知財法のややこしいところを表にまとめてみます。
Last update:2011/10/13

特許の実施権の移転等(特94条
専用実施権 許諾通常実施権 法定通常実施権 裁定通常実施権
不実施自己の特許発明公共利益
要件 83条2項92条3項92条4項93条2項
移転実施の事業とともに △(*1) ○(*2)
特許権者等の承諾 ○(*3) × ×(*1) ○(*2) ×
相続その他の一般承継 × △(*1) ○(*2) ×
質権の設定特許権者等の承諾 ×
*1: 「協議を求めた」特許権者等の特許権等が実施の事業とともに移転したときはこれらに従って移転し、実施の事業と分離して移転したときは通常実施権は消滅する。
*2: 「協議を求められた他人」の特許権等に従って移転する(実施の事業とともにであるかは関係しない)。
*3: 専用実施権についての通常実施権にあっては、特許権者及び専用実施権者の承諾が条件。

商標の使用権の移転等
専用使用権 通常使用権 4条2項の商標権 地域団体商標権 先使用権
中用権
特許権等満了
後の使用権
国等又は
非営利公益団体
非営利公益事業者
移転実施の事業とともに ×××××
特許権者等の承諾 ○(*3)×××××
相続その他の一般承継 ×○?×
根拠条文 30条3項 31条3項 24条の2第2項 24条の2第3項 24条の2第4項 32条1項 33条の2
専用使用権の設定 ×××
通常使用権の許諾 ××
*3: 専用使用権についての通常使用権にあっては、商標権者及び専用使用権者の承諾が条件。

実施権の種類
許諾通常実施権 法定通常実施権 裁定通常実施権
特許権者 専用権者 職務先使用中用権意匠権の存続期間満了後後用権 不実施 利用抵触 公共利益 質権者
原意匠権者 実施権者
条文 特78条 特77条4項 特35条 特79条 特80条 特81条 特82条 特176条 特83条 特92条 特93条
相当の対価を受ける権利 (*2) × × ×
特許権放棄の際の承諾 ○(*3) × ×
訂正審判請求の際の承諾
効力発生のための登録の必要 ×
*2: 職務発明の場合、あらかじめ特許を受ける権利の承継や専用実施権の設定を定めている場合には相当の対価を受ける権利がある。
*3: 登録の有無は関係ない

同意または承諾の要件
行為 行為者 条文
質権の設定 共有に係る特許権 同意 他の共有者 特73条第1項
専用実施権 承諾 特許権者 特77条第4項
通常実施権
(裁定通常実施権を除く)
承諾 特許権者
専用実施権についての通常実施権にあっては特許権者及び専用実施権者
特94条第2項
放棄 特許権の 承諾 専用実施権者、質権者、職務発明又は許諾による通常実施権者 特97条第1項
専用実施権の 承諾 質権者、許諾による通常実施権者 特97条第2項
通常実施権の 承諾 質権者 特97条第3項

