければならない。
4
被保佐人又は法定代理人が、相手方が請求した審判又は再審について手続をするときは、前二項の規定は、適用しない。
第八条
日本国内に住所又は居所(法人にあつては、営業所)を有しない者(以下「在外者」という。)は、政令で定める場合を除き、その者の特許に関する代理人であつて日本国内に住所又は居所を有するもの(以下「特許管理人」という。)によらなければ、手続をし、又はこの法律若しくはこの法律に基づく命令の規定により行政庁がした処分を不服として訴えを提起することができない。
2
特許管理人は、一切の手続及びこの法律又はこの法律に基づく命令の規定により行政庁がした処分を不服とする訴訟について本人を代理する。ただし、在外者が特許管理人の代理権の範囲を制限したときは、この限りでない。
第九条
日本国内に住所又は居所(法人にあつては、営業所)を有する者であつて手続をするものの委任による代理人は、特別の授権を得なければ、特許出願の変更、放棄若しくは取下げ、特許権の存続期間の延長登録の出願の取下げ、請求、申請若しくは申立ての取下げ、第四十一条第一項の優先権の主張若しくはその取下げ、第四十六条の二第一項の規定による実用新案登録に基づく特許出願、出願公開の請求、拒絶査定不服審判の請求、特許権の放棄又は復代理人の選任をすることができない。
第十一条
手続をする者の委任による代理人の代理権は、本人の死亡若しくは本人である法人の合併による消滅、本人である受託者の信託の任務終了又は法定代理人の死亡若しくはその代理権の変更若しくは消滅によつては、消滅しない。
第十二条
手続をする者の代理人が二人以上あるときは、特許庁に対しては、各人が本人を代理する。
第十三条
特許庁長官又は審判長は、手続をする者がその手続をするのに適当でないと認めるときは、代理人により手続をすべきことを命ずることができる。
2
特許庁長官又は審判長は、手続をする者の代理人がその手続をするのに適当でないと認めるときは、その改任を命ずることができる。
3
特許庁長官又は
審判長は、前二項の場合において、
弁理士を
代理人とすべきことを命ずることが
できる。
4
特許庁長官又は審判長は、第一項又は第二項の規定による命令をした後に第一項の手続をする者又は第二項の代理人が特許庁に対してした手続を却下することができる。
第十四条
二人以上が共同して手続をしたときは、特許出願の変更、放棄及び取下げ、特許権の存続期間の延長登録の出願の取下げ、請求、申請又は申立ての取下げ、第四十一条第一項の優先権の主張及びその取下げ、出願公開の請求並びに拒絶査定不服審判の請求以外の手続については、各人が全員を代表するものとする。ただし、代表者を定めて特許庁に届け出たときは、この限りでない。
第十五条
在外者の特許権その他特許に関する権利については、特許管理人があるときはその住所又は居所をもつて、特許管理人がないときは特許庁の所在地をもつて民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第五条第四号の財産の所在地とみなす。
第十六条
未成年者(独立して法律行為をすることができる者を除く。)又は成年被後見人がした手続は、法定代理人(本人が手続をする能力を取得したときは、本人)が追認することができる。
2
代理権がない者がした手続は、手続をする能力がある
本人又は
法定代理人が追認することができる。
3
被保佐人が保佐人の同意を得ないでした手続は、被保佐人が保佐人の同意を得て追認することができる。
4
後見監督人がある場合において法定代理人がその同意を得ないでした手続は、後見監督人の同意を得た法定代理人又は手続をする能力を取得した本人が追認することができる。
第十七条
手続をした者は、事件が特許庁に係属している場合に限り、その補正をすることができる。ただし、
次条から
第十七条の四までの規定により補正をすることができる場合を除き、願書に添付した明細書、特許請求の範囲、図面若しくは要約書又は
第百三十四条の二第一項の訂正若しくは訂正審判の請求書に添付した訂正した明細書、特許請求の範囲若しくは図面について補正をすることができない。
2
第三十六条の二第二項の外国語書面出願の出願人は、前項本文の規定にかかわらず、同条第一項の外国語書面及び外国語要約書面について補正をすることができない。
3
特許庁長官は、次に掲げる場合は、相当の期間を指定して、手続の補正をすべきことを命ずることができる。
一
手続が第七条第一項から第三項まで又は第九条の規定に違反しているとき。
二
手続がこの法律又はこの法律に基づく命令で定める方式に違反しているとき。
三
手続について
第百九十五条第一項から第三項までの規定により納付すべき手数料を納付しないとき。
4
手続の補正(手数料の納付を除く。)をするには、次条第二項に規定する場合を除き、
手続補正書を提出しなければならない。
第十七条の二
特許出願人は、特許をすべき旨の査定の謄本の送達前においては、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面について補正をすることができる。ただし、第五十条の規定による通知を受けた後は、次に掲げる場合に限り、補正をすることができる。
二
拒絶理由通知を受けた後第四十八条の七の規定による通知を受けた場合において、同条の規定により指定された期間内にするとき。
三
拒絶理由通知を受けた後更に拒絶理由通知を受けた場合において、最後に受けた拒絶理由通知に係る第五十条の規定により指定された期間内にするとき。
四
拒絶査定不服審判を請求する場合において、その審判の請求の日から三十日以内と同時にするとき。
2
第三十六条の二第二項の外国語書面出願の出願人が、誤訳の訂正を目的として、前項の規定により明細書、特許請求の範囲又は図面について補正をするときは、その理由を記載した誤訳訂正書を提出しなければならない。
3
第一項の規定により明細書、特許請求の範囲又は図面について補正をするときは、誤訳訂正書を提出してする場合を除き、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(第三十六条の二第二項の外国語書面出願にあつては、同条第四項の規定により明細書、特許請求の範囲及び図面とみなされた同条第二項に規定する外国語書面の翻訳文(誤訳訂正書を提出して明細書、特許請求の範囲又は図面について補正をした場合にあつては、翻訳文又は当該補正後の明細書、特許請求の範囲若しくは図面)。第三十四条の二第一項及び第三十四条の三第一項において同じ。)に記載した事項の範囲内においてしなければならない。
4
前項に規定するもののほか、第一項各号に掲げる場合において特許請求の範囲について補正をするときは、その補正前に受けた拒絶理由通知において特許をすることができないものか否かについての判断が示された発明と、その補正後の特許請求の範囲に記載される事項により特定される発明とが、第三十七条の発明の単一性の要件を満たす一群の発明に該当するものとなるようにしなければならない。
5
前二項に規定するもののほか、第一項第一号、第三号及び第四号に掲げる場合(同項第一号に掲げる場合にあつては、拒絶理由通知と併せて第五十条の二の規定による通知を受けた場合に限る。)において特許請求の範囲についてする補正は、次に掲げる事項を目的とするものに限る。
二
特許請求の範囲の減縮(第三十六条第五項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであつて、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る。)
四
明りようでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る。)
第十七条の三
特許出願人は、特許出願の日(
第四十一条第一項の規定による優先権の主張を伴う特許出願にあつては、同項に規定する先の出願の日、
第四十三条第一項又は
第四十三条の二第一項若しくは第二項の規定による優先権の主張を伴う特許出願にあつては、最初の出願若しくはパリ条約(千九百年十二月十四日にブラッセルで、千九百十一年六月二日にワシントンで、千九百二十五年十一月六日にヘーグで、千九百三十四年六月二日にロンドンで、千九百五十八年十月三十一日にリスボンで及び千九百六十七年七月十四日にストックホルムで改正された工業所有権の保護に関する千八百八十三年三月二十日のパリ条約をいう。以下同じ。)第四条C(4)の規定により最初の出願とみなされた出願又は同条A(2)の規定により最初の出願と認められた出願の日、
第四十一条第一項、
第四十三条第一項又は
第四十三条の二第一項若しくは第二項の規定による二以上の優先権の主張を伴う特許出願にあつては、当該優先権の主張の基礎とした出願の日のうち最先の日。
第三十六条の二第二項本文及び第六十四条第一項において同じ。)
から一年三月以内(出願公開の請求があつた後を除く。)に限り、願書に添付した要約書について補正をすることができる。
2
訂正審判の請求人は、第百五十六条第一項の規定による通知がある前(同条第二項の規定による審理の再開がされた場合にあつては、その後更に同条第一項の規定による通知がある前)に限り、訂正審判の請求書に添付した訂正した明細書、特許請求の範囲又は図面について補正をすることができる。
第十八条
特許庁長官は、第十七条第三項の規定により手続の補正をすべきことを命じた者が同項の規定により指定した期間内にその補正をしないとき、又は特許権の設定の登録を受ける者が第百八条第一項に規定する期間内に特許料を納付しないときは、その手続を却下することができる。
2
特許庁長官は、第十七条第三項の規定により
第百九十五条第三項の規定による手数料の納付をすべきことを命じた特許出願人が
第十七条第三項の規定により指定した期間内にその手数料の納付をしないときは、当該特許出願を
却下することが
できる。
第十八条の二
特許庁長官は、不適法な手続であつて、その補正をすることができないものについては、その手続を却下するものとする。
2
前項の規定により却下しようとするときは、手続をした者に対し、その理由を通知し、相当の期間を指定して、弁明を記載した書面(以下「弁明書」という。)を提出する機会を与えなければならない。
第十九条
願書又はこの法律若しくはこの法律に基く命令の規定により特許庁に提出する書類その他の物件であつて
その提出の期間が定められているものを郵便により提出した場合において、その願書又は物件を郵便局に差し出した
日時を郵便物の
受領証により証明したときはその
日時に、その郵便物の
通信日付印により表示された
日時が明瞭であるときはその
日時に、その郵便物の
通信日付印により表示された
日時のうち
日のみが明瞭であつて
時刻が明瞭でないときは表示された
日の
午後十二時に、その願書又は物件は、特許庁に
到達したものと
みなす。
第二十条
特許権その他特許に関する権利についてした手続の効力は、その特許権その他特許に関する権利の承継人にも、及ぶものとする。
第二十一条
特許庁長官又は
審判長は、特許庁に事件が係属している場合において、特許権その他特許に関する権利の移転があつたときは、特許権その他特許に関する権利の
承継人に対し、その事件に関する手続を
続行することが
できる。
第二十二条
特許庁長官又は審判官は、決定、査定又は審決の謄本の送達後に中断した手続の受継の申立について、受継を許すかどうかの決定をしなければならない。
2
前項の
決定は、文書をもつて行い、かつ、
理由を附さなければならない。
第二十三条
特許庁長官又は審判官は、中断した審査、審判又は再審の手続を受け継ぐべき者が受継を怠つたときは、申立てにより又は職権で、相当の期間を指定して、受継を命じなければならない。
2
特許庁長官又は審判官は、前項の規定により指定した期間内に受継がないときは、その期間の経過の日に受継があつたものとみなすことができる。
3
特許庁長官又は審判長は、前項の規定により受継があつたものとみなしたときは、その旨を当事者に通知しなければならない。
第二十五条
日本国内に
住所又は
居所(法人にあつては、
営業所)を有しない外国人は、次の各号の一に該当する場合を除き、特許権その他特許に関する権利を享有することが
できない。
一
その者の属する国において、日本国民に対しその国民と
同一の条件により特許権その他特許に関する権利の
享有を認めているとき。
二
その者の属する国において、日本国がその国民に対し特許権その他特許に関する権利の享有を認める場合には日本国民に対しその国民と
同一の条件により特許権その他特許に関する権利の享有を認めることとしているとき。
第二十六条
特許に関し
条約に
別段の
定があるときは、その規定による。
第二十七条
次に掲げる事項は、特許庁に備える特許原簿に登録する。
一
特許権の設定、存続期間の延長、移転
、信託による変更、消滅、回復又は処分の制限
二
専用実施権又は通常実施権の設定、保存、移転、変更、消滅又は処分の制限
三
特許権、専用実施権又は通常実施権を目的とする質権の設定、移転、変更、消滅又は処分の制限
四
仮専用実施権又は仮通常実施権の設定、保存、移転、変更、消滅又は処分の制限
2
特許原簿は、その全部又は一部を磁気テープ(これに準ずる方法により一定の事項を確実に記録して置くことができる物を含む。以下同じ。)をもつて調製することができる。
3
この法律に規定するもののほか、登録に関して必要な事項は、政令で定める。
第二十八条
特許庁長官は、特許権の設定の登録があつたとき、又は願書に添付した明細書、特許請求の範囲若しくは図面の訂正をすべき旨の審決が確定した場合において、その登録があつたときは、特許権者に対し、特許証を交付する。
2
特許証の再交付については、経済産業省令で定める。
第二章 特許及び特許出願
第二十九条
産業上利用することができる発明をした者は、次に掲げる発明を除き、その発明について特許を受けることができる。
一
特許出願前に日本国内又は外国において公然知られた発明
二
特許出願前に日本国内又は外国において公然実施をされた発明
三
特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となつた発明
2
特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が前項各号に掲げる発明に基いて容易に発明をすることができたときは、その発明については、同項の規定にかかわらず、特許を受けることができない。
第二十九条の二
特許出願に係る発明が当該特許出願の日前の他の
特許出願又は
実用新案登録出願であつて当該特許出願後に
第六十六条第三項の規定により同項各号に掲げる事項を掲載した
特許公報(以下「
特許掲載公報」という。)の発行若しくは
出願公開又は
実用新案法(昭和三十四年法律第百二十三号)第十四条第三項の規定により同項各号に掲げる事項を掲載した
実用新案公報(以下「
実用新案掲載公報」という。)の発行がされたものの
願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲若しくは実用新案登録請求の範囲又は図面(
第三十六条の二第二項の外国語書面出願にあつては、同条第一項の外国語書面)に記載された発明又は考案(
その発明又は考案をした者が当該特許出願に係る発明の発明者と同一の者である場合におけるその発明又は考案を除く。)と同一であるときは、その発明については、前条第一項の規定にかかわらず、特許を受けることができない。
ただし、当該特許出願の時にその出願人と当該他の特許出願又は実用新案登録出願の出願人とが同一の者であるときは、この限りでない。
第三十条
特許を受ける権利を有する者が試験を行い、刊行物に発表し、電気通信回線を通じて発表し、又は特許庁長官が指定する学術団体が開催する研究集会において文書をもつて発表することにより、第二十九条第一項各号の一に該当するに至つた発明は、その該当するに至つた日から六月以内にその者がした特許出願に係る発明についての同条第一項及び第二項の規定の適用については、同条第一項各号の一に該当するに至らなかつたものとみなす。
2
特許を受ける権利を有する者の意に反して第二十九条第一項各号の一に該当するに至つた発明も、その該当するに至つた日から六月以内にその者がした特許出願に係る発明についての同条第一項及び第二項の規定の適用については、前項と同様とする。
3
特許を受ける権利を有する者が政府若しくは地方公共団体(以下「政府等」という。)が開設する博覧会若しくは政府等以外の者が開設する博覧会であつて特許庁長官が指定するものに、パリ条約の同盟国若しくは世界貿易機関の加盟国の領域内でその政府等若しくはその許可を受けた者が開設する国際的な博覧会に、又はパリ条約の同盟国若しくは世界貿易機関の加盟国のいずれにも該当しない国の領域内でその政府等若しくはその許可を受けた者が開設する国際的な博覧会であつて特許庁長官が指定するものに出品することにより、第二十九条第一項各号の一に該当するに至つた発明も、その該当するに至つた日から六月以内にその者がした特許出願に係る発明についての同条第一項及び第二項の規定の適用については、第一項と同様とする。
4
第一項又は前項の規定の適用を受けようとする者は、その旨を記載した書面を特許出願と同時に特許庁長官に提出し、かつ、第二十九条第一項各号の一に該当するに至つた発明が第一項又は前項の規定の適用を受けることができる発明であることを証明する書面を特許出願の日から三十日以内に特許庁長官に提出しなければならない。
第三十二条
公の
秩序、
善良の
風俗又は
公衆の
衛生を害するおそれがある発明については、第二十九条の規定にかかわらず、特許を受けることができない。
第三十三条
特許を受ける権利は、移転することができる。
2
特許を受ける権利は、質権の目的とすることができない。
3
特許を受ける権利が共有に係るときは、各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、その持分を譲渡することができない。
4
特許を受ける権利が共有に係るときは、各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、その特許を受ける権利に基づいて取得すべき特許権について、仮専用実施権を設定し、又は他人に仮通常実施権を許諾することができない。
第三十四条
特許出願前における特許を受ける権利の承継は、その承継人が特許出願をしなければ、第三者に対抗することができない。
2
同一の者から承継した同一の特許を受ける権利について同日に二以上の特許出願があつたときは、特許出願人の協議により定めた者以外の者の承継は、第三者に対抗することができない。
3
同一の者から承継した同一の発明及び考案についての特許を受ける権利及び実用新案登録を受ける権利について同日に特許出願及び実用新案登録出願があつたときも、前項と同様とする。
4
特許出願後における特許を受ける権利の承継は、相続その他の一般承継の場合を除き、特許庁長官に届け出なければ、その効力を生じない。
5
特許を受ける権利の相続その他の一般承継があつたときは、承継人は、遅滞なく、その旨を特許庁長官に届け出なければならない。
6
同一の者から承継した同一の特許を受ける権利の承継について同日に二以上の届出があつたときは、届出をした者の協議により定めた者以外の者の届出は、その効力を生じない。
第三十四条の二
特許を受ける権利を有する者は、その特許を受ける権利に基づいて取得すべき特許権について、その特許出願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内において、仮専用実施権を設定することができる。
2
仮専用実施権に係る特許出願について特許権の設定の登録があつたときは、その特許権について、当該仮専用実施権の設定行為で定めた範囲内において、専用実施権が設定されたものとみなす。
3
仮専用実施権は、その特許出願に係る発明の実施の事業とともにする場合、特許を受ける権利を有する者の承諾を得た場合及び相続その他の一般承継の場合に限り、移転することができる。
4
仮専用実施権者は、特許を受ける権利を有する者の承諾を得た場合に限り、その仮専用実施権に基づいて取得すべき専用実施権について、他人に仮通常実施権を許諾することができる。
5
仮専用実施権に係る特許出願について、第四十四条第一項の規定による特許出願の分割があつたときは、当該特許出願の分割に係る新たな特許出願に係る特許を受ける権利に基づいて取得すべき特許権について、当該仮専用実施権の設定行為で定めた範囲内において、仮専用実施権が設定されたものとみなす。ただし、当該設定行為に別段の定めがあるときは、この限りでない。
6
仮専用実施権は、その特許出願について特許権の設定の登録があつたとき、その特許出願が放棄され、取り下げられ、若しくは却下されたとき又はその特許出願について拒絶をすべき旨の査定若しくは審決が確定したときは、消滅する。