時期的要件
時期的要件 条文
特許 手続の補正(下記を除く) 事件が特許庁に係属している場合に限り 特17条第1項
願書に添付した明細書、
特許請求の範囲、図面の補正
最初の拒絶理由通知又は特許査定を受けるまで、又は
最初の拒絶理由通知を受けてから指定された期間内、又は
文献公知発明の通知を受けてから指定された期間内、又は
最後の拒絶理由通知を受けてから指定された期間内、又は
拒絶査定不服審判の請求の日から30日以内
特17条の2第1項
要約書の補正 出願日(優先権主張を伴う場合、先の出願日)から
1年3月以内又は出願公開の請求まで
特17条の3
無効審判における訂正の
請求書に添付した明細書、
特許請求の範囲、図面の補正
無効審判請求時の答弁書提出期間内、又は
要旨変更補正を許可する場合の答弁書提出期間内、又は
訂正要件についての職権審理結果の通知の応答期間内、又は
棄却審決に対する取消判決確定日から1週間以内の申立て後の指定期間内、又は
無効審決の取消判決確定後の審理再開において指定期間内、又は
職権審理結果の通知の応答期間内
特17条の4第1項
訂正審判請求書に添付した
明細書等の補正
審理終結通知がある前、又は
審理が再開された場合の再度審理終結通知がある前
特17条の4第2項
実用新案からの変更 出願日から3年経過した後を除く 特46条第1項
意匠登録出願からの変更 最初の拒絶査定の謄本送達日から3月を経過した後、又は出願日から3年経過した後を除く 特46条第2項
実用
新案
特許出願からの変更 最初の拒絶査定の謄本送達日から3月を経過した後、又は出願日から9年6月経過した後を除く 実10条第1項
意匠登録出願からの変更 最初の拒絶査定の謄本送達日から3月を経過した後、又は出願日から9年6月経過した後を除く 実10条第2項
14条の2第1項の訂正 最初の実用新案技術評価書の謄本の送達があつた日から二月以内、又は
実用新案登録無効審判について、答弁書提出期間として最初に指定された期間
実14条の2第1項
14条の2第7項の訂正 実用新案登録無効審判が特許庁に係属していて審理終結通知があった後を除く 実14条の2第7項
意匠 出願の分割 出願が審査、審判又は再審に係属している場合 意10条の2第1項
特許出願からの変更 拒絶をすべき旨の最初の査定の謄本の送達があつた日から三十日を経過した後を除く 意13条1項
実用新案からの変更 事件が特許庁に係属している場合に限り 意13条2項
手続の補正 事件が審査、審判又は再審に係属している場合 意60条の3
商標 出願の分割 出願が審査、審判、若しくは再審に係属している場合又は拒絶査定不服審判が裁判所に係属している場合 商10条1項
商標登録出願の変更 査定又は審決が確定するまで 商11条3項
商65条2項
防護標章登録出願の変更 商12条2項
更新登録料の納付 存続期間の満了前6月から満了の日まで 商20条2項
更新登録料の追納 納付期間の経過後6月以内 商20条3項
更新登録料の追完 不責理由がなくなった日から14日(在外者にあっては2月)以内で追納期間の経過後6月以内 商21条1項
商標権の分割 商標権消滅後においても、無効審判が審判、再審又は訴訟に係属している場合 商24条2項
登録異議の申立て 商標掲載公報の発行の日から2月以内 商43条の2第1項
異議申立ての取下げ 取消理由の通知があるまで 商43条の11第1項
手続きの補正 事件が審査、登録異議の申立てについての審理、審判又は再審に係属している場合 商68条の40第1項
区分の数を減ずる補正 登録料の納付と同時 商68条の40第2項

期間の延長
延長される期間 請求 職権 決定権 延長上限 要件等 条文
特許 他人による実用新案技術評価請求の通知があった日から30日
特許査定又は審決の謄本の送達があった日から30日
拒絶査定の謄本の送達があった日から30日
再審の理由を知った日から30日
特許庁長官 遠隔又は交通不便の地にある者のため 特4条
この法律の規定により指定した手続きをすべき期間 特許庁長官、
審判長又は審査官
なし 特5条1項
口頭審理による審判の呼出しのための期日 審判長 (延長ではなく、変更) 特5条2項
特許査定又は審決の謄本の送達があった日から30日 × 特許庁長官 30日 (4条の延長に追加可能) 特108条3項

商標法4条1項各号
要約 有する 商品等類似 両時判断 後発的無効 除斥期間
1 国旗等
2 国の紋章等で経産大臣指定
3 国際機関標章で経産大臣指定
4 赤十字標章等
5 監督証明用印章等で経産大臣指定
6 著名な地方公共団体標章等
7 公序良俗を害する商標
8 他人の氏名等
9 博覧会の賞
10 他人の周知商標
11 他人の先願先登録商標
12 他人の登録防護標章
13 1年以内に消滅した他人の商標
14 種苗法の登録品種
15 他人の業務と混同
16 品質又は質の誤認
17 ぶどう酒・蒸留酒の産地 ○(*4)
18 機能確保に不可欠な形状のみ
19 他人の周知商標で不正目的
△:不正競争目的を除く
▲:不正目的を除く
*4:日本国の産地については「表示する」

外国語書面出願の翻訳文提出前における手続の可否      
不可
国内優先権主張の基礎(特41条) 補正(特17条の2)
変更(実10条、意13条) 分割(特44条)
審査請求(特48条の3) 公開請求(特64条の2)

国際特許出願後の手続等の始期                
手続等 日本語特許出願 外国語特許出願 根拠条文
国内書面 手数料 国内処理基準時 翻訳文 国内書面 手数料 国内処理基準時
手続の補正 特184条の12第1項
仮専・仮通の登録 特184条の12の2
国際実新→特許 特184条の16
出願審査請求 特184条の17
実新の補正 ○ (*) ○ (*) 実48条の8第4項
国際特許→実新 実48条の11
国際特許→意匠 意13条の2第1項
国際実新→意匠 意13条の2第2項
* 国際実用新案登録出願の場合は、手数料とともに登録料の納付が必要。

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