7
仮専用実施権者は、第四項又は次条第六項本文の規定による仮通常実施権者があるときは、これらの者の承諾を得た場合に限り、その仮専用実施権を放棄することができる。
第三十四条の三
特許を受ける権利を有する者は、その特許を受ける権利に基づいて取得すべき特許権について、その特許出願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内において、他人に仮通常実施権を許諾することができる。
2
前項の規定による仮通常実施権に係る特許出願について特許権の設定の登録があつたときは、当該仮通常実施権を有する者(当該仮通常実施権を許諾した者と当該特許権者とが異なる場合にあつては、登録した仮通常実施権を有する者に限る。)に対し、その特許権について、当該仮通常実施権の設定行為で定めた範囲内において、通常実施権が許諾されたものとみなす。
3
前条第二項の規定により、同条第四項の規定による仮通常実施権に係る仮専用実施権について専用実施権が設定されたものとみなされたときは、当該仮通常実施権を有する者(当該仮通常実施権を許諾した者と当該専用実施権者とが異なる場合にあつては、登録した仮通常実施権を有する者に限る。)に対し、その専用実施権について、当該仮通常実施権の設定行為で定めた範囲内において、通常実施権が許諾されたものとみなす。
4
仮通常実施権は、その特許出願に係る発明の実施の事業とともにする場合、特許を受ける権利を有する者(仮専用実施権に基づいて取得すべき専用実施権についての仮通常実施権にあつては、特許を受ける権利を有する者及び仮専用実施権者)の承諾を得た場合及び相続その他の一般承継の場合に限り、移転することができる。
5
仮通常実施権に係る特許出願について、第四十四条第一項の規定による特許出願の分割があつたときは、当該仮通常実施権を有する者(当該仮通常実施権を許諾した者と当該特許出願に係る特許を受ける権利を有する者とが異なる場合にあつては、登録した仮通常実施権を有する者に限る。)に対し、当該特許出願の分割に係る新たな特許出願に係る特許を受ける権利に基づいて取得すべき特許権について、当該仮通常実施権の設定行為で定めた範囲内において、仮通常実施権が許諾されたものとみなす。ただし、当該設定行為に別段の定めがあるときは、この限りでない。
6
前条第五項本文の規定により、同項に規定する新たな特許出願に係る特許を受ける権利に基づいて取得すべき特許権についての仮専用実施権(以下この項において「新たな特許出願に係る仮専用実施権」という。)が設定されたものとみなされたときは、当該新たな特許出願に係るもとの特許出願に係る特許を受ける権利に基づいて取得すべき特許権についての仮専用実施権(以下この項において「もとの特許出願に係る仮専用実施権」という。)に基づいて取得すべき専用実施権についての仮通常実施権を有する者(当該仮通常実施権を許諾した者と当該もとの特許出願に係る仮専用実施権を有する者とが異なる場合にあつては、登録した仮通常実施権を有する者に限る。)に対し、当該新たな特許出願に係る仮専用実施権に基づいて取得すべき専用実施権について、当該仮通常実施権の設定行為で定めた範囲内において、仮通常実施権が許諾されたものとみなす。ただし、当該設定行為に別段の定めがあるときは、この限りでない。
7
仮通常実施権は、その特許出願について特許権の設定の登録があつたとき、その特許出願が放棄され、取り下げられ、若しくは却下されたとき又はその特許出願について拒絶をすべき旨の査定若しくは審決が確定したときは、消滅する。
8
前項に定める場合のほか、前条第四項の規定又は第六項本文の規定による仮通常実施権は、その仮専用実施権が消滅したときは、消滅する。
第三十四条の四
仮専用実施権の設定、移転(相続その他の一般承継によるものを除く。)、変更、消滅(混同又は第三十四条の二第六項の規定によるものを除く。)又は処分の制限は、登録しなければ、その効力を生じない。
2
前項の相続その他の一般承継の場合は、遅滞なく、その旨を特許庁長官に届け出なければならない。
第三十四条の五
仮通常実施権は、その登録をしたときは、当該仮通常実施権に係る特許を受ける権利若しくは仮専用実施権又は当該仮通常実施権に係る特許を受ける権利に関する仮専用実施権をその後に取得した者に対しても、その効力を生ずる。
2
仮通常実施権の移転、変更、消滅又は処分の制限は、登録しなければ、第三者に対抗することができない。
第三十五条
使用者、法人、国又は地方公共団体(以下「使用者等」という。)は、従業者、法人の役員、国家公務員又は地方公務員(以下「従業者等」という。)がその性質上当該使用者等の業務範囲に属し、かつ、その発明をするに至つた行為がその使用者等における従業者等の現在又は過去の職務に属する発明(以下「職務発明」という。)について特許を受けたとき、又は職務発明について特許を受ける権利を承継した者がその発明について特許を受けたときは、その特許権について通常実施権を有する。
2
従業者等がした発明については、その発明が職務発明である場合を除き、あらかじめ使用者等に特許を受ける権利若しくは特許権を承継させ又は使用者等のため仮専用実施権若しくは専用実施権を設定することを定めた契約、勤務規則その他の定めの条項は、無効とする。
3
従業者等は、契約、勤務規則その他の定めにより、職務発明について使用者等に特許を受ける権利若しくは特許権を承継させ、又は若しくは使用者等のため専用実施権を設定したとき、又は契約、勤務規則その他の定めにより職務発明について使用者等のため仮専用実施権を設定した場合において、第三十四条の二第二項の規定により専用実施権が設定されたものとみなされたときは、相当の対価の支払を受ける権利を有する。
4
契約、勤務規則その他の定めにおいて前項の
対価について定める場合には、
対価を決定するための
基準の
策定に際して
使用者等と
従業者等との間で行われる
協議の状況、
策定された当該
基準の
開示の状況、
対価の額の
算定について行われる
従業者等からの意見の
聴取の状況等を考慮して、その定めたところにより対価を支払うことが
不合理と認められるものであつてはならない。
5
前項の
対価についての定めがない場合又はその定めたところにより
対価を支払うことが同項の規定により
不合理と認められる場合には、第三項の
対価の額は、その発明により
使用者等が受けるべき
利益の額、その発明に関連して
使用者等が行う
負担、
貢献及び
従業者等の
処遇その他の事情を考慮して定めなければならない。
第三十六条
特許を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した願書を特許庁長官に提出しなければならない。
2
願書には、
明細書、
特許請求の範囲、
必要な
図面及び
要約書を添付しなければならない。
3
前項の明細書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
4
前項第三号の発明の詳細な説明の記載は、次の各号に適合するものでなければならない。
一
経済産業省令で定めるところにより、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであること。
二
その発明に関連する文献公知発明(第二十九条第一項第三号に掲げる発明をいう。以下この号において同じ。)のうち、特許を受けようとする者が特許出願の時に知つているものがあるときは、その文献公知発明が記載された刊行物の名称その他のその文献公知発明に関する情報の所在を記載したものであること。
5
第二項の特許請求の範囲には、請求項に区分して、各請求項ごとに特許出願人が特許を受けようとする発明を特定するために必要と認める事項のすべてを記載しなければならない。この場合において、一の請求項に係る発明と他の請求項に係る発明とが同一である記載となることを
妨げない。
6
第二項の
特許請求の範囲の記載は、次の各号に適合するものでなければならない。
一
特許を受けようとする発明が
発明の詳細な説明に記載したものであること。
四
その他経済産業省令で定めるところにより記載されていること。
7
第二項の
要約書には、
明細書、
特許請求の範囲又は
図面に記載した発明の概要その他経済産業省令で定める事項を記載しなければならない。
第三十六条の二
特許を受けようとする者は、前条第二項の
明細書、
特許請求の範囲、必要な
図面及び
要約書に代えて、同条第三項から第六項までの規定により
明細書又は
特許請求の範囲に記載すべきものとされる事項を経済産業省令で定める外国語で記載した書面及び必要な
図面でこれに含まれる説明をその外国語で記載したもの(以下「
外国語書面」という。)並びに同条第七項の規定により
要約書に記載すべきものとされる事項をその外国語で記載した書面(以下「
外国語要約書面」という。)を願書に添付することができる。
2
前項の規定により外国語書面及び外国語要約書面を願書に添付した特許出願(以下「外国語書面出願」という。)の出願人は、その特許出願の日から一年二月以内に外国語書面及び外国語要約書面の日本語による翻訳文を、特許庁長官に提出しなければならない。ただし、当該外国語書面出願が第四十四条第一項の規定による特許出願の分割に係る新たな特許出願、第四十六条第一項若しくは第二項の規定による出願の変更に係る特許出願又は第四十六条の二第一項の規定による実用新案登録に基づく特許出願である場合にあつては、本文の期間の経過後であつても、その特許出願の分割、出願の変更又は実用新案登録に基づく特許出願の日から二月以内に限り、外国語書面及び外国語要約書面の日本語による翻訳文を提出することができる。
3
前項に規定する期間内に
外国語書面(図面を除く。)の同項に規定する翻訳文の提出がなかつたときは、その特許出願は、取り下げられたものと
みなす。
4
第二項に規定する
外国語書面の翻訳文は前条第二項の規定により願書に添付して提出した
明細書、
特許請求の範囲及び
図面と、第二項に規定する
外国語要約書面の翻訳文は前条第二項の規定により願書に添付して提出した
要約書と
みなす。
第三十七条
二以上の発明については、経済産業省令で定める技術的関係を有することにより発明の単一性の要件を満たす一群の発明に該当するときは、一の願書で特許出願をすることができる。
第三十八条
特許を受ける権利が
共有に係るときは、各
共有者は、他の
共有者と
共同でなければ、特許出願をすることが
できない。
第三十八条の二
特許出願人は、その特許出願について仮専用実施権又は登録した仮通常実施権を有する者があるときは、これらの者の承諾を得た場合に限り、その特許出願を放棄し、又は取り下げることができる。
第三十九条
同一の発明について異なつた日に二以上の特許出願があつたときは、最先の特許出願人のみがその発明について特許を受けることができる。
2
同一の発明について
同日に二以上の特許出願があつたときは、特許出願人の
協議により定めた
一の特許出願人のみがその発明について特許を受けることができる。
協議が成立せず、又は
協議をすることができないときは、
いずれも、その発明について特許を受けることが
できない。
3
特許出願に係る発明と実用新案登録出願に係る考案とが
同一である場合において、その特許出願及び実用新案登録出願が
異なつた日にされたものであるときは、特許出願人は、実用新案登録出願人より
先に出願をした場合にのみその発明について特許を受けることができる。
4
特許出願に係る発明と実用新案登録出願に係る考案とが
同一である場合(
第四十六条の二第一項の規定による実用新案登録に基づく特許出願(
第四十四条第二項(
第四十六条第五項において準用する場合を含む。)の規定により当該特許出願の時にしたものとみなされるものを含む。)に係る発明とその実用新案登録に係る考案とが同一である場合を
除く。)において、その特許出願及び実用新案登録出願が
同日にされたものであるときは、出願人の
協議により定めた
一の出願人のみが特許又は実用新案登録を受けることができる。
協議が成立せず、又は
協議をすることができないときは、特許出願人は、その発明について特許を受けることが
できない。
5
特許出願若しくは実用新案登録出願が放棄され、取り下げられ、若しくは却下されたとき、又は特許出願について拒絶をすべき旨の査定若しくは審決が確定したときは、その特許出願又は実用新案登録出願は、第一項から前項までの規定の適用については、初めからなかつたものとみなす。ただし、その特許出願について第二項後段又は前項後段の規定に該当することにより拒絶をすべき旨の査定又は審決が確定したときは、この限りでない。
6
発明者又は考案者でない者であつて特許を受ける権利又は実用新案登録を受ける権利を承継しないものがした特許出願又は実用新案登録出願は、第一項から第四項までの規定の適用については、特許出願又は実用新案登録出願でないものとみなす。
7
第二項又は第四項の場合は、
相当の期間を指定して、第二項又は第四項の
協議をしてその結果を届け出るべき旨を出願人に命じなければならない。
8
特許庁長官は、前項の規定により指定した
期間内に同項の規定による届出がないときは、第二項又は第四項の
協議が
成立しなかつたものとみなすことが
できる。
第四十一条
特許を受けようとする者は、次に掲げる場合を除き、その特許出願に係る発明について、その者が特許又は実用新案登録を受ける権利を有する特許出願又は実用新案登録出願であつて先にされたもの(以下「先の出願」という。)の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲若しくは実用新案登録請求の範囲又は図面(先の出願が外国語書面出願である場合にあつては、外国語書面)に記載された発明に基づいて優先権を主張することができる。 ただし、先の出願について仮専用実施権又は登録した仮通常実施権を有する者があるときは、その特許出願の際に、これらの者の承諾を得ている場合に限る。
一
その特許出願が先の出願の日から一年以内にされたものでない場合
三
先の出願が、その特許出願の際に、放棄され、取り下げられ、又は却下されている場合
四
先の出願について、その特許出願の際に、査定又は審決が確定している場合
3
第一項の規定による優先権の主張を伴う特許出願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(外国語書面出願にあつては、外国語書面)に記載された発明のうち、当該優先権の主張の基礎とされた先の出願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲若しくは実用新案登録請求の範囲又は図面(当該先の出願が外国語書面出願である場合にあつては、外国語書面)に記載された発明(当該先の出願が同項若しくは実用新案法第八条第一項の規定による優先権の主張又は第四十三条第一項若しくは第四十三条の二第一項若しくは第二項(同法第十一条第一項において準用する場合を含む。)の規定による優先権の主張を伴う出願である場合には、当該先の出願についての優先権の主張の基礎とされた出願に係る出願の際の書類(明細書、特許請求の範囲若しくは実用新案登録請求の範囲又は図面に相当するものに限る。)に記載された発明を除く。)については、当該特許出願について特許掲載公報の発行又は出願公開がされた時に当該先の出願について出願公開又は実用新案掲載公報の発行がされたものとみなして、第二十九条の二本文又は同法第三条の二本文の規定を適用する。
4
第一項の規定による優先権を主張しようとする者は、その旨及び先の出願の表示を記載した書面を特許出願と同時に特許庁長官に提出しなければならない。
第四十二条
前条第一項の規定による優先権の主張の基礎とされた先の出願は、その出願の日から一年三月を経過した時に取り下げたものとみなす。ただし、当該先の出願が放棄され、取り下げられ、若しくは却下されている場合、当該先の出願について査定若しくは審決が確定している場合、当該先の出願について
実用新案法第十四条第二項に規定する設定の登録がされている場合又は当該先の出願に基づく
すべての優先権の主張が取り下げられている場合には、この限りでない。
2
前条第一項の規定による優先権の主張を伴う特許出願の出願人は、先の出願の日から一年三月を経過した後は、その主張を取り下げることができない。
3
前条第一項の規定による優先権の主張を伴う特許出願が先の出願の日から一年三月以内に取り下げられたときは、同時に当該優先権の主張が取り下げられたものとみなす。
第四十三条
パリ条約第四条D(1)の規定により特許出願について優先権を主張しようとする者は、その旨並びに最初に出願をし若しくは同条C(4)の規定により最初の出願とみなされた出願をし又は同条A(2)の規定により最初に出願をしたものと認められたパリ条約の同盟国の国名及び出願の年月日を記載した書面を特許出願と同時に
特許庁長官に提出しなければならない。
2
前項の規定による優先権の主張をした者は、最初に出願をし、若しくはパリ条約第四条C(4)の規定により最初の出願とみなされた出願をし、若しくは同条A(2)の規定により最初に出願をしたものと認められたパリ条約の同盟国の認証がある出願の年月日を記載した書面、その出願の際の書類で明細書、特許請求の範囲若しくは実用新案登録請求の範囲及び図面に相当するものの謄本又はこれらと同様な内容を有する公報若しくは証明書であつてその同盟国の政府が発行したものを次の各号に掲げる日のうち最先の日から
一年四月以内に
特許庁長官に提出しなければならない。
一
当該最初の出願若しくはパリ条約第四条C(4)の規定により当該最初の出願とみなされた出願又は同条A(2)の規定により当該最初の出願と認められた出願の日
二
その特許出願が第四十一条第一項の規定による優先権の主張を伴う場合における当該優先権の主張の基礎とした出願の日
三
その特許出願が前項又は次条第一項若しくは第二項の規定による他の優先権の主張を伴う場合における当該優先権の主張の基礎とした出願の日
3
第一項の規定による優先権の主張をした者は、最初の出願若しくはパリ条約第四条C(4)の規定により最初の出願とみなされた出願又は同条A(2)の規定により最初の出願と認められた出願の番号を記載した書面を前項に規定する書類とともに
特許庁長官に提出しなければならない。ただし、同項に規定する書類の提出前にその番号を知ることができないときは、当該書面に代えてその理由を記載した書面を提出し、かつ、その番号を知つたときは、遅滞なく、その番号を記載した書面を提出しなければならない。
4
第一項の規定による優先権の主張をした者が第二項に規定する期間内に同項に規定する書類を提出しないときは、当該優先権の主張は、その効力を失う。
5
第二項に規定する書類に記載されている事項を
出願番号により特定して電磁的方法(電子的方法、磁気的方法その他の人の知覚によつて認識することができない方法をいう。)により
パリ条約の同盟国の政府又は工業所有権に関する国際機関との間で交換することができる
経済産業省令で定める国においてした出願に基づき場合として経済産業省令で定める場合において、第一項の規定による優先権の主張をした者が、第二項に規定する期間内に
当該出願の番号、出願の番号その他の当該事項を交換するために必要な事項として経済産業省令で定める事項を記載した書面を
特許庁長官に提出したときは、前二項の規定の適用については、第二項に規定する書類を提出したものとみなす。
第四十三条の二
次の表の上欄に掲げる者が同表の下欄に掲げる国においてした出願に基づく優先権は、パリ条約第四条の規定の例により、特許出願について、これを主張することができる。
日本国民又はパリ条約の同盟国の国民(パリ条約第三条の規定により同盟国の国民とみなされる者を含む。次項において同じ。) |
世界貿易機関の加盟国 |
世界貿易機関の加盟国の国民(世界貿易機関を設立するマラケシュ協定附属書一C第一条3に規定する加盟国の国民をいう。次項において同じ。) |
パリ条約の同盟国又は世界貿易機関の加盟国 |
2
パリ条約の同盟国又は世界貿易機関の加盟国のいずれにも該当しない国(日本国民に対し、日本国と同一の条件により優先権の主張を認めることとしているものであつて、特許庁長官が指定するものに限る。以下この項において「特定国」という。)の国民がその特定国においてした出願に基づく優先権及び日本国民又はパリ条約の同盟国の国民若しくは世界貿易機関の加盟国の国民が特定国においてした出願に基づく優先権は、パリ条約第四条の規定の例により、特許出願について、これを主張することができる。
3
前条の規定は、前二項の規定により優先権を主張する場合に準用する。
第四十四条
特許出願人は、次に掲げる場合に限り、二以上の発明を包含する特許出願の一部を一又は二以上の新たな特許出願とすることができる。
一
願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面について補正をすることができる時又は期間内にするとき。
二
特許をすべき旨の査定(第百六十三条第三項において準用する第五十一条の規定による特許をすべき旨の査定及び第百六十条第一項に規定する審査に付された特許出願についての特許をすべき旨の査定を除く。)の謄本の送達があつた日から三十日以内にするとき。
三
拒絶をすべき旨の最初の査定の謄本の送達があつた日から三十日三月以内にするとき。
3
第一項に規定する新たな特許出願をする場合における
第四十三条第二項(前条第三項において準用する場合を含む。)の規定の適用については、第四十三条第二項中「最先の日から
一年四月以内」とあるのは、「最先の日から
一年四月又は新たな特許出願の日から
三月のいずれか
遅い日まで」とする。
4
第一項に規定する新たな特許出願をする場合には、もとの特許出願について提出された書面又は書類であつて、新たな特許出願について第三十条第四項、第四十一条第四項又は第四十三条第一項及び第二項(前条第三項において準用する場合を含む。)の規定により提出しなければならないものは、当該新たな特許出願と同時に特許庁長官に提出されたものとみなす。
5
第一項第二号に規定する
三十日の期間は、
第四条又は
第百八条第三項の規定により同条第一項に規定する期間が延長されたときは、その延長された期間を限り、延長されたものとみなす。
6
第一項第三号に規定する
三十日三月の期間は、
第四条の規定により
第百二十一条第一項に規定する期間が延長されたときは、その延長された期間を限り、延長されたものとみなす。
第四十六条
実用新案登録出願人は、その実用新案登録出願を特許出願に変更することができる。ただし、その実用新案登録出願の日から三年を経過した後は、この限りでない。
2
意匠登録出願人は、その意匠登録出願を特許出願に変更することができる。ただし、その意匠登録出願について拒絶をすべき旨の最初の査定の謄本の送達があつた日から三十日三月を経過した後又はその意匠登録出願の日から三年を経過した後(その意匠登録出願について拒絶をすべき旨の最初の査定の謄本の送達があつた日から三十日三月以内の期間を除く。)は、この限りでない。
4
第一項又は第二項の規定による出願の変更があつたときは、もとの出願は、
取り下げたものとみなす。
5
第四十四条第二項から第四項までの規定は、第一項又は第二項の規定による出願の変更の場合に準用する。
第四十六条の二
実用新案権者は、次に掲げる場合を除き、経済産業省令で定めるところにより、自己の実用新案登録に基づいて特許出願をすることができる。この場合においては、その実用新案権を放棄しなければならない。
一
その実用新案登録に係る実用新案登録出願の日から三年を経過したとき。
二
その実用新案登録に係る実用新案登録出願又はその実用新案登録について、実用新案登録出願人又は実用新案権者から実用新案法第十二条第一項に規定する実用新案技術評価(次号において単に「実用新案技術評価」という。)の請求があつたとき。
三
その実用新案登録に係る実用新案登録出願又はその実用新案登録について、実用新案登録出願人又は実用新案権者でない者がした実用新案技術評価の請求に係る実用新案法第十三条第二項の規定による最初の通知を受けた日から三十日を経過したとき。
3
第一項の規定による特許出願をする者がその責めに帰することができない理由により同項第三号に規定する期間を経過するまでにその特許出願をすることができないときは、同号の規定にかかわらず、その理由がなくなつた日から十四日(在外者にあつては、二月)以内でその期間の経過後六月以内にその特許出願をすることができる。
第三章 審査
第四十七条
特許庁長官は、
審査官に特許出願を審査させなければならない。
第四十八条
第百三十九条第一号から第五号まで及び第七号の規定は、審査官に準用する。
第四十八条の二
特許出願の審査は、その特許出願についての出願審査の請求をまつて行なう。
第四十八条の三
特許出願があつたときは、何人も、その日から三年以内に、特許庁長官にその特許出願について出願審査の請求をすることができる。H11-06(外国語書面出願も正規の特許出願なので、翻訳文の提出の有無に関係なく出願審査請求できる(184条の17の国際特許出願の審査請求の時期とは要件が異なる))
2
第四十四条第一項の規定による特許出願の分割に係る新たな特許出願、第四十六条第一項若しくは第二項の規定による出願の変更に係る特許出願又は第四十六条の二第一項の規定による実用新案登録に基づく特許出願については、前項の期間の経過後であつても、その特許出願の分割、出願の変更又は実用新案登録に基づく特許出願の日から三十日以内に限り、出願審査の請求をすることができる。
4
第一項又は第二項の規定により出願審査の請求をすることができる期間内に出願審査の請求がなかつたときは、この特許出願は、
取り下げたものと
みなす。
第四十八条の四
出願審査の請求をしようとする者は、次に掲げる事項を記載した請求書を特許庁長官に提出しなければならない。
第四十八条の五
特許庁長官は、出願公開前に出願審査の請求があつたときは出願公開の際又はその後遅滞なく、出願公開後に出願審査の請求があつたときはその後遅滞なく、その旨を特許公報に掲載しなければならない。
2
特許庁長官は、特許出願人でない者から出願審査の請求があつたときは、その旨を特許出願人に通知しなければならない。
第四十八条の六
特許庁長官は、出願公開後に特許出願人でない者が業として特許出願に係る発明を実施していると認める場合において必要があるときは、審査官にその特許出願を他の特許出願に優先して審査させることができる。
第四十八条の七
審査官は、特許出願が
第三十六条第四項第二号に規定する要件を満たしていないと認めるときは、特許出願人に対し、その旨を通知し、
相当の期間を指定して、
意見書を提出する機会を与えることができる。
第四十九条
審査官は、特許出願が次の各号のいずれかに該当するときは、その特許出願について拒絶をすべき旨の査定をしなければならない。
一
その特許出願の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面についてした補正が第十七条の二第三項又は第四項に規定する要件を満たしていないとき。
三
その特許出願に係る発明が条約の規定により特許をすることができないものであるとき。
五
前条の規定による通知をした場合であつて、その特許出願が明細書についての補正又は意見書の提出によつてもなお第三十六条第四項第二号に規定する要件を満たすこととならないとき。
六
その特許出願が外国語書面出願である場合において、当該特許出願の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項が外国語書面に記載した事項の範囲内にないとき。
七
その特許出願人が発明者でない場合において、その発明について特許を受ける権利を承継していないとき。
第五十条
審査官は、拒絶をすべき旨の
査定をしようとするときは、特許出願人に対し、拒絶の
理由を通知し、
相当の期間を指定して、
意見書を提出する機会を与えなければならない。ただし、
第十七条の二第一項第一号又は第三号に掲げる場合(同項第一号に掲げる場合にあつては、拒絶の理由の通知と併せて次条の規定による通知をした場合に限る。)において、
第五十三条第一項の規定による
却下の決定をするときは、この限りでない。
第五十条の二
審査官は、前条の規定により特許出願について拒絶の理由を通知しようとする場合において、当該拒絶の理由が、他の特許出願(当該特許出願と当該他の特許出願の少なくともいずれか一方に第四十四条第二項の規定が適用されたことにより当該特許出願と同時にされたこととなつているものに限る。)についての前条(第百五十九条第二項(第百七十四条第一項において準用する場合を含む。)及び第百六十三条第二項において準用する場合を含む。)の規定による通知(当該特許出願についての出願審査の請求前に当該特許出願の出願人がその内容を知り得る状態になかつたものを除く。)に係る拒絶の理由と同一であるときは、その旨を併せて通知しなければならない。
第五十一条
審査官は、特許出願について拒絶の
理由を発見
しないときは、
特許をすべき旨の
査定をしなければならない。
第五十二条
査定は、
文書をもつて行い、かつ、
理由を付さなければならない。
2
特許庁長官は、
査定があつたときは、
査定の
謄本を
特許出願人に送達しなければならない。
第五十三条
第十七条の二第一項第一号又は第三号に掲げる場合(同項第一号に掲げる場合にあつては、拒絶の理由の通知と併せて第五十条の二の規定による通知をした場合に限る。)において、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面についてした補正が第十七条の二第三項から第六項までの規定に違反しているものと特許をすべき旨の査定の謄本の送達前に認められたときは、審査官は、決定をもつてその補正を却下しなければならない。
2
前項の規定による
却下の
決定は、
文書をもつて行い、かつ、
理由を付さなければならない。
3
第一項の規定による却下の決定に対しては、不服を申し立てることができない。ただし、拒絶査定不服審判を請求した場合における審判においては、この限りでない。
第五十四条
審査において必要があると認めるときは、審決が確定し、又は訴訟手続が完結するまでその手続を中止することができる。
2
訴えの提起又は仮差押命令若しくは仮処分命令の申立てがあつた場合において、必要があると認めるときは、裁判所は、査定が確定するまでその訴訟手続を中止することができる。
第三章の二 出願公開
第六十四条
特許庁長官は、特許出願の日から一年六月を経過したときは、特許掲載公報の発行をしたものを除き、その特許出願について出願公開をしなければならない。次条第一項に規定する出願公開の請求があつたときも、同様とする。
2
出願公開は、次に掲げる事項を
特許公報に掲載することにより行う。
ただし、第四号から第六号までに掲げる事項については、当該事項を特許公報に掲載することが公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあると特許庁長官が認めるときは、この限りでない。
四
願書に添付した明細書及び特許請求の範囲に記載した事項並びに図面の内容
六
外国語書面出願にあつては、外国語書面及び外国語要約書面に記載した事項
3
特許庁長官は、願書に添付した要約書の記載が第三十六条第七項の規定に適合しないときその他必要があると認めるときは、前項第五号の要約書に記載した事項に代えて、自ら作成した事項を特許公報に掲載することができる。
第六十四条の二
特許出願人は、次に掲げる場合を除き、
特許庁長官に、その特許出願について
出願公開の
請求をすることができる。
三
その特許出願が外国語書面出願であつて第三十六条の二第二項に規定する外国語書面の翻訳文が特許庁長官に提出されていないものである場合
第六十四条の三
出願公開の請求をしようとする
特許出願人は、次に掲げる事項を記載した請求書を
特許庁長官に提出しなければならない。
第六十五条
特許出願人は、出願公開があつた後に特許出願に係る発明の内容を記載した書面を提示して警告をしたときは、その警告後特許権の設定の登録前に業としてその発明を実施した者に対し、その発明が特許発明である場合にその実施に対し受けるべき金銭の額に相当する額の補償金の支払を請求することができる。当該警告をしない場合においても、出願公開がされた特許出願に係る発明であることを知つて特許権の設定の登録前に業としてその発明を実施した者に対しては、同様とする。
2
前項の規定による
請求権は、
特許権の
設定の
登録があつた後でなければ、行使することができない。
3
特許出願人は、その仮専用実施権者又は仮通常実施権者が、その設定行為で定めた範囲内において当該特許出願に係る発明を実施した場合については、第一項に規定する補償金の支払を請求することができない。
34
第一項の規定による請求権の行使は、特許権の行使を妨げない。
45
出願公開後に特許出願が放棄され、取り下げられ、若しくは却下されたとき、特許出願について拒絶をすべき旨の査定若しくは審決が確定したとき、第百十二条第六項の規定により特許権が初めから存在しなかつたものとみなされたとき(更に第百十二条の二第二項の規定により特許権が初めから存在していたものとみなされたときを除く。)、又は第百二十五条ただし書の場合を除き特許を無効にすべき旨の審決が確定したときは、第一項の請求権は、初めから生じなかつたものとみなす。
56
第百一条、第百四条から第百五条の二まで、第百五条の四から第百五条の七まで及び第百六十八条第三項から第六項まで並びに民法
(明治二十九年法律第八十九号)第七百十九条
及び第七百二十四条
(不法行為)の規定は、第一項の規定による請求権を行使する場合に準用する。この場合において、当該請求権を有する者が特許権の設定の登録前に当該特許出願に係る発明の実施の事実及びその実施をした者を知つたときは、同条中「被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時」とあるのは、「特許権の設定の登録の日」と読み替えるものとする。
第四章 特許権
第一節 特許権
2
第百七条第一項の規定による第一年から第三年までの各年分の特許料の納付又はその納付の免除若しくは猶予があつたときは、特許権の設定の登録をする。
3
前項の
登録があつたときは、次に掲げる事項を
特許公報に掲載しなければならない。ただし、第五号に掲げる事項については、その特許出願について
出願公開がされているときは、この限りでない。
四
願書に添付した明細書及び特許請求の範囲に記載した事項並びに図面の内容
4
第六十四条第三項の規定は、前項の規定により同項第五号の要約書に記載した事項を特許公報に掲載する場合に準用する。
第六十七条
特許権の存続期間は、特許出願の日から二十年をもつて終了する。
2
特許権の存続期間は、その特許発明の実施について安全性の確保等を目的とする法律の規定による許可その他の処分であつて当該処分の目的、手続等からみて当該処分を的確に行うには相当の期間を要するものとして政令で定めるものを受けることが必要であるために、その特許発明の実施をすることができない期間があつたときは、五年を限度として、延長登録の出願により延長することができる。
第六十七条の二
特許権の存続期間の延長登録の出願をしようとする者は、次に掲げる事項を記載した願書を
特許庁長官に提出しなければならない。
2
前項の願書には、経済産業省令で定めるところにより、延長の理由を記載した資料を添付しなければならない。
3
特許権の存続期間の延長登録の出願は、前条第二項の政令で定める処分を受けた日から政令で定める期間内にしなければならない。ただし、同条第一項に規定する特許権の存続期間の満了後は、することができない。
4
特許権が共有に係るときは、各共有者は、他の共有者と共同でなければ、特許権の存続期間の延長登録の出願をすることができない。
5
特許権の存続期間の延長登録の出願があつたときは、存続期間は、延長されたものとみなす。ただし、その出願について拒絶をすべき旨の査定が確定し、又は特許権の存続期間を延長した旨の登録があつたときは、この限りでない。
6
特許権の存続期間の延長登録の出願があつたときは、第一項各号に掲げる事項並びにその出願の番号及び年月日を特許公報に掲載しなければならない。
第六十七条の二の二
特許権の存続期間の延長登録の出願をしようとする者は、
第六十七条第一項に規定する特許権の存続期間の満了前
六月の前日までに同条第二項の政令で定める処分を受けることができないと見込まれるときは、次に掲げる事項を記載した書面をその日までに
特許庁長官に提出しなければならない。
一
出願をしようとする者の氏名又は名称及び住所又は居所
2
前項の規定により提出すべき書面を提出しないときは、第六十七条第一項に規定する特許権の存続期間の満了前六月以後に特許権の存続期間の延長登録の出願をすることができない。
3
第一項に規定する書面が提出されたときは、同項各号に掲げる事項を特許公報に掲載しなければならない。
第六十七条の三
審査官は、特許権の存続期間の延長登録の出願が次の各号の一に該当するときは、その出願について拒絶をすべき旨の査定をしなければならない。
一
その特許発明の実施に
第六十七条第二項の政令で定める処分を受けることが必要であつたとは認められないとき。
二
その特許権者又はその特許権についての専用実施権若しくは登録した通常実施権を有する者が第六十七条第二項の政令で定める処分を受けていないとき。
三
その延長を求める期間がその特許発明の実施をすることができなかつた期間を超えているとき。
2
審査官は、特許権の存続期間の延長登録の出願について拒絶の理由を発見しないときは、延長登録をすべき旨の査定をしなければならない。
3
特許権の存続期間の延長登録をすべき旨の査定又は審決があつたときは、特許権の存続期間を延長した旨の登録をする。
4
前項の登録があつたときは、次に掲げる事項を特許公報に掲載しなければならない。
三
特許権の存続期間の延長登録の出願の番号及び年月日
第六十八条
特許権者は、業として特許発明の実施をする権利を専有する。ただし、その特許権について専用実施権を設定したときは、専用実施権者がその特許発明の実施をする権利を専有する範囲については、この限りでない。
第六十八条の二
特許権の存続期間が延長された場合(第六十七条の二第五項の規定により延長されたものとみなされた場合を含む。)の当該特許権の効力は、その延長登録の理由となつた第六十七条第二項の政令で定める処分の対象となつた物(その処分においてその物の使用される特定の用途が定められている場合にあつては、当該用途に使用されるその物)についての当該特許発明の実施以外の行為には、及ばない。
第六十九条
特許権の効力は、試験又は研究のためにする特許発明の実施には、及ばない。
2
特許権の効力は、次に掲げる物には、及ばない。
一
単に日本国内を
通過するに過ぎない
船舶若しくは
航空機又はこれらに
使用する機械、器具、装置その他の物
3
二以上の医薬(人の病気の診断、治療、処置又は予防のため使用する物をいう。以下この項において同じ。)を混合することにより製造されるべき医薬の発明又は二以上の医薬を混合して医薬を製造する方法の発明に係る特許権の効力は、医師又は歯科医師の
処方せんにより
調剤する行為及び医師又は歯科医師の
処方せんにより
調剤する医薬には、及ばない。
第七十条
特許発明の
技術的範囲は、願書に添付した
特許請求の範囲の記載に基づいて定めなければならない。
2
前項の場合においては、願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮して、特許請求の範囲に記載された用語の意義を解釈するものとする。
3
前二項の場合においては、願書に添付した要約書の記載を考慮してはならない。
第七十一条
特許発明の技術的範囲については、特許庁に対し、判定を求めることができる。
2
特許庁長官は、前項の規定による求があつたときは、
三名の
審判官を指定して、その判定をさせなければならない。
3
第百三十一条第一項、第百三十一条の二第一項本文、第百三十二条第一項及び第二項、
第百三十三条、第百三十三条の二、第百三十四条第一項、第三項及び第四項、第百三十五条、第百三十六条第一項及び第二項、第百三十七条第二項、第百三十八条、第百三十九条(第六号を除く。)、第百四十条から第百四十四条まで、第百四十四条の二第一項及び第三項から第五項まで、第百四十五条第二項から第五項まで、第百四十六条、第百四十七条第一項及び第二項、第百五十条第一項から第五項まで、第百五十一条から第百五十四条まで、第百五十五条第一項、第百五十七条並びに第百六十九条第三項、第四項及び第六項の規定は、第一項の判定に準用する。この場合において、第百三十五条中「審決」とあるのは「決定」と、
第百四十五条第二項中「前項に規定する審判以外の審判」とあるのは「判定の審理」と、同条第五項ただし書中「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあるとき」とあるのは「審判長が必要があると認めるとき」と、第百五十一条中「第百四十七条」とあるのは「第百四十七条第一項及び第二項」と、第百五十五条第一項中「審決が確定するまで」とあるのは「判定の謄本が送達されるまで」と読み替えるものとする。
4
前項において読み替えて準用する第百三十五条の規定による決定に対しては、不服を申し立てることができない。
第七十一条の二
特許庁長官は、裁判所から特許発明の技術的範囲について
鑑定の嘱託があつたときは、
三名の
審判官を指定して、その
鑑定をさせなければならない。
2
第百三十六条第一項及び第二項、第百三十七条第二項並びに第百三十八条の規定は、前項の鑑定の嘱託に準用する。
第七十二条
特許権者、専用実施権者又は通常実施権者は、その特許発明がその特許出願の日前の出願に係る他人の特許発明、登録実用新案若しくは登録意匠若しくはこれに類似する意匠を利用するものであるとき、又はその特許権がその特許出願の日前の出願に係る他人の意匠権若しくは商標権と抵触するときは、業としてその特許発明の実施をすることができない。
第七十三条
特許権が共有に係るときは、各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、その持分を譲渡し、又はその持分を目的として質権を設定することができない。
2
特許権が共有に係るときは、各共有者は、契約で別段の定をした場合を除き、他の共有者の同意を得ないでその特許発明の実施をすることができる。
3
特許権が共有に係るときは、各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、その特許権について専用実施権を設定し、又は他人に通常実施権を許諾することができない。
第七十六条
特許権は、民法第九百五十八条の期間内に相続人である権利を主張する者がないときは、消滅する。
第七十七条
特許権者は、その特許権について専用実施権を
設定することができる。
2
専用実施権者は、
設定行為で定めた
範囲内において、
業としてその特許発明の実施をする権利を
専有する。
3
専用実施権は、実施の事業とともにする場合、特許権者の承諾を得た場合及び相続その他の一般承継の場合に限り、移転することができる。
4
専用実施権者は、特許権者の承諾を得た場合に限り、その専用実施権について質権を設定し、又は他人に通常実施権を許諾することができる。
第七十八条
特許権者は、その特許権について他人に通常実施権を
許諾することができる。
2
通常実施権者は、この法律の規定により又は設定行為で定めた範囲内において、業としてその特許発明の実施をする権利を有する。
第七十九条
特許出願に係る発明の内容を知らないで自らその発明をし、又は特許出願に係る発明の内容を知らないでその発明をした者から知得して、特許出願の際現に日本国内においてその発明の実施である事業をしている者又はその事業の準備をしている者は、その実施又は準備をしている発明及び事業の目的の範囲内において、その特許出願に係る特許権について通常実施権を有する。
第八十条
次の各号のいずれかに該当する者であつて、特許無効審判の請求の登録前に、特許が第百二十三条第一項各号のいずれかに規定する要件に該当することを知らないで、日本国内において当該発明の実施である事業をしているもの又はその事業の準備をしているものは、その実施又は準備をしている発明及び事業の目的の範囲内において、その特許を無効にした場合における特許権又はその際現に存する専用実施権について通常実施権を有する。
一
同一の発明についての二以上の特許のうち、その一を無効にした場合における原特許権者
二
特許を無効にして同一の発明について正当権利者に特許をした場合における原特許権者
三
前二号に掲げる場合において、特許無効審判の請求の登録の際現にその無効にした特許に係る特許権についての専用実施権又はその特許権若しくは専用実施権についての第九十九条第一項の効力を有する通常実施権を有する者
2
当該特許権者又は専用実施権者は、前項の規定により通常実施権を有する者から相当の対価を受ける権利を有する。
第八十一条
特許出願の日前又はこれと同日の意匠登録出願に係る意匠権がその特許出願に係る特許権と抵触する場合において、その意匠権の存続期間が満了したときは、その原意匠権者は、原意匠権の範囲内において、当該特許権又はその意匠権の存続期間の満了の際現に存する専用実施権について通常実施権を有する。
第八十二条
特許出願の日前又はこれと同日の意匠登録出願に係る意匠権がその特許出願に係る特許権と抵触する場合において、その意匠権の存続期間が満了したときは、その満了の際現にその意匠権についての専用実施権又はその意匠権若しくは専用実施権についての意匠法第二十八条第三項において準用するこの法律第九十九条第一項の効力を有する通常実施権を有する者は、原権利の範囲内において、当該特許権又はその意匠権の存続期間の満了の際現に存する専用実施権について通常実施権を有する。
2
当該特許権者又は専用実施権者は、前項の規定により通常実施権を有する者から
相当の
対価を受ける権利を有する。
第八十三条
特許発明の実施が継続して
三年以上日本国内において適当にされていないときは、その特許発明の実施をしようとする者は、特許権者又は専用実施権者に対し通常実施権の許諾について
協議を求めることができる。ただし、その特許発明に係る
特許出願の日から
四年を経過していないときは、この限りでない。
2
前項の
協議が成立せず、又は
協議をすることができないときは、その特許発明の実施をしようとする者は、
特許庁長官の
裁定を請求することができる。
第八十四条
特許庁長官は、前条第二項の裁定の請求があつたときは、請求書の副本をその請求に係る特許権者又は専用実施権者その他その特許に関し登録した権利を有する者に送達し、相当の期間を指定して、答弁書を提出する機会を与えなければならない。
第八十五条
特許庁長官は、第八十三条第二項の裁定をしようとするときは、審議会等(国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第八条に規定する機関をいう。)で政令で定めるものの意見を聴かなければならない。
2
特許庁長官は、その特許発明の実施が適当にされていないことについて正当な理由があるときは、通常実施権を設定すべき旨の裁定をすることができない。
第八十六条
第八十三条第二項の裁定は、文書をもつて行い、かつ、理由を附さなければならない。
2
通常実施権を設定すべき旨の裁定においては、次に掲げる事項を定めなければならない。
第八十七条
特許庁長官は、
第八十三条第二項の裁定をしたときは、裁定の謄本を当事者及び当事者以外の者であつてその特許に関し登録した権利を有するものに送達しなければならない。
2
当事者に対し前項の規定により通常実施権を設定すべき旨の裁定の謄本の送達があつたときは、裁定で定めるところにより、当事者間に協議が成立したものとみなす。
第八十八条
第八十六条第二項第二号の対価を支払うべき者は、次に掲げる場合は、その対価を供託しなければならない。
一
その対価を受けるべき者がその受領を拒んだとき、又はこれを受領することができないとき。
三
当該特許権又は専用実施権を目的とする質権が設定されているとき。ただし、質権者の承諾を得たときは、この限りでない。
第八十九条
通常実施権の設定を受けようとする者が第八十三条第二項の裁定で定める支払の時期までに対価(対価を定期に又は分割して支払うべきときは、その最初に支払うべき分)の支払又は供託をしないときは、通常実施権を設定すべき旨の裁定は、その効力を失う。
第九十条
特許庁長官は、
第八十三条第二項の規定により通常実施権を設定すべき旨の裁定をした後に、裁定の理由の消滅その他の事由により当該裁定を維持することが適当でなくなつたとき、又は通常実施権の設定を受けた者が適当にその特許発明の実施をしないときは、利害関係人の請求により又は職権で、裁定を取り消すことができる。
第九十一条
前条第一項の規定による裁定の取消があつたときは、通常実施権は、その後消滅する。
第九十一条の二
第八十三条第二項の規定による裁定についての
行政不服審査法(昭和三十七年法律第百六十号)による異議申立てにおいては、その裁定で定める対価についての不服をその裁定についての不服の理由とすることができない。
第九十二条
特許権者又は専用実施権者は、その特許発明が
第七十二条に規定する場合に該当するときは、同条の他人に対しその特許発明の実施をするための通常実施権又は実用新案権若しくは意匠権についての通常実施権の許諾について
協議を求めることができる。
2
前項の
協議を求められた
第七十二条の他人は、その
協議を求めた特許権者又は専用実施権者に対し、これらの者がその
協議により通常実施権又は実用新案権若しくは意匠権についての通常実施権の許諾を受けて実施をしようとする特許発明の範囲内において、通常実施権の許諾について
協議を求めることができる。
3
第一項の
協議が成立せず、又は
協議をすることができないときは、特許権者又は専用実施権者は、
特許庁長官の
裁定を請求することができる。
4
第二項の
協議が成立せず、又は
協議をすることができない場合において、前項の
裁定の請求があつたときは、第七十二条の他人は、第七項において準用する第八十四条の規定によりその者が答弁書を提出すべき期間として
特許庁長官が指定した期間内に限り、
特許庁長官の
裁定を請求することができる。
5
特許庁長官は、第三項又は前項の場合において、当該通常実施権を設定することが
第七十二条の他人又は特許権者若しくは専用実施権者の利益を不当に害することとなるときは、当該通常実施権を設定すべき旨の
裁定をすることが
できない。
6
特許庁長官は、前項に規定する場合のほか、第四項の場合において、第三項の
裁定の請求について通常実施権を設定すべき旨の
裁定をしないときは、当該通常実施権を設定すべき旨の
裁定をすることが
できない。
第九十三条
特許発明の実施が公共の利益のため特に必要であるときは、その特許発明の実施をしようとする者は、特許権者又は専用実施権者に対し通常実施権の許諾について
協議を求めることができる。
2
前項の
協議が成立せず、又は
協議をすることができないときは、その特許発明の実施をしようとする者は、
経済産業大臣の裁定を請求することができる。
5
第九十二条第四項の裁定による通常実施権は、その通常実施権者の当該特許権、実用新案権又は意匠権に従つて移転し、その特許権、実用新案権又は意匠権が消滅したときは消滅する。
第九十五条
特許権、専用実施権又は通常実施権を目的として質権を設定したときは、質権者は、契約で別段の定をした場合を除き、当該特許発明の実施をすることができない。H20-45(特許権者が質権を設定するときに専用実施権者等の承諾を要する規定は存在しない)
第九十六条
特許権、専用実施権又は通常実施権を目的とする質権は、特許権、専用実施権若しくは通常実施権の対価又は特許発明の実施に対しその特許権者若しくは専用実施権者が受けるべき金銭その他の物に対しても、行うことができる。ただし、その払渡又は引渡前に差押をしなければならない。
2
専用実施権者は、質権者又は第七十七条第四項の規定による通常実施権者があるときは、これらの者の承諾を得た場合に限り、その専用実施権を放棄することができる。
3
通常実施権者は、
質権者があるときは、その承諾を得た場合に限り、その通常実施権を放棄することができる。
第九十八条
次に掲げる事項は、登録しなければ、その効力を生じない。
一
特許権の移転(相続その他の一般承継によるものを除く。)、信託による変更、放棄による消滅又は処分の制限
二
専用実施権の
設定、
移転(
相続その他の
一般承継によるものを除く。)、変更、消滅(
混同又は
特許権の
消滅によるものを除く。)又は処分の制限
三
特許権又は専用実施権を目的とする
質権の
設定、
移転(
相続その他の
一般承継によるものを除く。)、変更、消滅(
混同又は担保する債権の消滅によるものを除く。)又は処分の制限
2
前項各号の
相続その他の
一般承継の場合は、
遅滞なく、その旨を
特許庁長官に届け出なければならない。
第九十九条
通常実施権は、その登録をしたときは、その特許権若しくは専用実施権又はその特許権についての専用実施権をその後に取得した者に対しても、その効力を生ずる。
3
通常実施権の移転、変更、消滅若しくは処分の制限又は通常実施権を目的とする質権の設定、移転、変更、消滅若しくは処分の制限は、登録しなければ、第三者に対抗することができない。
第二節 権利侵害
第百条
特許権者又は専用実施権者は、自己の特許権又は専用実施権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。
2
特許権者又は専用実施権者は、前項の規定による請求をするに際し、侵害の行為を組成した物(物を生産する方法の特許発明にあつては、侵害の行為により生じた物を含む。第百二条第一項において同じ。)の廃棄、侵害の行為に供した設備の除却その他の侵害の予防に必要な行為を請求することができる。
第百一条
次に掲げる行為は、当該特許権又は専用実施権を侵害するものとみなす。
一
特許が物の発明についてされている場合において、業として、その物の生産にのみ用いる物の生産、譲渡等若しくは輸入又は譲渡等の申出をする行為
二
特許が物の発明についてされている場合において、その物の生産に用いる物(日本国内において広く一般に流通しているものを除く。)であつてその発明による課題の解決に不可欠なものにつき、その発明が特許発明であること及びその物がその発明の実施に用いられることを知りながら、業として、その生産、譲渡等若しくは輸入又は譲渡等の申出をする行為
三
特許が物の発明についてされている場合において、その物を業としての譲渡等又は輸出のために所持する行為
四
特許が方法の発明についてされている場合において、業として、その方法の使用にのみ用いる物の生産、譲渡等若しくは輸入又は譲渡等の申出をする行為
五
特許が方法の発明についてされている場合において、その方法の
使用に用いる物(
日本国内において広く
一般に
流通しているものを除く。)であつてその発明による
課題の
解決に不可欠なものにつき、その発明が
特許発明であること及びその物がその発明の
実施に用いられることを
知りながら、
業として、その
生産、
譲渡等若しくは
輸入又は
譲渡等の申出をする行為
六
特許が物を生産する方法の発明についてされている場合において、その方法により生産した物を業としての譲渡等又は輸出のために所持する行為
第百二条
特許権者又は専用実施権者が故意又は過失により自己の特許権又は専用実施権を侵害した者に対しその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において、その者がその侵害の行為を組成した物を
譲渡したときは、その
譲渡した物の
数量(以下この項において「
譲渡数量」という。)に、特許権者又は専用実施権者がその侵害の行為がなければ
販売することができた物の単位数量当たりの
利益の額を乗じて得た額を、特許権者又は専用実施権者の
実施の
能力に応じた額を超えない限度において、特許権者又は専用実施権者が受けた損害の額とすることができる。ただし、
譲渡数量の全部又は一部に相当する数量を特許権者又は専用実施権者が販売することができないとする
事情があるときは、当該
事情に相当する数量に応じた額を
控除するものとする。
2
特許権者又は専用実施権者が故意又は過失により自己の特許権又は専用実施権を侵害した者に対しその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において、その者がその侵害の行為により利益を受けているときは、その利益の額は、特許権者又は専用実施権者が受けた損害の額と推定する。
3
特許権者又は専用実施権者は、故意又は過失により自己の特許権又は専用実施権を侵害した者に対し、その特許発明の実施に対し受けるべき金銭の額に相当する額の金銭を、自己が受けた損害の額としてその賠償を請求することができる。
4
前項の規定は、同項に規定する金額を超える損害の賠償の請求を妨げない。この場合において、特許権又は専用実施権を侵害した者に
故意又は
重大な
過失がなかつたときは、裁判所は、損害の賠償の額を定めるについて、これを
参酌することができる。
第百三条
他人の特許権又は専用実施権を侵害した者は、その侵害の行為について過失があつたものと推定する。
第百四条
物を生産する方法の発明について特許がされている場合において、その物が特許出願前に日本国内において公然知られた物でないときは、その物と同一の物は、その方法により生産したものと推定する。
第百四条の二
特許権又は専用実施権の侵害に係る訴訟において、特許権者又は専用実施権者が侵害の行為を組成したものとして主張する物又は方法の具体的態様を否認するときは、相手方は、自己の行為の具体的態様を明らかにしなければならない。ただし、相手方において明らかにすることができない相当の理由があるときは、この限りでない。
第百四条の三
特許権又は専用実施権の侵害に係る訴訟において、当該特許が特許無効審判により無効にされるべきものと認められるときは、特許権者又は専用実施権者は、相手方に対しその権利を行使することができない。
2
前項の規定による攻撃又は防御の方法については、これが審理を不当に遅延させることを目的として提出されたものと認められるときは、裁判所は、申立てにより又は職権で、却下の決定をすることができる。
第百五条
裁判所は、特許権又は専用実施権の侵害に係る訴訟においては、当事者の申立てにより、当事者に対し、当該侵害行為について立証するため、又は当該侵害の行為による損害の計算をするため必要な書類の提出を命ずることができる。ただし、その書類の所持者においてその提出を拒むことについて
正当な
理由があるときは、この限りでない。
2
裁判所は、前項ただし書に規定する
正当な
理由があるかどうかの判断をするため必要があると認めるときは、書類の所持者にその提示をさせることができる。この場合においては、
何人も、その提示された書類の
開示を求めることができない。
3
裁判所は、前項の場合において、第一項ただし書に規定する
正当な
理由があるかどうかについて前項後段の書類を
開示してその意見を聴くことが必要であると認めるときは、当事者等(当事者(法人である場合にあつては、その代表者)又は当事者の代理人(訴訟代理人及び補佐人を除く。)、使用人その他の従業者をいう。以下同じ。)、
訴訟代理人又は
補佐人に対し、当該書類を
開示することができる。
4
前三項の規定は、特許権又は専用実施権の侵害に係る訴訟における当該侵害行為について立証するため必要な検証の目的の提示について準用する。
第百五条の二
特許権又は専用実施権の侵害に係る訴訟において、当事者の申立てにより、裁判所が当該侵害の行為による損害の計算をするため必要な事項について鑑定を命じたときは、当事者は、鑑定人に対し、当該鑑定をするため必要な事項について説明しなければならない。
第百五条の三
特許権又は専用実施権の侵害に係る訴訟において、損害が生じたことが認められる場合において、損害額を立証するために必要な事実を立証することが当該事実の性質上極めて困難であるときは、裁判所は、口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果に基づき、相当な損害額を認定することができる。
第百五条の四
裁判所は、特許権又は専用実施権の侵害に係る訴訟において、その当事者が保有する営業秘密(不正競争防止法(平成五年法律第四十七号)第二条第六項に規定する営業秘密をいう。以下同じ。)について、次に掲げる事由のいずれにも該当することにつき疎明があつた場合には、当事者の申立てにより、決定で、当事者等、訴訟代理人又は補佐人に対し、当該営業秘密を当該訴訟の追行の目的以外の目的で使用し、又は当該営業秘密に係るこの項の規定による命令を受けた者以外の者に開示してはならない旨を命ずることができる。ただし、その
申立ての時までに当事者等、訴訟代理人又は補佐人が第一号に規定する
準備書面の閲読又は同号に規定する
証拠の取調べ若しくは
開示以外の方法により当該
営業秘密を取得し、又は保有していた場合は、この限りでない。
一
既に提出され若しくは提出されるべき準備書面に当事者の保有する営業秘密が記載され、又は既に取り調べられ若しくは取り調べられるべき証拠(第百五条第三項の規定により開示された書類又は第百五条の七第四項の規定により開示された書面を含む。)の内容に当事者の保有する営業秘密が含まれること。
二
前号の
営業秘密が当該訴訟の追行の目的以外の目的で
使用され、又は当該
営業秘密が
開示されることにより、当該
営業秘密に基づく当事者の事業活動に
支障を生ずるおそれがあり、これを防止するため当該
営業秘密の
使用又は
開示を制限する必要があること。
2
前項の規定による命令(以下「
秘密保持命令」という。)の
申立ては、次に掲げる事項を記載した書面でしなければならない。
二
秘密保持命令の対象となるべき
営業秘密を特定するに足りる事実
3
秘密保持命令が発せられた場合には、その決定書を
秘密保持命令を受けた者に送達しなければならない。
4
秘密保持命令は、秘密保持命令を受けた者に対する決定書の送達がされた時から、効力を生ずる。
5
秘密保持命令の申立てを却下した裁判に対しては、即時抗告をすることができる。
第百五条の五
秘密保持命令の申立てをした者又は秘密保持命令を受けた者は、訴訟記録の存する裁判所(訴訟記録の存する裁判所がない場合にあつては、秘密保持命令を発した裁判所)に対し、前条第一項に規定する要件を欠くこと又はこれを欠くに至つたことを理由として、秘密保持命令の取消しの申立てをすることができる。
2
秘密保持命令の取消しの申立てについての裁判があつた場合には、その決定書をその申立てをした者及び相手方に送達しなければならない。
3
秘密保持命令の取消しの申立てについての裁判に対しては、即時抗告をすることができる。
4
秘密保持命令を取り消す裁判は、
確定しなければその効力を生じない。
5
裁判所は、秘密保持命令を取り消す裁判をした場合において、秘密保持命令の取消しの申立てをした者又は相手方以外に当該秘密保持命令が発せられた訴訟において当該営業秘密に係る秘密保持命令を受けている者があるときは、その者に対し、直ちに、秘密保持命令を取り消す裁判をした旨を通知しなければならない。
第百五条の六
秘密保持命令が発せられた訴訟(すべての秘密保持命令が取り消された訴訟を除く。)に係る訴訟記録につき、
民事訴訟法第九十二条第一項の決定があつた場合において、当事者から同項に規定する秘密記載部分の閲覧等の請求があり、かつ、その請求の手続を行つた者が当該訴訟において秘密保持命令を受けていない者であるときは、裁判所書記官は、同項の申立てをした当事者(その請求をした者を除く。第三項において同じ。)に対し、その請求後直ちに、その請求があつた旨を通知しなければならない。
2
前項の場合において、裁判所書記官は、同項の請求があつた日から二週間を経過する日までの間(その請求の手続を行つた者に対する秘密保持命令の申立てがその日までにされた場合にあつては、その申立てについての裁判が確定するまでの間)、その請求の手続を行つた者に同項の秘密記載部分の閲覧等をさせてはならない。
3
前二項の規定は、第一項の請求をした者に同項の秘密記載部分の閲覧等をさせることについて民事訴訟法第九十二条第一項の申立てをした当事者のすべての同意があるときは、適用しない。
第百五条の七
特許権又は専用実施権の侵害に係る訴訟における当事者等が、その侵害の有無についての判断の基礎となる事項であつて当事者の保有する営業秘密に該当するものについて、当事者本人若しくは法定代理人又は証人として尋問を受ける場合においては、裁判所は、
裁判官の全員一致により、その当事者等が公開の法廷で当該事項について陳述をすることにより当該営業秘密に基づく当事者の事業活動に
著しい支障を生ずることが明らかであることから当該事項について十分な陳述をすることができず、かつ、当該陳述を欠くことにより他の証拠のみによつては当該事項を判断の基礎とすべき特許権又は専用実施権の侵害の有無についての
適正な裁判をすることができないと認めるときは、決定で、当該事項の尋問を公開しないで行うことができる。
2
裁判所は、前項の決定をするに当たつては、あらかじめ、当事者等の意見を聴かなければならない。
3
裁判所は、前項の場合において、必要があると認めるときは、当事者等にその陳述すべき事項の要領を記載した書面の提示をさせることができる。この場合においては、何人も、その提示された書面の開示を求めることができない。
4
裁判所は、前項後段の書面を開示してその意見を聴くことが必要であると認めるときは、当事者等、訴訟代理人又は補佐人に対し、当該書面を開示することができる。
5
裁判所は、第一項の規定により当該事項の尋問を公開しないで行うときは、公衆を退廷させる前に、その旨を理由とともに言い渡さなければならない。当該事項の尋問が終了したときは、再び公衆を入廷させなければならない。
第百六条
故意又は過失により特許権又は専用実施権を侵害したことにより特許権者又は専用実施権者の業務上の信用を害した者に対しては、裁判所は、特許権者又は専用実施権者の請求により、損害の賠償に代え、又は損害の賠償とともに、特許権者又は専用実施権者の業務上の信用を回復するのに必要な措置を命ずることができる。
第三節 特許料
第百七条
特許権の設定の登録を受ける者又は特許権者は、特許料として、特許権の設定の登録の日から第六十七条第一項に規定する存続期間(同条第二項の規定により延長されたときは、その延長の期間を加えたもの)の満了までの各年について、一件ごとに、次の表の上欄に掲げる区分に従い同表の下欄に掲げる金額を納付しなければならない。
各年の区分 |
金額 |
第一年から第三年まで |
毎年二千六百円二千三百円に一請求項につき二百円を加えた額 |
第四年から第六年まで |
毎年八千百円七千百円に一請求項につき六百円五百円を加えた額 |
第七年から第九年まで |
毎年二万四千三百円二万千四百円に一請求項につき千九百円千七百円を加えた額 |
第十年から第二十五年まで |
毎年八万千二百円六万千六百円に一請求項につき六千四百円四千八百円を加えた額 |
2
前項の規定は、国に属する特許権には、適用しない。
3
第一項の特許料は、特許権が国又は第百九条の規定若しくは他の法令の規定による特許料の軽減若しくは免除(以下この項において「減免」という。)を受ける者を含む者の共有に係る場合であつて持分の定めがあるときは、第一項の規定にかかわらず、国以外の各共有者ごとに同項に規定する特許料の金額(減免を受ける者にあつては、その減免後の金額)にその持分の割合を乗じて得た額を合算して得た額とし、国以外の者がその額を納付しなければならない。
4
前項の規定により算定した特許料の金額に十円未満の端数があるときは、その端数は、
切り捨てる。
5
第一項の特許料の納付は、経済産業省令で定めるところにより、特許印紙をもつてしなければならない。ただし、経済産業省令で定める場合には、経済産業省令で定めるところにより、現金をもつて納めることができる。
第百八条
前条第一項の規定による第一年から第
三年までの各年分の特許料は、特許をすべき旨の査定又は審決の謄本の送達があつた日から
三十日以内に
一時に納付しなければならない。
2
前条第一項の規定による第四年以後の各年分の特許料は、前年以前に納付しなければならない。ただし、特許権の存続期間の延長登録をすべき旨の査定又は審決の謄本の送達があつた日(以下この項において「謄本送達日」という。)がその延長登録がないとした場合における特許権の存続期間の満了の日の属する年の末日から起算して前三十日目に当たる日以後であるときは、その年の次の年から謄本送達日の属する年(謄本送達日から謄本送達日の属する年の末日までの日数が三十日に満たないときは、謄本送達日の属する年の次の年)までの各年分の特許料は、謄本送達日から三十日以内に一時に納付しなければならない。
3
特許庁長官は、特許料を納付すべき者の請求により、三十日以内を限り、第一項に規定する期間を延長することができる。
第百九条
特許庁長官は、次に掲げる者であつて資力に乏しい者として政令で定める要件に該当する者が、特許料を納付することが困難であると認めるときは、政令で定めるところにより、第百七条第一項の規定による第一年から第三年までの各年分の特許料を軽減し若しくは免除し、又はその納付を猶予することができる。
二
その特許発明が第三十五条第一項の従業者等がした職務発明であつて、契約、勤務規則その他の定めによりあらかじめ使用者等に特許を受ける権利を承継させることが定められている場合において、その従業者等から特許を受ける権利を承継した使用者等
第百十条
利害関係人は、納付すべき者の意に反しても、特許料を納付することができる。
2
前項の規定により特許料を納付した利害関係人は、納付すべき者が現に利益を受ける限度においてその費用の償還を請求することができる。
第百十一条
既納の特許料は、次に掲げるものに限り、納付した者の請求により返還する。
二
特許を無効にすべき旨の審決が確定した年の翌年以後の各年分の特許料
三
特許権の存続期間の延長登録を無効にすべき旨の審決が確定した年の
翌年以後の各年分の特許料(当該延長登録がないとした場合における存続期間の満了の日の属する年の翌年以後のものに限る。)
2
前項の規定による特許料の返還は、同項第一号の特許料については納付した日から
一年、同項第二号及び第三号の特許料については審決が確定した日から
六月を経過した後は、請求することができない。
第百十二条
特許権者は、第百八条第二項に規定する期間又は第百九条の規定による納付の猶予後の期間内に特許料を納付することができないときは、その期間が経過した後であつても、その期間の経過後六月以内にその特許料を追納することができる。
2
前項の規定により特許料を
追納する
特許権者は、
第百七条第一項の規定により納付すべき特許料のほか、その特許料と
同額の割増特許料を納付しなければならない。
3
前項の割増特許料の納付は、経済産業省令で定めるところにより、特許印紙をもつてしなければならない。ただし、経済産業省令で定める場合には、経済産業省令で定めるところにより、現金をもつて納めることができる。
4
特許権者が第一項の規定により特許料を追納することができる期間内に、第百八条第二項本文に規定する期間内に納付すべきであつた特許料及び第二項の割増特許料を納付しないときは、その特許権は、同条第二項本文に規定する期間の経過の時にさかのぼつて消滅したものとみなす。
5
特許権者が第一項の規定により特許料を
追納することができる期間内に
第百八条第二項ただし書に規定する特許料及び第二項の割増特許料を納付しないときは、その特許権は、当該延長登録がないとした場合における特許権の存続期間の満了の日の属する年の
経過の時にさかのぼつて
消滅したものとみなす。
6
特許権者が第一項の規定により特許料を追納することができる期間内に第百九条の規定により納付が猶予された特許料及び第二項の割増特許料を納付しないときは、その特許権は、初めから存在しなかつたものとみなす。
第百十二条の二
前条第四項若しくは第五項の規定により消滅したものとみなされた特許権又は同条第六項の規定により初めから存在しなかつたものとみなされた特許権の原特許権者は、その責めに帰することができない理由により同条第一項の規定により特許料を追納することができる期間内に同条第四項から第六項までに規定する特許料及び割増特許料を納付することができなかつたときは、その理由がなくなつた日から十四日(在外者にあつては、二月)以内でその期間の経過後六月以内に限り、その特許料及び割増特許料を追納することができる。
2
前項の規定による特許料及び割増特許料の
追納があつたときは、その特許権は、
第百八条第二項本文に規定する期間の
経過の時若しくは存続期間の満了の日の属する年の
経過の時にさかのぼつて存続していたもの又は
初めから
存在していたものとみなす。
第百十二条の三
前条第二項の規定により特許権が回復した場合において、その特許が物の発明についてされているときは、その特許権の効力は、第百十二条第一項の規定により特許料を追納することができる期間の経過後特許権の回復の登録前に輸入し、又は日本国内において生産し、若しくは取得した当該物には、及ばない。
2
前条第二項の規定により回復した特許権の効力は、第百十二条第一項の規定により特許料を追納することができる期間の経過後特許権の回復の登録前における次に掲げる行為には、及ばない。
二
特許が物の発明についてされている場合において、その物の生産に用いる物の生産、譲渡等若しくは輸入又は譲渡等の申出をした行為
三
特許が物の発明についてされている場合において、その物を
譲渡等又は
輸出のために
所持した行為
四
特許が方法の発明についてされている場合において、その方法の使用に用いる物の
生産、
譲渡等若しくは
輸入又は
譲渡等の
申出をした行為
五
特許が物を生産する方法の発明についてされている場合において、その方法により生産した物を
譲渡等又は
輸出のために
所持した行為
第五章 削除
第六章 審判
第百二十一条
拒絶をすべき旨の査定を受けた者は、その査定に不服があるときは、その査定の謄本の送達があつた日から三十日三月以内に拒絶査定不服審判を請求することができる。
2
拒絶査定不服審判を請求する者がその責めに帰することができない理由により前項に規定する期間内にその請求をすることができないときは、同項の規定にかかわらず、その理由がなくなつた日から十四日(在外者にあつては、二月)以内でその期間の経過後六月以内にその請求をすることができる。
第百二十三条
特許が次の各号のいずれかに該当するときは、その特許を無効にすることについて特許無効審判を請求することができる。この場合において、二以上の請求項に係るものについては、請求項ごとに請求することができる。
一
その特許が第十七条の二第三項に規定する要件を満たしていない補正をした特許出願(外国語書面出願を除く。)に対してされたとき。
五
外国語書面出願に係る特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項が外国語書面に記載した事項の範囲内にないとき。
六
その特許が発明者でない者であつてその発明について特許を受ける権利を承継しないものの特許出願に対してされたとき。
七
特許がされた後において、その特許権者が第二十五条の規定により特許権を享有することができない者になつたとき、又はその特許が条約に違反することとなつたとき。
2
特許無効審判は、
何人も請求することができる。ただし、特許が前項第二号に該当すること(その特許が
第三十八条の規定に違反してされたときに限る。)又は同項第
六号に該当することを理由とするものは、
利害関係人に限り請求することができる。
3
特許無効審判は、特許権の
消滅後においても、請求することができる。
4
審判長は、特許無効審判の請求があつたときは、その旨を当該特許権についての専用実施権者その他その特許に関し登録した権利を有する者に通知しなければならない。
第百二十五条
特許を無効にすべき旨の審決が確定したときは、特許権は、初めから存在しなかつたものとみなす。ただし、特許が第百二十三条第一項第七号に該当する場合において、その特許を無効にすべき旨の審決が確定したときは、特許権は、その特許が同号に該当するに至つた時から存在しなかつたものとみなす。
第百二十五条の二
特許権の存続期間の延長登録が次の各号のいずれかに該当するときは、その延長登録を無効にすることについて延長登録無効審判を請求することができる。
一
その延長登録がその特許発明の実施に
第六十七条第二項の
政令で
定める処分を受けることが
必要であつたとは認められない場合の出願に対してされたとき。
二
その延長登録が、その特許権者又はその特許権についての専用実施権若しくは登録した通常実施権を有する者が
第六十七条第二項の
政令で
定める処分を
受けていない場合の出願に対してされたとき。
三
その延長登録により延長された期間がその特許発明の実施をすることが
できなかつた期間を
超えているとき。
四
その延長登録が当該特許権者でない者の出願に対してされたとき。
3
延長登録を無効にすべき旨の審決が確定したときは、その延長登録による存続期間の延長は、
初めから
されなかつたものとみなす。
ただし、延長登録が第一項第三号に該当する場合において、その特許発明の実施をすることができなかつた期間を超える期間の延長登録を無効にすべき旨の審決が確定したときは、当該超える期間について、その延長がされなかつたものとみなす。
第百二十六条
特許権者は、
願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の訂正をすることについて訂正審判を請求することができる。ただし、その訂正は、
次に掲げる事項を目的とするものに限る。
2
訂正審判は、特許無効審判が特許庁に係属した時からその審決が確定するまでの間は、請求することができない。ただし、特許無効審判の審決に対する訴えの提起があつた日から起算して九十日の期間内(当該事件について第百八十一条第一項の規定による審決の取消しの判決又は同条第二項の規定による審決の取消しの決定があつた場合においては、その判決又は決定の確定後の期間を除く。)は、この限りでない。
3
第一項の明細書、特許請求の範囲又は図面の訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(同項ただし書第二号に掲げる事項を目的とする訂正の場合にあつては、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(外国語書面出願に係る特許にあつては、外国語書面))に記載した事項の範囲内においてしなければならない。
4
第一項の明細書、特許請求の範囲又は図面の訂正は、
実質上特許請求の範囲を
拡張し、又は
変更するものであつてはならない。
5
第一項ただし書第一号又は第二号に掲げる事項を目的とする訂正は、訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものでなければならない。
6
訂正審判は、特許権の消滅後においても、請求することができる。ただし、特許が特許無効審判により無効にされた後は、この限りでない。
第百二十八条
願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の
訂正をすべき旨の審決が確定したときは、その
訂正後における明細書、特許請求の範囲又は図面により特許出願、出願公開、特許をすべき旨の査定又は審決及び特許権の設定の登録がされたものと
みなす。
第百三十一条
審判を請求する者は、次に掲げる事項を記載した請求書を特許庁長官に提出しなければならない。
一
当事者及び代理人の氏名又は名称及び住所又は居所
2
特許無効審判を請求する場合における前項第三号に掲げる請求の理由は、特許を無効にする根拠となる事実を具体的に特定し、かつ、立証を要する事実ごとに証拠との関係を記載したものでなければならない。
3
訂正審判を請求するときは、請求書に
訂正した明細書、特許請求の範囲又は図面を添付しなければならない。
第百三十一条の二
前条第一項の規定により提出した請求書の補正は、その要旨を変更するものであつてはならない。ただし、当該補正が、特許無効審判以外の審判を請求する場合における同項第三号に掲げる請求の理由についてされるとき、又は次項の規定による審判長の許可があつたときは、この限りでない。
2
審判長は、特許無効審判を請求する場合における前条第一項第三号に掲げる請求の理由の補正がその要旨を変更するものである場合において、当該補正が審理を不当に遅延させるおそれがないことが明らかなものであり、かつ、次の各号のいずれかに該当する事由があると認めるときは、決定をもつて、当該補正を許可することができる。
一
当該特許無効審判において第百三十四条の二第一項の訂正の請求があり、その訂正の請求により請求の理由を補正する必要が生じたこと。
二
前号に掲げるもののほか当該補正に係る請求の理由を審判請求時の請求書に記載しなかつたことにつき合理的な理由があり、被請求人が当該補正に同意したこと。
3
前項の補正の許可は、その補正に係る手続補正書が第百三十四条第一項の規定による請求書の副本の送達の前に提出されたときは、これをすることができない。
4
第二項の決定に対しては、不服を申し立てることができない。
第百三十二条
同一の特許権について特許無効審判又は延長登録無効審判を請求する者が二人以上あるときは、これらの者は、共同して審判を請求することができる。
2
共有に係る特許権について特許権者に対し審判を請求するときは、共有者の全員を被請求人として請求しなければならない。
3
特許権又は特許を受ける権利の共有者がその共有に係る権利について審判を請求するときは、共有者の全員が共同して請求しなければならない。
4
第一項若しくは前項の規定により審判を請求した者又は第二項の規定により審判を請求された者の一人について、審判手続の中断又は中止の原因があるときは、その中断又は中止は、全員についてその効力を生ずる。
第百三十三条
審判長は、請求書が第百三十一条の規定に違反しているときは、請求人に対し、相当の期間を指定して、請求書について補正をすべきことを命じなければならない。
2
審判長は、前項に規定する場合を除き、審判事件に係る手続について、次の各号の一に該当するときは、
相当の
期間を指定して、その補正をすべきことを命ずる
ことができる。
一
手続が第七条第一項から第三項まで又は第九条の規定に違反しているとき。
二
手続がこの法律又はこの法律に基づく命令で定める方式に違反しているとき。
三
手続について
第百九十五条第一項又は第二項の規定により納付すべき手数料を納付しないとき。
3
審判長は、前二項の規定により、審判事件に係る手続について、その補正をすべきことを命じた者がこれらの規定により指定した期間内にその補正をしないとき、又はその補正が
第百三十一条の二第一項の規定に違反するときは、
決定をもつてその手続を
却下することができる。
4
前項の決定は、文書をもつて行い、かつ、理由を付さなければならない。
第百三十三条の二
審判長は、審判事件に係る手続(審判の請求を除く。)において、不適法な手続であつてその補正をすることができないものについては、決定をもつてその手続を却下することができる。
2
前項の規定により却下しようとするときは、手続をした者に対し、その理由を通知し、相当の期間を指定して、弁明書を提出する機会を与えなければならない。
3
第一項の決定は、文書をもつて行い、かつ、理由を付さなければならない。
第百三十四条
審判長は、審判の請求があつたときは、請求書の
副本を被請求人に
送達し、
相当の
期間を指定して、
答弁書を提出する機会を与えなければならない。
2
審判長は、第百三十一条の二第二項の規定により請求書の補正を許可するときは、その補正に係る手続補正書の副本を被請求人に送達し、相当の期間を指定して、答弁書を提出する機会を与えなければならない。ただし、被請求人に答弁書を提出する機会を与える必要がないと認められる特別の事情があるときは、この限りでない。
3
審判長は、第一項又は前項本文の
答弁書を受理したときは、その
副本を請求人に送達しなければならない。
4
審判長は、審判に関し、当事者及び参加人を審尋することができる。
第百三十四条の二
特許無効審判の被請求人は、前条第一項若しくは第二項、次条第一項若しくは第二項又は第百五十三条第二項の規定により指定された期間内に限り、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の訂正を請求することができる。ただし、その訂正は、次に掲げる事項を
目的とするものに限る。
2
審判長は、前項の訂正の請求書及びこれに添付された訂正した明細書、特許請求の範囲又は図面を受理したときは、これらの副本を請求人に送達しなければならない。
3
審判官は、第一項の訂正の請求が同項ただし書各号に掲げる事項を目的とせず、又は第五項において読み替えて準用する
第百二十六条第三項から第五項までの規定に適合しないことについて、当事者又は参加人が申し立てない理由についても、
審理することができる。
この場合において、当該理由により訂正の請求を認めないときは、審判長は、審理の結果を当事者及び参加人に通知し、相当の期間を指定して、意見を申し立てる機会を与えなければならない。
4
第一項の訂正の請求がされた場合において、その審判事件において先にした訂正の請求があるときは、当該先の請求は、取り下げられたものとみなす。
第百三十四条の三
審判長は、特許無効審判の審決(審判の請求に理由がないとするものに限る。)に対する第百八十一条第一項の規定による取消しの判決が確定し、同条第五項の規定により審理を開始するときは、その判決の確定の日から一週間以内に被請求人から申立てがあつた場合に限り、被請求人に対し、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の訂正を請求するための相当の期間を指定することができる。
2
審判長は、第百八十一条第二項の規定による審決の取消しの決定が確定し、同条第五項の規定により審理を開始するときは、被請求人に対し、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の訂正を請求するための相当の期間を指定しなければならない。ただし、当該審理の開始の時に、当該事件について第百二十六条第二項ただし書に規定する期間内に請求された訂正審判の審決が確定している場合は、この限りでない。
3
特許無効審判の被請求人は、第百二十六条第二項ただし書に規定する期間内に訂正審判を請求した場合において、前二項の規定により指定された期間内に前条第一項の訂正の請求をするときは、
その訂正審判の請求書に添付した訂正した明細書、特許請求の範囲又は図面を援用することができる。
4
第百二十六条第二項ただし書に規定する期間内に訂正審判の請求があつた場合において、第一項又は第二項の規定により指定された期間内に前条第一項の訂正の請求がされたときは、その訂正審判の請求は、取り下げられたものとみなす。ただし、訂正の請求の時にその訂正審判の審決が確定している場合は、この限りでない。
5
第百二十六条第二項ただし書に規定する期間内に訂正審判の請求があつた場合において、第一項又は第二項の規定により指定された期間内に前条第一項の訂正の請求がされなかつたときは、その期間の末日に、その訂正審判の請求書に添付された訂正した明細書、特許請求の範囲又は図面を第三項の規定により援用した同条第一項の訂正の請求がされたものとみなす。ただし、その期間の末日にその訂正審判の審決が確定している場合は、この限りでない。
第百三十五条
不適法な審判の請求であつて、その補正をすることができないものについては、被請求人に答弁書を提出する機会を与えないで、審決をもつてこれを却下することができる。
第百三十六条
審判は、三人又は五人の審判官の合議体が行う。
第百三十七条
特許庁長官は、各審判事件(第百六十二条の規定により審査官がその請求を審査する審判事件にあつては、第百六十四条第三項の規定による報告があつたものに限る。)について前条第一項の合議体を構成すべき審判官を指定しなければならない。
2
特許庁長官は、前項の規定により指定した審判官のうち審判に関与することに故障がある者があるときは、その指定を解いて他の審判官をもつてこれを補充しなければならない。
第百三十八条
特許庁長官は、前条第一項の規定により指定した審判官のうち一人を
審判長として指定しなければならない。
2
審判長は、その審判事件に関する事務を総理する。
第百三十九条
審判官は、次の各号のいずれかに該当するときは、その職務の執行から除斥される。
一
審判官又はその配偶者若しくは配偶者であつた者が事件の当事者若しくは参加人であるとき又はあつたとき。
二
審判官が事件の当事者若しくは参加人の四親等内の血族、三親等内の姻族若しくは同居の親族であるとき又はあつたとき。
三
審判官が事件の当事者又は参加人の後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人又は補助監督人であるとき。
四
審判官が事件について証人又は鑑定人となつたとき。
五
審判官が事件について当事者若しくは参加人の代理人であるとき又はあつたとき。
六
審判官が事件について不服を申し立てられた査定に審査官として関与したとき。
七
審判官が事件について直接の利害関係を有するとき。
第百四十条
前条に規定する除斥の原因があるときは、当事者又は参加人は、除斥の申立をすることができる。
第百四十一条
審判官について審判の公正を妨げるべき事情があるときは、当事者又は参加人は、これを忌避することができる。
2
当事者又は参加人は、事件について審判官に対し書面又は口頭をもつて陳述をした後は、審判官を忌避することができない。ただし、忌避の原因があることを知らなかつたとき、又は忌避の原因がその後に生じたときは、この限りでない。
第百四十二条
除斥又は忌避の申立をする者は、その原因を記載した書面を
特許庁長官に提出しなければならない。ただし、口頭審理においては、口頭をもつてすることができる。
2
除斥又は忌避の原因は、前項の申立をした日から三日以内に疎明しなければならない。前条第二項ただし書の事実も、同様とする。
第百四十三条
除斥又は忌避の申立があつたときは、その申立に係る審判官以外の審判官が審判により決定をする。ただし、その申立に係る審判官は、意見を述べることができる。
2
前項の決定は、文書をもつて行い、かつ、理由を附さなければならない。
3
第一項の決定に対しては、不服を申し立てることができない。
第百四十四条
除斥又は忌避の申立があつたときは、その申立についての決定があるまで審判手続を中止しなければならない。ただし、急速を要する行為については、この限りでない。
第百四十四条の二
特許庁長官は、各審判事件(
第百六十二条の規定により
審査官がその請求を審査する審判事件にあつては、
第百六十四条第三項の規定による報告があつたものに限る。)について審判書記官を指定しなければならない。
3
特許庁長官は、第一項の規定により指定した審判書記官が審判に関与することに故障があるときは、その指定を解いて他の審判書記官を指定しなければならない。
4
審判書記官は、審判事件に関し、調書の作成及び送達に関する事務を行うほか、
審判長の命を受けて、その他の事務を行う。
5
第百三十九条(第六号を除く。)及び
第百四十条から前条までの規定は、審判書記官に準用する。この場合において、除斥又は忌避の申立てに係る審判書記官は、除斥又は忌避についての審判に関与することができない。
第百四十五条
特許無効審判及び延長登録無効審判は、
口頭審理による。ただし、
審判長は、
当事者若しくは
参加人の
申立てにより又は
職権で、
書面審理によるものとすることができる。
2
前項に規定する審判以外の審判は、
書面審理による。ただし、
審判長は、
当事者の
申立により又は
職権で、
口頭審理によるものとすることができる。
3
審判長は、第一項又は前項ただし書の規定により
口頭審理による審判をするときは、その期日及び場所を定め、当事者及び参加人に対し、期日の呼出しを行わなければならない。
5
第一項又は第二項ただし書の規定による口頭審理は、公開して行う。ただし、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあるときは、この限りでない。
第百四十七条
第百四十五条第一項又は
第二項ただし書の規定による口頭審理による審判については、
審判書記官は、期日ごとに審理の要旨その他必要な事項を記載した調書を作成しなければならない。
2
審判書記官は、前項の調書の作成又は変更に関して審判長の命令を受けた場合において、その作成又は変更を正当でないと認めるときは、自己の意見を書き添えることができる。
第百四十八条
第百三十二条第一項の規定により
審判を
請求することができる者は、
審理の
終結に至るまでは、
請求人としてその審判に
参加することができる。
2
前項の規定による参加人は、被参加人がその審判の請求を取り下げた後においても、審判手続を続行することができる。
3
審判の結果について利害関係を有する者は、審理の終結に至るまでは、当事者の一方を補助するためその審判に参加することができる。
4
前項の規定による参加人は、一切の審判手続をすることができる。
5
第一項又は第三項の規定による参加人について審判手続の中断又は中止の原因があるときは、その中断又は中止は、被参加人についても、その効力を生ずる。
第百四十九条
参加を申請する者は、参加申請書を
審判長に提出しなければならない。
2
審判長は、参加の申請があつたときは、参加申請書の副本を
当事者及び
参加人に送達し、相当の期間を指定して、意見を述べる機会を与えなければならない。
3
参加の申請があつたときは、その申請をした者が参加しようとする審判の審判官が審判により決定をする。
4
前項の決定は、文書をもつて行い、かつ、理由を附さなければならない。
5
第三項の決定に対しては、不服を申し立てることができない。
第百五十条
審判に関しては、当事者若しくは参加人の申立により又は職権で、証拠調をすることができる。
2
審判に関しては、審判請求前は利害関係人の申立により、審判の係属中は当事者若しくは参加人の申立により又は職権で、証拠保全をすることができる。
3
前項の規定による審判請求前の申立は、特許庁長官に対してしなければならない。
4
特許庁長官は、第二項の規定による審判請求前の申立てがあつたときは、証拠保全に関与すべき審判官及び審判書記官を指定する。
5
審判長は、第一項又は第二項の規定により職権で証拠調又は証拠保全をしたときは、その結果を当事者及び参加人に通知し、相当の期間を指定して、意見を申し立てる機会を与えなければならない。
6
第一項又は第二項の証拠調又は証拠保全は、当該事務を取り扱うべき地の地方裁判所又は簡易裁判所に嘱託することができる。
第百五十二条
審判長は、当事者又は参加人が法定若しくは指定の期間内に手続をせず、又は第百四十五条第三項の規定により定めるところに従つて出頭しないときであつても、審判手続を進行することができる。
第百五十三条
審判においては、当事者又は参加人が申し立てない理由についても、審理することができる。
2
審判長は、前項の規定により当事者又は参加人が申し立てない理由について審理したときは、その審理の結果を当事者及び参加人に通知し、相当の期間を指定して、意見を申し立てる機会を与えなければならない。
3
審判においては、請求人が申し立てない請求の趣旨については、審理することができない。
第百五十四条
当事者の双方又は一方が同一である二以上の審判については、その審理の併合をすることができる。
2
前項の規定により審理の併合をしたときは、さらにその審理の
分離をすることができる。
第百五十五条
審判の請求は、審決が確定するまでは、取り下げることができる。H9-08(しかし訂正審判の認容審決は審決謄本送達により確定するのでその後に取り下げることはできない)
2
審判の請求は、第百三十四条第一項の答弁書の提出があつた後は、相手方の承諾を得なければ、取り下げることができない。
3
二以上の請求項に係る特許の二以上の請求項について特許無効審判を請求したときは、その請求は、
請求項ごとに取り下げることができる。
第百五十六条
審判長は、事件が審決をするのに熟したときは、審理の終結を当事者及び参加人に通知しなければならない。
2
審判長は、必要があるときは、前項の規定による通知をした後であつても、
当事者若しくは
参加人の
申立により又は
職権で、審理の
再開をすることができる。
3
審決は、第一項の規定による通知を発した日から二十日以内にしなければならない。ただし、事件が複雑であるとき、その他やむを得ない理由があるときは、この限りでない。
第百五十七条
審決があつたときは、審判は、終了する。
2
審決は、次に掲げる事項を記載した文書をもつて行わなければならない。
二
当事者及び参加人並びに代理人の氏名又は名称及び住所又は居所
3
特許庁長官は、審決があつたときは、審決の謄本を
当事者、
参加人及び審判に参加を申請してその申請を拒否された者に送達しなければならない。
第百五十八条
審査においてした手続は、拒絶査定不服審判においても、その効力を有する。
第百五十九条
第五十三条の規定は、拒絶査定不服審判に準用する。この場合において、第五十三条第一項中「第十七条の二第一項第一号又は第三号」とあるのは「第十七条の二第一項第一号、第三号又は第四号」と、「補正が」とあるのは「補正(同項第一号又は第三号に掲げる場合にあつては、拒絶査定不服審判の請求前にしたものを除く。)が」と読み替えるものとする。H13-07(補正却下の決定に対しては準特53条3項により不服を申し立てることはできない)
2
第五十条及び第五十条の二の規定は、拒絶査定不服審判において査定の理由と異なる拒絶の理由を発見した場合に準用する。この場合において、第五十条ただし書中「
第十七条の二第一項第一号又は第三号に掲げる場合(同項第一号に掲げる場合にあつては、拒絶の理由の通知と併せて次条の規定による通知をした場合に限る。)」とあるのは、「第十七条の二第一項第一号(拒絶の理由と併せて次条の規定による通知をした場合に限るものとし、拒絶査定不服審判の請求前に補正をしたときを除く。)、第三号(拒絶査定不服審判の請求前に補正をしたときを除く。)又は第四号に掲げる場合」と読み替えるものとする。
第百六十条
拒絶査定不服審判において査定を取り消すときは、さらに審査に付すべき旨の審決をすることができる。
2
前項の審決があつた場合における判断は、その事件について審査官を拘束する。
3
第一項の審決をするときは、前条第三項の規定は、適用しない。
第百六十二条
特許庁長官は、拒絶査定不服審判の請求があつた場合において、その日から三十日以内その請求と同時にその請求に係る特許出願の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面について補正があつたときは、審査官にその請求を審査させなければならない。
2
第五十条及び
第五十条の二の規定は、前条の規定による審査において審判の請求に係る査定の理由と異なる拒絶の理由を発見した場合に準用する。この場合において、第五十条ただし書中「
第十七条の二第一項第一号又は第三号に掲げる場合(同項第一号に掲げる場合にあつては、拒絶の理由の通知と併せて次条の規定による通知をした場合に限る。)」とあるのは、「第十七条の二第一項第一号(拒絶の理由の通知と併せて次条の規定による通知をした場合に限るものとし、拒絶査定不服審判の請求前に補正をしたときを除く。)、第三号(拒絶査定不服審判の請求前に補正をしたときを除く。)又は第四号に掲げる場合」と読み替えるものとする。
3
第五十一条及び
第五十二条の規定は、前条の規定による審査において審判の請求を理由があるとする場合に準用する。
第百六十四条
審査官は、
第百六十二条の規定による審査において特許をすべき旨の査定をするときは、審判の請求に係る拒絶をすべき旨の査定を取り消さなければならない。
2
審査官は、前項に規定する場合を除き、前条第一項において準用する第五十三条第一項の規定による却下の決定をしてはならない。
3
審査官は、第一項に規定する場合を除き、当該審判の請求について査定をすることなくその審査の結果を特許庁長官に報告しなければならない。
第百六十五条
審判長は、訂正審判の請求が
第百二十六条第一項ただし書各号に掲げる事項を目的とせず、又は同条第三項から第五項までの規定に適合しないときは、請求人にその理由を通知し、相当の期間を指定して、意見書を提出する機会を与えなければならない。
第百六十七条
何人も、特許無効審判又は延長登録無効審判の確定審決の登録があつたときは、同一の事実及び同一の証拠に基づいてその審判を請求することができない。
第百六十八条
審判において
必要があると認めるときは、他の審判の審決が確定し、又は訴訟手続が完結するまでその手続を中止
することができる。
2
訴えの提起又は仮差押命令若しくは仮処分命令の申立てがあつた場合において、必要があると認めるときは、裁判所は、審決が確定するまでその訴訟手続を中止することができる。
3
裁判所は、特許権又は専用実施権の侵害に関する訴えの提起があつたときは、その旨を
特許庁長官に通知するものとする。その訴訟手続が完結したときも、また同様とする。
4
特許庁長官は、前項に規定する通知を受けたときは、その特許権についての審判の請求の有無を裁判所に通知するものとする。その審判の請求書の却下の決定、審決又は請求の取下げがあつたときも、また同様とする。
5
裁判所は、前項の規定によりその特許権についての審判の請求があつた旨の通知を受けた場合において、当該訴訟において
第百四条の三第一項の規定による攻撃又は防御の方法を記載した書面がその通知前に既に提出され、又はその通知後に最初に提出されたときは、その旨を
特許庁長官に通知するものとする。
6
特許庁長官は、前項に規定する通知を受けたときは、裁判所に対し、当該訴訟の訴訟記録のうちその審判において審判官が必要と認める書面の写しの送付を求めることができる。
第百六十九条
特許無効審判及び延長登録無効審判に関する費用の負担は、審判が審決により終了するときはその審決をもつて、審判が審決によらないで終了するときは審判による決定をもつて、職権で、定めなければならない。
2
民事訴訟法第六十一条
から
第六十六条
まで、第六十九条第一項及び第二項、第七十条並びに第七十一条第二項(訴訟費用の負担)の規定は、前項に規定する審判に関する費用に準用する。この場合において、
同法第七十一条第二項
中「最高裁判所規則」とあるのは、「経済産業省令」と読み替えるものとする。
3
拒絶査定不服審判及び訂正審判に関する費用は、請求人の負担とする。
5
審判に関する費用の額は、請求により、審決又は決定が確定した後に
特許庁長官が決定をする。
6
審判に関する費用の範囲、額及び納付並びに審判における手続上の行為をするために必要な給付については、その性質に反しない限り、民事訴訟費用等に関する法律(昭和四十六年法律第四十号)中これらに関する規定(第二章第一節及び第三節に定める部分を除く。)の例による。H21-15(任意に依頼した代理人の報酬は審判の費用に含まれない)
第百七十条
審判に関する費用の額についての確定した決定は、執行力のある債務名義と同一の効力を有する。
第七章 再審
第百七十一条
確定審決に対しては、当事者又は参加人は、再審を請求することができる。
第百七十二条
審判の請求人及び被請求人が共謀して第三者の権利又は利益を害する目的をもつて審決をさせたときは、その第三者は、その確定審決に対し再審を請求することができる。
2
前項の再審は、その請求人及び被請求人を共同被請求人として請求しなければならない。
第百七十三条
再審は、請求人が審決が確定した後再審の理由を知つた日から三十日以内に請求しなければならない。
2
再審を請求する者がその責めに帰することができない理由により前項に規定する期間内にその請求をすることができないときは、同項の規定にかかわらず、その理由がなくなつた日から十四日(在外者にあつては、二月)以内でその期間の経過後六月以内にその請求をすることができる。
3
請求人が法律の規定に従つて代理されなかつたことを理由として再審を請求するときは、第一項に規定する期間は、請求人又はその法定代理人が送達により審決があつたことを知つた日の翌日から起算する。
4
審決が確定した日から三年を経過した後は、再審を請求することができない。
5
再審の理由が審決が確定した後に生じたときは、前項に規定する期間は、その理由が発生した日の翌日から起算する。
6
第一項及び第四項の規定は、当該審決が前にされた確定審決と抵触することを理由とする再審の請求には、適用しない。
第百七十五条
無効にした特許に係る特許権若しくは無効にした存続期間の延長登録に係る特許権が再審により回復した場合又は拒絶をすべき旨の審決があつた特許出願若しくは特許権の存続期間の延長登録の出願について再審により特許権の設定の登録若しくは特許権の存続期間を延長した旨の登録があつた場合において、その特許が物の発明についてされているときは、特許権の効力は、当該
審決が
確定した後
再審の
請求の
登録前に
善意に輸入し、又は日本国内において生産し、若しくは取得した当該物には、及ばない。
2
無効にした特許に係る特許権若しくは無効にした存続期間の延長登録に係る特許権が再審により回復したとき、又は拒絶をすべき旨の審決があつた特許出願若しくは特許権の存続期間の延長登録の出願について再審により特許権の設定の登録若しくは特許権の存続期間を延長した旨の登録があつたときは、特許権の効力は、当該審決が確定した後再審の請求の登録前における次に掲げる行為には、及ばない。
二
特許が物の発明についてされている場合において、
善意に、その物の生産に用いる物の生産、譲渡等若しくは輸入又は譲渡等の申出をした行為
三
特許が物の発明についてされている場合において、
善意に、その物を譲渡等又は輸出のために所持した行為
四
特許が方法の発明についてされている場合において、
善意に、その方法の使用に用いる物の生産、譲渡等若しくは輸入又は譲渡等の申出をした行為
五
特許が物を生産する方法の発明についてされている場合において、
善意に、その方法により生産した物を譲渡等又は輸出のために所持した行為
第百七十六条
無効にした特許に係る特許権若しくは無効にした存続期間の延長登録に係る特許権が再審により回復したとき、又は拒絶をすべき旨の審決があつた特許出願若しくは特許権の存続期間の延長登録の出願について再審により特許権の設定の登録若しくは特許権の存続期間を延長した旨の登録があつたときは、当該審決が確定した後再審の請求の登録前に善意に日本国内において当該発明の実施である事業をしている者又はその事業の準備をしている者は、その実施又は準備をしている発明及び事業の目的の範囲内において、その特許権について通常実施権を有する。
第八章 訴訟
第百七十八条
審決に対する訴え及び審判又は再審の請求書の却下の決定に対する訴えは、東京高等裁判所の専属管轄とする。
2
前項の訴えは、当事者、参加人又は当該審判若しくは再審に参加を申請してその申請を拒否された者に限り、提起することができる。
3
第一項の訴えは、審決又は決定の謄本の送達があつた日から三十日を経過した後は、提起することができない。
5
審判長は、遠隔又は交通不便の地にある者のため、職権で、前項の不変期間については附加期間を定めることができる。
6
審判を請求することができる事項に関する訴えは、
審決に対するものでなければ、提起することができない。
第百七十九条
前条第一項の訴えにおいては、特許庁長官を被告としなければならない。ただし、特許無効審判若しくは延長登録無効審判又はこれらの審判の確定審決に対する第百七十一条第一項の再審の審決に対するものにあつては、その審判又は再審の請求人又は被請求人を被告としなければならない。
第百八十条
裁判所は、前条ただし書に規定する訴の提起があつたときは、遅滞なく、その旨を特許庁長官に通知しなければならない。
第百八十条の二
裁判所は、第百七十九条ただし書に規定する訴えの提起があつたときは、特許庁長官に対し、当該事件に関するこの法律の適用その他の必要な事項について、意見を求めることができる。
2
特許庁長官は、第百七十九条ただし書に規定する訴えの提起があつたときは、裁判所の許可を得て、裁判所に対し、当該事件に関するこの法律の適用その他の必要な事項について、意見を述べることができる。
3
特許庁長官は、特許庁の職員でその指定する者に前二項の意見を述べさせることができる。
第百八十一条
裁判所は、
第百七十八条第一項の訴えの提起があつた場合において、当該請求を
理由が
あると認めるときは、当該審決又は決定を取り消
さなければならない。
2
裁判所は、特許無効審判の審決に対する第百七十八条第一項の訴えの提起があつた場合において、特許権者が当該訴えに係る特許について訴えの提起後に訂正審判を請求し、又は請求しようとしていることにより、当該特許を無効にすることについて特許無効審判においてさらに審理させることが相当であると認めるときは、事件を審判官に差し戻すため、決定をもつて、当該審決を取り消すことができる。
3
裁判所は、前項の規定による決定をするときは、当事者の意見を聴かなければならない。
4
第二項の決定は、審判官その他の第三者に対しても効力を有する。
5
審判官は、第一項の規定による審決若しくは決定の取消しの判決又は第二項の規定による審決の取消しの決定が確定したときは、さらに審理を行い、審決又は決定をしなければならない。
第百八十二条
裁判所は、第百七十九条ただし書に規定する訴について訴訟手続が完結したときは、遅滞なく、特許庁長官に各審級の裁判の正本を送付しなければならない。
第百八十二条の二
第百七十八条第一項の訴えに係る事件については、五人の裁判官の合議体で審理及び裁判をする旨の決定をその合議体ですることができる。
2
前項の訴えは、裁定の謄本の送達があつた日から六月を経過した後は、提起することができない。
第百八十四条
前条第一項の訴えにおいては、次に掲げる者を被告としなければならない。
第百八十四条の二
この法律又はこの法律に基づく命令の規定による処分(
第百九十五条の四に規定する処分を除く。)の取消しの訴えは、当該処分についての異議申立て又は審査請求に対する決定又は裁決を経た後でなければ、提起することができない。
第九章 特許協力条約に基づく国際出願に係る特例
第百八十四条の三
千九百七十年六月十九日にワシントンで作成された特許協力条約(以下この章において「条約」という。)第十一条(1)若しくは(2)(b)又は第十四条(2)の規定に基づく国際出願日が認められた国際出願であつて、条約第四条(1)(ii)の指定国に日本国を含むもの(特許出願に係るものに限る。)は、その国際出願日にされた特許出願とみなす。
2
前項の規定により特許出願とみなされた国際出願(以下「国際特許出願」という。)については、第四十三条(第四十三条の二第三項において準用する場合を含む。)の規定は、適用しない。
第百八十四条の四
外国語でされた国際特許出願(以下「外国語特許出願」という。)の出願人は、条約第二条(xi)の優先日(以下「優先日」という。)から二年六月(以下「国内書面提出期間」という。)以内に、前条第一項に規定する国際出願日(以下「国際出願日」という。)における
条約第三条(2)に規定する明細書、請求の範囲、
図面(図面の中の説明に限る。)及び要約の日本語による翻訳文を、
特許庁長官に提出しなければならない。ただし、国内書面提出期間の満了前
二月から満了の日までの間に次条第一項に規定する書面を提出した外国語特許出願(当該書面の提出の日以前に当該翻訳文を提出したものを除く。)にあつては、
当該書面の提出の日から二月(以下「翻訳文提出特例期間」という。)以内に、当該翻訳文を提出することができる。
H10-06(図面の中の説明の翻訳文の提出がないときは、国際出願日において図面の中の説明がなかったとみなされるのではなく、単に説明はないものとして扱われる(従って誤訳訂正書を提出することにより図面の中の説明を追加補正できる))
2
前項の場合において、外国語特許出願の出願人が条約第十九条(1)の規定に基づく補正をしたときは、同項に規定する請求の範囲の翻訳文に代えて、当該補正後の請求の範囲の翻訳文を提出することができる。
3
国内書面提出期間(第一項ただし書の外国語特許出願にあつては、翻訳文提出特例期間。次項において同じ。)内に第一項に規定する明細書の翻訳文及び前二項に規定する請求の範囲の翻訳文の提出がなかつたときは、その国際特許出願は、取り下げられたものとみなす。
4
第一項に規定する請求の範囲の翻訳文を提出した出願人は、条約第十九条(1)の規定に基づく補正をしたときは、国内書面提出期間が満了する時(国内書面提出期間内に出願人が出願審査の請求をするときは、その請求の時。以下「国内処理基準時」という。)の属する日までに限り、当該補正後の請求の範囲の日本語による翻訳文を更に提出することができる。
第百八十四条の五
国際特許出願の出願人は、国内書面提出期間内に、次に掲げる事項を記載した書面を
特許庁長官に提出しなければならない。
2
特許庁長官は、次に掲げる場合は、相当の期間を指定して、手続の補正をすべきことを命ずることができる。
一
前項の規定により提出すべき書面を、国内書面提出期間内に提出しないとき。
二
前項の規定による手続が第七条第一項から第三項まで又は第九条の規定に違反しているとき。
三
前項の規定による手続が経済産業省令で定める方式に違反しているとき。
四
前条第一項の規定により提出すべき要約の翻訳文を、国内書面提出期間(前条第一項ただし書の外国語特許出願にあつては、翻訳文提出特例期間)内に提出しないとき。
五
第百九十五条第二項の規定により納付すべき手数料を国内書面提出期間内に納付しないとき。
3
特許庁長官は、前項の規定により手続の補正をすべきことを命じた者が同項の規定により指定した期間内にその補正をしないときは、当該国際特許出願を却下することができる。
第百八十四条の六
国際特許出願に係る国際出願日における願書は、
第三十六条第一項の規定により提出した願書とみなす。
2
日本語でされた国際特許出願(以下「日本語特許出願」という。)に係る国際出願日における明細書及び外国語特許出願に係る国際出願日における明細書の翻訳文は
第三十六条第二項の規定により願書に添付して提出した明細書と、日本語特許出願に係る国際出願日における請求の範囲及び外国語特許出願に係る国際出願日における請求の範囲の翻訳文は同項の規定により願書に添付して提出した特許請求の範囲と、日本語特許出願に係る国際出願日における図面並びに外国語特許出願に係る国際出願日における図面(図面の中の説明を除く。)及び図面の中の説明の翻訳文は同項の規定により願書に添付して提出した図面と、日本語特許出願に係る要約及び外国語特許出願に係る要約の翻訳文は同項の規定により願書に添付して提出した要約書とみなす。
3
第百八十四条の四第二項又は第四項の規定により条約第十九条(1)の規定に基づく補正後の請求の範囲の翻訳文が提出された場合は、前項の規定にかかわらず、当該補正後の請求の範囲の翻訳文を第三十六条第二項の規定により願書に添付して提出した特許請求の範囲とみなす。
第百八十四条の七
日本語特許出願の出願人は、
条約第十九条(1)の規定に基づく補正をしたときは、
国内処理基準時の属する日までに、同条(1)の規定に基づき提出された
補正書の写しを
特許庁長官に提出しなければならない。
2
前項の規定により補正書の写しが提出されたときは、その補正書の写しにより、願書に添付した特許請求の範囲について第十七条の二第一項の規定による補正がされたものとみなす。ただし、条約第二十条の規定に基づき前項に規定する期間内に補正書が特許庁に送達されたときは、その補正書により、補正がされたものとみなす。
3
第一項に規定する期間内に日本語特許出願の出願人により同項に規定する手続がされなかつたときは、条約第十九条(1)の規定に基づく補正は、されなかつたものとみなす。ただし、前項ただし書に規定するときは、この限りでない。
第百八十四条の八
国際特許出願の出願人は、
条約第三十四条(2)(b)の規定に基づく補正をしたときは、
国内処理基準時の属する日までに、日本語特許出願に係る補正にあつては同条(2)(b)の規定に基づき提出された
補正書の写しを、外国語特許出願に係る補正にあつては当該
補正書の日本語による翻訳文を、
特許庁長官に提出しなければならない。
2
前項の規定により補正書の写し又は補正書の翻訳文が提出されたときは、その補正書の写し又は補正書の翻訳文により、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面について第十七条の二第一項の規定による補正がされたものとみなす。ただし、日本語特許出願に係る補正につき
条約第三十六条(3)(a)の規定に基づき前項に規定する期間内に
補正書が特許庁に送達されたときは、その
補正書により、補正がされたものとみなす。
3
第一項に規定する期間内に国際特許出願の出願人により同項に規定する手続がされなかつたときは、
条約第三十四条(2)(b)の規定に基づく補正は、
されなかつたものとみなす。ただし、前項ただし書に規定するときは、この限りでない。
4
第二項の規定により外国語特許出願に係る願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面について第十七条の二第一項の規定による補正がされたものとみなされたときは、その補正は同条第二項の誤訳訂正書を提出してされたものとみなす。
第百八十四条の九
特許庁長官は、第百八十四条の四第一項の規定により翻訳文が提出された外国語特許出願について、特許掲載公報の発行をしたものを除き、国内書面提出期間(第百八十四条の四第一項ただし書の外国語特許出願にあつては、翻訳文提出特例期間。以下この項において同じ。)の経過後(国内書面提出期間内に出願人から出願審査の請求があつた国際特許出願であつて条約第二十一条に規定する国際公開(以下「国際公開」という。)がされているものについては、出願審査の請求の後)、遅滞なく、国内公表をしなければならない。
2
国内公表は、次に掲げる事項を特許公報に掲載することにより行う。
五
第百八十四条の四第一項に規定する明細書及び図面の中の説明の翻訳文に記載した事項、同項に規定する請求の範囲の翻訳文(同条第二項に規定する翻訳文が提出された場合にあつては、当該翻訳文)及び同条第四項に規定する翻訳文に記載した事項、図面(図面の中の説明を除く。)の内容並びに要約の翻訳文に記載した事項(特許公報に掲載することが公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあると
特許庁長官が認めるものを除く。)
3
第六十四条第三項の規定は、前項の規定により同項第五号の要約の翻訳文に記載した事項を特許公報に掲載する場合に準用する。
6
外国語特許出願に係る証明等の請求については、
第百八十六条第一項第一号中「又は
第六十七条の二第二項の資料」とあるのは「又は千九百七十年六月十九日にワシントンで作成された特許協力条約第三条(2)に規定する国際出願の願書、明細書、請求の範囲、図面若しくは要約(特許権の設定の登録がされた国際特許出願に係るもの又は国際公開がされたものを除く。)」とする。
7
国際特許出願に関し特許公報に掲載すべき事項については、
第百九十三条第二項第三号中「出願公開後における」とあるのは、「国際公開がされた国際特許出願に係る」とする。
第百八十四条の十
国際特許出願の出願人は、日本語特許出願については国際公開があつた後に、外国語特許出願については国内公表があつた後に、国際特許出願に係る発明の内容を記載した書面を提示して警告をしたときは、その警告後特許権の設定の登録前に業としてその発明を実施した者に対し、その発明が特許発明である場合にその実施に対し受けるべき金銭の額に相当する額の補償金の支払を請求することができる。当該警告をしない場合においても、日本語特許出願については国際公開がされた国際特許出願に係る発明であることを知つて特許権の設定の登録前に、外国語特許出願については国内公表がされた国際特許出願に係る発明であることを知つて特許権の設定の登録前に、業としてその発明を実施した者に対しては、同様とする。
2
第六十五条第二項から
第五項第六項までの規定は、前項の規定により請求権を行使する場合に準用する。
第百八十四条の十一
在外者である国際特許出願の出願人は、国内処理基準時までは、第八条第一項の規定にかかわらず、特許管理人によらないで手続をすることができる。
2
前項に規定する者は、国内処理基準時の属する日後経済産業省令で定める期間内に、特許管理人を選任して特許庁長官に届け出なければならない。
3
前項に規定する期間内に特許管理人の選任の届出がなかつたときは、その国際特許出願は、取り下げたものとみなす。
2
外国語特許出願に係る明細書、特許請求の範囲又は図面について補正ができる範囲については、第十七条の二第二項中「第三十六条の二第二項の外国語書面出願」とあるのは「第百八十四条の四第一項の外国語特許出願」と、同条第三項中「願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(第三十六条の二第二項の外国語書面出願にあつては、同条第四項の規定により明細書、特許請求の範囲及び図面とみなされた同条第二項に規定する外国語書面の翻訳文(誤訳訂正書を提出して明細書、特許請求の範囲又は図面について補正をした場合にあつては、翻訳文又は当該補正後の明細書、特許請求の範囲若しくは図面))」とあるのは「第百八十四条の四第一項の国際出願日(以下この項において「国際出願日」という。)における第百八十四条の三第二項の国際特許出願(以下この項において「国際特許出願」という。)の明細書若しくは図面(図面の中の説明に限る。)の第百八十四条の四第一項の翻訳文、国際出願日における国際特許出願の請求の範囲の同項の翻訳文(同条第二項又は第四項の規定により千九百七十年六月十九日にワシントンで作成された特許協力条約第十九条(1)の規定に基づく補正後の請求の範囲の翻訳文が提出された場合にあつては、当該翻訳文)又は国際出願日における国際特許出願の図面(図面の中の説明を除く。)(以下この項において「翻訳文等」という。)(誤訳訂正書を提出して明細書、特許請求の範囲又は図面について補正をした場合にあつては、翻訳文等又は当該補正後の明細書、特許請求の範囲若しくは図面)」とする。
3
国際特許出願の出願人は、
第十七条の三の規定にかかわらず、優先日から
一年三月以内(
第百八十四条の四第一項の規定により翻訳文が提出された外国語特許出願のうち、国内書面提出期間内に出願人から出願審査の請求のあつた国際特許出願であつて国際公開がされているものについては、出願審査の請求があつた後を除く。)に限り、願書に添付した要約書について補正をすることができる。
第百八十四条の十二の二
日本語特許出願については
第百八十四条の五第一項の規定による手続をし、かつ、
第百九十五条第二項の規定により納付すべき手数料を納付した後、外国語特許出願については
第百八十四条の四第一項及び第百八十四条の五第一項の規定による手続をし、かつ、第百九十五条第二項の規定により納付すべき手数料を納付した後であつて国内処理基準時を経過した後でなければ、
第二十七条第一項第四号の規定にかかわらず、仮専用実施権又は仮通常実施権の登録を受けることができない。
第百八十四条の十四
第三十条第一項又は第三項の規定の適用を受けようとする国際特許出願の出願人は、その旨を記載した書面及び第二十九条第一項各号の一に該当するに至つた発明が第三十条第一項又は第三項の規定の適用を受けることができる発明であることを証明する書面を、同条第四項の規定にかかわらず、国内処理基準時の属する日後経済産業省令で定める期間内に特許庁長官に提出することができる。
2
日本語特許出願についての
第四十一条第三項の規定の適用については、同項中「又は出願公開」とあるのは、「又は千九百七十年六月十九日にワシントンで作成された特許協力条約第二十一条に規定する国際公開」とする。
3
外国語特許出願についての第四十一条第三項の規定の適用については、同項中「特許出願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面」とあるのは「第百八十四条の四第一項の国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面」と、「又は出願公開」とあるのは「又は千九百七十年六月十九日にワシントンで作成された特許協力条約第二十一条に規定する国際公開」とする。
4
第四十一条第一項の先の出願が国際特許出願又は
実用新案法第四十八条の三第二項の国際実用新案登録出願である場合における
第四十一条第一項から第三項まで及び
第四十二条第一項の規定の適用については、第四十一条第一項及び第二項中「願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲若しくは実用新案登録請求の範囲又は図面」とあるのは「
第百八十四条の四第一項又は
実用新案法第四十八条の四第一項の国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面」と、
同条第三項中「先の出願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲若しくは実用新案登録請求の範囲又は図面」とあるのは「先の出願の第百八十四条の四第一項又は実用新案法第四十八条の四第一項の国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面」と、「について出願公開」とあるのは「について千九百七十年六月十九日にワシントンで作成された特許協力条約第二十一条に規定する国際公開」と、
第四十二条第一項中「その出願の日から一年三月を経過した時」とあるのは「第百八十四条の四第四項若しくは実用新案法第四十八条の四第四項の国内処理基準時又は第百八十四条の四第一項若しくは同法第四十八条の四第一項の国際出願日から一年三月を経過した時のいずれか遅い時」とする。
第百八十四条の十七
国際特許出願の出願人は、日本語特許出願にあつては第百八十四条の五第一項、外国語特許出願にあつては第百八十四条の四第一項及び第百八十四条の五第一項の規定による手続をし、かつ、第百九十五条第二項の規定により納付すべき手数料を納付した後、国際特許出願の出願人以外の者は、国内書面提出期間(第百八十四条の四第一項ただし書の外国語特許出願にあつては、翻訳文提出特例期間)の経過後でなければ、国際特許出願についての出願審査の請求をすることができない。
第百八十四条の十八
外国語特許出願に係る拒絶の査定及び特許無効審判については、第四十九条第六号並びに第百二十三条第一項第一号及び第五号中「外国語書面出願」とあるのは「第百八十四条の四第一項の外国語特許出願」と、第四十九条第六号及び第百二十三条第一項第五号中「外国語書面」とあるのは「第百八十四条の四第一項の国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面」とする。
第百八十四条の十九
外国語特許出願に係る第百三十四条の二第一項の規定による訂正及び訂正審判の請求については、第百二十六条第三項中「外国語書面出願」とあるのは「第百八十四条の四第一項の外国語特許出願」と、「外国語書面」とあるのは「第百八十四条の四第一項の国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面」とする。
第百八十四条の二十
条約第二条(vii)の国際出願の出願人は、条約第四条(1)(ii)の指定国に日本国を含む国際出願(特許出願に係るものに限る。)につき条約第二条(xv)の受理官庁により条約第二十五条(1)(a)に規定する拒否若しくは同条(1)(a)若しくは(b)に規定する宣言がされ、又は条約第二条(xix)の国際事務局により条約第二十五条(1)(a)に規定する認定がされたときは、経済産業省令で定める期間内に、経済産業省令で定めるところにより、
特許庁長官に同条(2)(a)に規定する決定をすべき旨の申出をすることができる。
2
外国語でされた国際出願につき前項の申出をする者は、申出に際し、明細書、請求の範囲、図面(図面の中の説明に限る。)、要約その他の経済産業省令で定める国際出願に関する書類の日本語による翻訳文を
特許庁長官に提出しなければならない。
3
特許庁長官は、第一項の申出があつたときは、その申出に係る拒否、宣言又は認定が条約及び特許協力条約に基づく規則の規定に照らして正当であるか否かの決定をしなければならない。
4
前項の規定により
特許庁長官が同項の拒否、宣言又は認定が条約及び特許協力条約に基づく規則の規定に照らして正当でない旨の決定をしたときは、その決定に係る国際出願は、その国際出願につきその拒否、宣言又は認定がなかつたものとした場合において国際出願日となつたものと認められる日にされた特許出願とみなす。
5
前項の規定により特許出願とみなされた国際出願についての出願公開については、第六十四条第一項中「特許出願の日」とあるのは「第百八十四条の四第一項の優先日」と、同条第二項第六号中「外国語書面出願」とあるのは「外国語でされた国際出願」と、「外国語書面及び外国語要約書面」とあるのは「第百八十四条の二十第四項に規定する国際出願日となつたものと認められる日における国際出願の明細書、請求の範囲、図面及び要約」とする。
6
第百八十四条の三第二項、第百八十四条の六第一項及び第二項、第百八十四条の九第六項、第百八十四条の十二から第百八十四条の十四まで、第百八十四条の十五第一項、第三項及び第四項並びに第百八十四条の十七から前条までの規定は、第四項の規定により特許出願とみなされた国際出願に準用する。この場合において、これらの規定の準用に関し必要な技術的読替えは、政令で定める。
第十章 雑則
第百八十六条
何人も、
特許庁長官に対し、特許に関し、証明、書類の謄本若しくは抄本の交付、書類の閲覧若しくは謄写又は特許原簿のうち磁気テープをもつて調製した部分に記録されている事項を記載した書類の交付
(第三項において「証明等」という。)を請求することができる。ただし、次に掲げる書類については、
特許庁長官が秘密を保持する必要があると認めるときは、この限りでない。
一
願書、願書に添付した明細書、特許請求の範囲、図面若しくは要約書若しくは外国語書面若しくは外国語要約書面若しくは特許出願の審査に係る書類(特許権の設定の登録又は出願公開がされたものを除く。)又は第六十七条の二第二項の資料
二
拒絶査定不服審判に係る書類(当該事件に係る特許出願について特許権の設定の登録又は出願公開がされたものを除く。)
三
特許無効審判若しくは延長登録無効審判又はこれらの審判の確定審決に対する再審に係る書類であつて、当事者又は参加人から当該当事者又は参加人の保有する営業秘密が記載された旨の申出があつたもの
四
個人の名誉又は生活の平穏を害するおそれがあるもの
五
公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあるもの
2
特許庁長官は、前項第一号から第四号までに掲げる書類について、同項本文の請求を認めるときは、当該書類を提出した者に対し、その旨及びその理由を通知しなければならない。
3
特許庁長官は、第一項ただし書に規定する場合のほか、同項本文の請求に係る特許に関する書類又は特許原簿のうち磁気テープをもつて調製した部分に記録されている事項に、通常実施権又は仮通常実施権に係る情報であつて、開示することにより、通常実施権については特許権者、専用実施権者又は通常実施権者の利益を害するおそれがあるものとして政令で定めるものが、仮通常実施権については特許を受ける権利を有する者、仮専用実施権者又は仮通常実施権者の利益を害するおそれがあるものとして政令で定めるものが含まれる場合には、当該情報に該当する部分についての証明等は行わないものとする。ただし、通常実施権又は仮通常実施権について利害関係を有する者が利害関係を有する部分について請求した場合として政令で定める場合に該当するときは、この限りでない。
第百八十七条
特許権者、専用実施権者又は通常実施権者は、経済産業省令で定めるところにより、物の特許発明におけるその物若しくは物を生産する方法の特許発明におけるその方法により生産した物(以下「
特許に係る物」という。)又はその物の包装にその物又は方法の発明が特許に係る旨の表示(以下「特許表示」という。)を附するように
努めなければならない。
第百八十八条
何人も、次に掲げる行為をしてはならない。
一
特許に係る物以外の物又はその物の包装に特許表示又はこれと紛らわしい表示を付する行為
二
特許に係る物以外の物であつて、その物又はその物の包装に特許表示又はこれと紛らわしい表示を付したものの譲渡等又は譲渡等のための展示をする行為
三
特許に係る物以外の物の生産若しくは使用をさせるため、又は譲渡等をするため、広告にその物の発明が特許に係る旨を表示し、又はこれと紛らわしい表示をする行為
四
方法の特許発明におけるその方法以外の方法を使用させるため、又は譲渡し若しくは貸し渡すため、広告にその方法の発明が特許に係る旨を表示し、又はこれと紛らわしい表示をする行為
第百八十九条
送達する書類は、この法律に規定するもののほか、経済産業省令で定める。
第百九十条
民事訴訟法第九十八条第二項
、第九十九条から第百三条まで、第百五条、第百六条、第百七条第一項(第二号及び第三号を除く。)及び第三項並びに第百九条(送達)の規定は、この法律又は前条の経済産業省令で定める書類の送達に準用する。この場合において、同法第九十八条第二項及び第百条中「裁判所書記官」とあるのは「特許庁長官の指定する職員又は審判書記官」と、同法第九十九条第一項中「郵便又は執行官」とあるのは「郵便」と、同法第百七条第一項中「場合には、裁判所書記官」とあるのは「場合及び審査に関する書類を送達すべき場合には、特許庁長官の指定する職員又は審判書記官」と、「最高裁判所規則」とあるのは「経済産業省令」と読み替えるものとする。
第百九十一条
送達を受けるべき者の住所、居所その他送達をすべき場所が知れないとき、又は前条において準用する
民事訴訟法第百七条第一項(第二号及び第三号を除く。)の規定により送達をすることができないときは、公示送達をすることができる。
2
公示送達は、送達する書類を送達を受けるべき者に何時でも交付すべき旨を官報及び特許公報に掲載するとともに特許庁の掲示場に掲示することにより行う。
3
公示送達は、官報に掲載した日から二十日を経過することにより、その効力を生ずる。
第百九十二条
在外者に特許管理人があるときは、その特許管理人に送達しなければならない。
2
在外者に特許管理人がないときは、書類を航空扱いとした書留郵便等(書留郵便又は
民間事業者による信書の送達に関する法律(平成十四年法律第九十九号)
第二条第六項に規定する一般信書便事業者若しくは
同条第九項に規定する特定信書便事業者の提供する
同条第二項に規定する信書便の役務のうち書留郵便に準ずるものとして経済産業省令で定めるものをいう。次項において同じ。)
に付して発送することができる。
3
前項の規定により書類を書留郵便等に付して発送したときは、発送の時に送達があつたものとみなす。
2
特許公報には、この法律に規定するもののほか、次に掲げる事項を掲載しなければならない。
一
出願公開後における拒絶をすべき旨の査定若しくは特許出願の放棄、取下げ若しくは却下又は特許権の存続期間の延長登録の出願の取下げ
三
出願公開後における第十七条の二第一項の規定による願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の補正(同項ただし書各号の規定によりしたものにあつては、誤訳訂正書の提出によるものに限る。)
六
審判又は再審の確定審決(特許権の設定の登録又は出願公開がされたものに限る。)
七
訂正した明細書及び特許請求の範囲に記載した事項並びに図面の内容(訂正をすべき旨の確定した決定又は確定審決があつたものに限る。)
九
第百七十八条第一項の訴えについての確定判決(特許権の設定の登録又は出願公開がされたものに限る。)
第百九十四条
特許庁長官又は
審査官は、当事者に対し、審判又は再審に関する手続以外の手続を処理するため必要な書類その他の物件の提出を求めることができる。
2
特許庁長官又は審査官は、関係行政機関又は学校その他の団体に対して審査に必要な調査を依頼することができる。
第百九十五条
次に掲げる者は、実費を勘案して政令で定める額の手数料を納付しなければならない。
七
第百八十六条第一項の規定により特許原簿のうち磁気テープをもつて調製した部分に記録されている事項を記載した書類の交付を請求する者
2
別表の中欄に掲げる者は、それぞれ同表の下欄に掲げる金額の範囲内において政令で定める額の手数料を納付しなければならない。
3
特許出願人でない者が出願審査の請求をした後において、当該特許出願の願書に添付した特許請求の範囲についてした補正により請求項の数が増加したときは、その増加した請求項について前項の規定により納付すべき出願審査の請求の手数料は、同項の規定にかかわらず、特許出願人が納付しなければならない。
4
前三項の規定は、これらの規定により手数料を納付すべき者が
国であるときは、適用しない。
5
特許権又は特許を受ける権利が国と国以外の者との共有に係る場合であつて持分の定めがあるときは、国と国以外の者が自己の特許権又は特許を受ける権利について第一項又は第二項の規定により納付すべき手数料(出願審査の請求の手数料以外の政令で定める手数料に限る。)は、これらの規定にかかわらず、これらに規定する手数料の金額に国以外の者の持分の割合を乗じて得た額とし、国以外の者がその額を納付しなければならない。
6
特許を受ける権利が国又は次条の規定若しくは他の法令の規定による出願審査の請求の手数料の軽減若しくは免除(以下この項において「減免」という。)を受ける者を含む者の共有に係る場合であつて持分の定めがあるときは、これらの者が自己の特許を受ける権利について第二項の規定により納付すべき出願審査の請求の手数料は、同項の規定にかかわらず、国以外の各共有者ごとに同項に規定する出願審査の請求の手数料の金額(減免を受ける者にあつては、その減免後の金額)にその持分の割合を乗じて得た額を合算して得た額とし、国以外の者がその額を納付しなければならない。
7
前二項の規定により算定した手数料の金額に十円未満の端数があるときは、その端数は、切り捨てる。
8
第一項から第三項までの手数料の納付は、経済産業省令で定めるところにより、特許印紙をもつてしなければならない。ただし、経済産業省令で定める場合には、経済産業省令で定めるところにより、現金をもつて納めることができる。
9
出願審査の請求をした後において、
次に掲げる命令、通知又は査定の謄本の送達のいずれかがあるまでの間にその特許出願が放棄され、又は取り下げられたときは、第二項の規定により納付すべき出願審査の請求の手数料を
納付した者の請求により政令で定める額を返還する。
10
前項の規定による手数料の返還は、特許出願が放棄され、又は取り下げられた日から六月を経過した後は、請求することができない。
11
過誤納の手数料は、
納付した者の
請求により返還する。
12
前項の規定による手数料の返還は、納付した日から一年を経過した後は、請求することができない。
第百九十五条の二
特許庁長官は、次に掲げる者であつて資力に乏しい者として政令で定める要件に該当する者が、出願審査の請求の手数料を納付することが困難であると認めるときは、政令で定めるところにより、自己の特許出願について前条第二項の規定により納付すべき出願審査の請求の手数料を軽減し、又は免除することができる。
二
その発明が第三十五条第一項の従業者等がした職務発明であつて、契約、勤務規則その他の定めによりあらかじめ使用者等に特許を受ける権利を承継させることが定められている場合において、その従業者等から特許を受ける権利を承継した使用者等
第百九十五条の三
この法律又はこの法律に基づく命令の規定による処分については、
行政手続法
(平成五年法律第八十八号)
第二章及び
第三章の規定は、適用しない。
第百九十五条の四
査定又は審決及び審判又は再審の請求書の却下の決定並びにこの法律の規定により不服を申し立てることができないこととされている処分については、行政不服審査法による不服申立てをすることができない。
第十一章 罰則
第百九十六条
特許権又は専用実施権を侵害した者(第百一条の規定により特許権又は専用実施権を侵害する行為とみなされる行為を行つた者を除く。)は、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
第百九十六条の二
第百一条の規定により特許権又は専用実施権を侵害する行為とみなされる行為を行つた者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
第百九十七条
詐欺の行為により特許、特許権の存続期間の延長登録又は審決を受けた者は、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。
第百九十八条
第百八十八条の規定に違反した者は、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。
第百九十九条
この法律の規定により宣誓した証人、鑑定人又は通訳人が特許庁又はその嘱託を受けた裁判所に対し虚偽の陳述、鑑定又は通訳をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処する。
2
前項の罪を犯した者が事件の判定の謄本が送達され、又は審決が確定する前に
自白したときは、その刑を減軽し、又は免除することができる。
第二百条
特許庁の職員又はその職にあつた者がその職務に関して知得した特許出願中の発明に関する秘密を漏らし、又は盗用したときは、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
第二百条の二
秘密保持命令に違反した者は、
五年以下の懲役若しくは
五百万円以下の罰金に処し、又はこれを
併科する。
2
前項の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
3
第一項の罪は、日本国外において同項の罪を犯した者にも適用する。
第二百一条
法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、次の各号に掲げる規定の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人に対して当該各号で定める罰金刑を、その人に対して各本条の罰金刑を科する。
2
前項の場合において、当該行為者に対してした前条第二項の告訴は、その法人又は人に対しても効力を生じ、その法人又は人に対してした告訴は、当該行為者に対しても効力を生ずるものとする。
3
第一項の規定により第百九十六条、第百九十六条の二又は前条第一項の違反行為につき法人又は人に罰金刑を科する場合における時効の期間は、これらの規定の罪についての時効の期間による。
第二百三条
この法律の規定により特許庁又はその嘱託を受けた裁判所から呼出しを受けた者が、正当な理由がないのに出頭せず、又は宣誓、陳述、証言、鑑定若しくは通訳を拒んだときは、十万円以下の過料に処する。
第二百四条
証拠調又は証拠保全に関し、この法律の規定により特許庁又はその嘱託を受けた裁判所から書類その他の物件の提出又は提示を命じられた者が正当な理由がないのにその命令に従わなかつたときは、十万円以下の過料に処する。
別表 (第百九十五条関係)
|
納付しなければならない者 |
金額 |
一 |
特許出願(次号に掲げるものを除く。)をする者 |
一件につき一万六千円 |
二 |
外国語書面出願をする者 |
一件につき二万六千円 |
三 |
第百八十四条の五第一項の規定により手続をすべき者 |
一件につき一万六千円 |
四 |
第百八十四条の二十第一項の規定により申出をする者 |
一件につき一万六千円 |
五 |
特許権の存続期間の延長登録の出願をする者 |
一件につき七万四千円 |
六 |
出願審査の請求をする者 |
一件につき十六万八千六百円に一請求項につき四千円を加えた額 |
七 |
誤訳訂正書を提出して明細書、特許請求の範囲又は図面について補正をする者
|
一件につき一万九千円 |
八 |
第七十一条第一項の規定により判定を求める者 |
一件につき四万円 |
九 |
裁定を請求する者 |
一件につき五万五千円 |
十 |
裁定の取消しを請求する者 |
一件につき二万七千五百円 |
十一 |
審判又は再審(次号に掲げるものを除く。)を請求する者 |
一件につき四万九千五百円に一請求項につき五千五百円を加えた額 |
十二 |
特許権の存続期間の延長登録の拒絶査定若しくは無効に係る審判又はこれらの審判の確定審決に対する再審を請求する者 |
一件につき五万五千円 |
十三 |
明細書、特許請求の範囲又は図面の訂正の請求をする者(その訂正の請求をすることにより、第百三十四条の三第四項の規定に基づき訂正審判の請求が取り下げられたものとみなされる場合を除く。) |
一件につき四万九千五百円に一請求項につき五千五百円を加えた額 |
十四 |
審判又は再審への参加を申請する者 |
一件につき五万五千円 |